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【 駆け出し指導者が陥る “〇〇しかできない指導” の末路 】 ~ きーすさん ~

━━━━━━ 140字じゃ語れないことがある

そんな思いを持っている方々の、それでも140字に詰め込んだ思いや感情、価値観を深掘る企画「140字じゃ語れないことがある」。

第二回目のゲストには、Twitterフォロワー4,000人を超え、育成年代を指導する現場の声として数々の共感を生むツイートや記事を投稿されてきた “きーすさん” をお招きしました。

▼今回深掘るツイートはこちら↓↓

サッカー指導者の誰しもが陥りがちなサッカー観や指導観について存分に語っていただきました。

全4章の長編です。
ぜひお楽しみください!

それでは、第1章スタートです!

※インタビュアー:後藤 魁斗(ゴトウ カイト) / OFF THE PITCH Staff
※インタビュー日:2021年8月3日(火)


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【 現場でみた “ネガティブな実態”  】


◎後藤:

本日はよろしくお願いします!


◉きーすさん:
よろしくお願いしまーす!

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※あれ、なんかツノが生えてる・・・!?笑


◎後藤:

早速ですが、ツイートについて詳しくお聞きかせください!


◉きーすさん:

あれは、僕がU13のときに対戦した相手チームについて投稿したもので。
元々U13の時に担当されていたベテランコーチが辞めはって、その後U14になったタイミングで担当した「当時23~4くらいの若いコーチ」について思ったことをツイートしました。


◎後藤:

なるほど。
ツイートでは、引き継いでから「U14ぐらいまでは良い感じ」とおっしゃられていますが…?


◉きーすさん:
U13の時も当然対戦しているので、元々がどんな感じかは知ってはいました。
U14の春先にも対戦し、けっこう戦術的だったんですよ。
4バックを3バックにするっていうような、いわゆる「偽サイドバック」みたいなこともやってて。
その時は素直に「スゴイな〜」と思ったことは覚えてますね。


◎後藤:
初めはポジティブな印象だったんですね。


◉きーすさん:
ただその1年後、U15になったとき抱いた違和感が大きくて・・
コーチも選手も覇気がなく、とにかくチームとして雰囲気が悪かった。


◎後藤:

へえ〜・・・


◉きーすさん:
練習試合だから中で審判をやっていた時に選手たちの様子を見ていても決してポジティブとは言えず、ベンチからのコーチングに対しても「またあいつなんか言ってるよ。」「作戦板だけ動かしておけよ。」といったことを呟いていて。
その後、その若いコーチと少し話すと、彼は「もともと僕が教えたわけじゃないです。U13から僕が教えていればこんなふうにはならなかった。これは前任者が悪いです。」みたいな雰囲気のことを言っていました。


◎後藤:
いろいろと悪い状態ですね…


◉きーすさん:
これは推測でしかないですけど、おそらく「指導者の教えるネタが限られてたんじゃないかな~」と。


【 モノマネしかできない末路 】


◉きーすさん:
ハッキリ言って、僕の視点からすると「クロップかグアルディオラのモノマネ」に見えるんよね。
特に、若い年代の指導者の方たちはその傾向が強いのかな〜と。


◎後藤:
正直、僕も始めたての頃はそんな感じでした・・・
でもやっぱり最初はどうしてもそうなってしまうのかな〜とは思います。


◉きーすさん:
もちろんわかるで、それは。
その若いコーチも、たぶんシティを真似た「3-2-5」でやっていて。

“カンセロが中入ってくる、ジンチェンコが中入ってくる、ジェズスが0トップで落ちてきてそこの空いたスペースにギュンドアンが入ってきたり・・・”

といったことを真似て教えるわけよ、「こうやってやれ!ここにこう動け!」って。


◎後藤:
なるほど・・・
でもそういうのって、意外と最初は選手たちも刺激的ではありますよね?


