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望遠レンズの夫と、マクロレンズの妻

うちの妻はわりと潔癖症気味であり、衛生観念が高い。フードスタイリストという職業上、それは良いことだ。職務上必要なので食品衛生責任者の資格も持っているし、実際に吉祥寺のお店の保健所への申請は妻が責任者として通している。

元をたどれば、妻の実母は看護師であり、衛生管理が命に関わる職場で働く人でもある。そんな母親の元で育った妻、衛生観念高めなのはもはや育成環境の違いだろう。

かたや僕は両親が海外赴任中にフィリピンで生まれた。そこらへんに生えているものを食べれば生きていける常夏の国の住人だったし、大らかで大ざっぱな母の元で育ったので汚れているカオスな状況でもわりと平気だ。

もちろん、仕事になれば別。ガラスの曇りや指紋ひとつでも気になる。でも、スイッチOFFのプライベートの時は「見てない・聞こえてない・気づかない」の3ナイ揃ったポンコツだ。

誇張ではない...現実に、こいつマジで何も見えてねぇ...というガッカリした妻の目線を日々ビンビンに浴びている。


リトル北斗の拳なリビングルーム

これはもう完全に個人差だと思うのだけれど、僕はハウスキーピングについては大雑把である。

特にこどもが生まれて、成長して歩き出して、言うことなんてロクに聞かずにオモチャを散らかし放題になり...もう、あきらめた。

暴君のように暴れまわり、こっそりとバナナを食ってたかと思えばバナナの皮が床に残っていたりする。うちはマリオカートかよ!(本当に滑るかはわからない)

そんな2歳の娘がオムツにタンクトップという格好でオモチャの三輪車で室内を駆け回る様は、さながら北斗の拳の世紀末...

「ヒャッハー!!!散らかしてやるぜー!!!ハウスキーピングなんてさせてやらねー!!!ずっと俺のターン!!!」

そんな叫び声が聞こえてくるようだ。

まぁ子供の性格にもよると思うが、元気いっぱいの幼児と暮らすというのは、こういうことなんだよ。


遠くしか見えない夫、床の髪の毛が気になる妻

そんな状況ながら掃除機かける程度はするし、たまに床を雑巾がけしたりもするけれど、基本的には暴虐に耐える選択肢だけしか選べていない。

しかし妻は床の汚れ、散乱したオモチャ、落ちている髪の毛、すみに溜まったホコリ、べたつくフローリング、そしてそれらを気にしない夫.....それらすべてからジワジワとストレスを感じているらしい。

どうも、僕の目は家庭内では望遠レンズみたいなもので、ピントが遠くにしかあっていないっぽい。それこそ家にいながら家以外(仕事とか明日の昼飯とか)にピントが合っている。

対する妻はマクロレンズだ。しかも広角気味で、トンボの複眼のように多数を同時に見ることができる。床の汚れ、シンクに残った洗い物、生乾きの洗濯物、再配達手配をしていない不在票...全てを同時に把握できている。

そして、把握できていない古ぼけた望遠レンズ夫の言動にイライラを募らせる。

申し訳ない...スペックが違いすぎるので、どうかご容赦願いたい。

僕は望遠レンズなので、遠くを見るのが基本仕様なんだよ。君のレンズと、僕のレンズは違うんだ。同じ景色を見ている前提で求められるには、要求がハードすぎる。


そうだな、もしもお互いのレンズを交換して暮らしてみたら、もっとお互いが違いを理解して許せるようになるのかもしれないな。

夫婦生活7年目。まだまだ相互理解までの先は長い。

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