◉きーすさん:
まさしくそうなんよね。
選手たちも、「なるほど、そんなサッカーあるのか!」とか「世界ではそうやってサッカーやるのか!」みたいな感じで、新鮮なんだろうなと。

でも、それは最初だけで。
さっきも言ったように、好印象を抱いたU14での対戦から1年後、U15になったときにその若いコーチは何も変わっていなかった。
言い方悪いけど “それしかない” なと。おそらく、ペップのモノマネしたいだけ。
ただ同じことを繰り返すだけになってるから、選手たちにとってはもう飽きがきている。


◎後藤:
なるほど。
“それしかない” と、選手たちはどこかで「飽き」は出てきてしまいますよね。


◉きーすさん:
同じことを言い続けるのって、選手が実際にはまだそのプレーが出来てないから指導者が言うわけやん?
でもあの選手たちからしたら、「はいはい、もうわかってるよ。」というような、信頼を失くして呆れたような感覚があったんじゃないかな〜と思うんです。


◎後藤:
僕自身、選手たちの気持ちもよくわかります。


◉きーすさん:
ただ、これは別にそのチームだけじゃなくて、僕は過去にもそういった類のチームをたくさん見てきた。
計画性がなく、海外のどっかのモノマネでしかないような指導しかできないような若手の指導者。
たとえば、U13の時にペップのモノマネして、U14で「じゃあ何しよう?」ってなったときに、「やっぱりペップが好きだから、ペップのモノマネしよう!」ってなる。
選手たちからしたら「え?またそれ…?」ってなるっていう。


◎後藤:
まさに “それしかない” ですね。


◉きーすさん:
これは「学校の授業」でたとえると簡単で。
中学1年生のときの数学とか国語とか教わって、その授業の同じ内容をまた中学2年生でやったらどうかって話で。
生徒からしたら、シンプルに「中学2年生の勉強をさせてくれよ!」って思うのと全く同じことだと思うんよね。


◎後藤:
なるほど、わかりやすいです!笑


◉きーすさん:
・・・ということを思い、たまたまその時ツイートしたのがあの投稿という。笑


◎後藤:
そんな背景があったんですね!
おそらくですが、そのコーチは「選手の成長」よりも「自分が好きなサッカーを、選手をコマとして使いながら作っている」というような感じだったんですかね。


◉きーすさん:
たぶんそんな感じやったんやろうな〜


◎後藤:
自由が奪われて、ただ言われたことだけをやるようでは、本当の意味で良い選手にはなれないですもんね。


◉きーすさん:
もちろん自分も指導者やから、その若いコーチの意見もわかるねん。
当たり前だけど、指導はめちゃくちゃ難しいし、「じゃ何教えんねん!」と言われても明確な答えなんて言えない。
でも、だからこそ学び続けて引き出しを増やしていかないと、誰もがそういう事態に陥るのかなって、そう強く思ってますね。


◎後藤:
そうですね。

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きーすさんが実際に指導現場で感じたリアルな感想について語っていただきました。

もちろん、これらはすべて「きーすさんが感じた感想」であり、実態がどうなのかはそのコーチや選手たち「当事者」しかわからない部分はあるでしょう。

しかし、客観的にみて感じた一つの解釈として、非常に興味深い内容を聞くことができました。


「モノマネしかできない指導者」が率いるチームがどのようになってしまうのか?

情報が溢れる現代、指導者として考えなくてはならないことかもしれません。


次回は、『駆け出し指導者の難しさと、指導者の重要性』について、いっそうアツく語っていただきました。

第二章もお楽しみに!!

▼第二章↓↓


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<ゲスト紹介>

◉きーす 氏
・Twitter:https://twitter.com/keith00096?s=21
・note:https://note.com/noritama96

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<運営紹介>

◎ 一般社団法人FiC
「WORK WITH PRIDE 〜誇りと共に働く〜」をコンセプトに、日本サッカー界で起きている様々な問題を解決するべく、サッカー指導者が総合的に学べるコミュニティ事業を展開。10代〜40代まで幅広い年代の、サッカーや指導に想いを持つメンバーが所属する。
現在は、関東圏のみならず関西、そして全国に200名以上の会員を抱え、サッカー指導者が学べる機会や情報のほか、会員一人一人のキャリア支援や、講演会をはじめとしたイベントの企画/運営も実施している。
2021年7月に大阪支部がスタートし、2021年秋には第6期生を募集予定。

▼お問い合わせはこちら↓↓

◎インタビュー:後藤 魁斗
◎編集:佐々木 良央、八田 凌雅

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