アイデアの種の拾い方
デザイナーという仕事をしていると、創作=クリエイティブの為にタネとなるアイデアが必要になります。
僕がまだデザインの勉強を始めてまもない頃は、アイデアは突然頭の上で電球がピカーン!ってなって閃いたりするもんだと思っていました。
あれから15年くらい経って、実務を通して色々と試してきて、あらゆるものはレディメイドであり、アイデアとは自分自身の引き出しの中の素材を組み合わせてしかできないものだと実感しています。
その引き出しを増やす為に観察スケッチがありますが、今日はその引き出しの増やし方や組み合わせ方のヒントの話です。
アイデアの種は遠いところから
クリエイティブの仕事に限らず、仕事をしていると自分の業界のトレンドやニッチな情報には詳しくなっていきます。365日やっているんだから、当たり前です。でも、それだけになってしまうとマズイ。
同じ時間軸で、同じ業界で、かつ同じテイストの物をまねれば、それは単なるパクリであり劣化コピーです。場合によっては法的にマズかったり、そうでなくとも劣化コピーは自身のブランドを傷つけます。
ではアイデアの種を拾ってきて、自分の中で育てて、良質なアウトプットやブレイクスルーの閃きとして収穫するにはどうするか?
答えは、距離と時間の離れているところから種を拾ってくることです。
まず、距離。これは物理的な距離でもいいし、概念的な距離でもいいです。
同業で同ジャンルで同テイストではなく、異業種の考え方などを取り入れてみる。
同じ日本の同じ東京内の同業種ならパクリですが、地球の裏側の南アフリカの原住民の知恵であればそれは立派なインスパイアです。
次に、時間。これは未来には現代の技術では行けないので、過去に行きましょう。
2018年の現在、時間軸の近い2015年前後のアウトプットを参考にすればそれは時代遅れになります。でも、100年前なら許される。
1000年前の埋れた知恵を今発掘して役立つ形にリファインすれば、それは新しい価値の創造と発見になります。
また、今を生きている人のマネはオリジナルが存在するので価値が薄いのですが、死んでいる人であればそこには価値が生まれます。
アイデアの種を植える土壌を耕しておく
アイデアは拾ってきただけではあまり役に立ちません。そして、多くの場合はどの種がちゃんと育つのかはわかりづらい。そもそも芽を出さない場合も多い。
それでも、種を手に入れたらちゃんと土壌を耕して、水をあげて芽がでるのを信じて待つ時間が必要です。
この土壌を耕すのは、僕の中では異業種の人と会って話したり、色々なジャンルの本を読んだりするのが有効だと感じています。
特に異業種の人と話すと、相手の業界では当たり前のことがこっちではとても新鮮で刺激的だったり、相手の業界の知恵を転用する事で思わぬアイデアの飛躍を得られたりするのでオススメです。
トレンドや憧れの相手を追いすぎない
トレンドは消耗されますし、移り変わります。
最近のトレンドになっている同業のアウトプットをイメージボードにまとめている限り、トップランナーの劣化コピーにしかなりません。
でも、トップランナーの出すアウトプットは魅力的な物が多いし、フォトジェニックであればあるほど脳裏に残ってしまい知らず知らずに影響を受けがちです。
もちろん、今の同じ業界の評価されている仕事を知っておくことは役立つことも多いです。でも、知ることで得られるメリットと同じくらい、知ってしまった事で受けてしまうデメリットもあることを認識しておきましょう。
特に、デザイン系の学生にありがちなのが、現在のトレンドや業界誌を追いすぎてしまい、なんちゃって有名デザイナーもどきみたいな作風になってしまう事です。
学生時代の僕はまさにこれで、ある時にとある先生から「そんなエロ本ばかり読んでいないで、もっと歴史的に評価の定まった古典を読みなさい。」と言われました。
今ではその言葉の意図する意味を理解できますが、トレンドに振り回されずに、自分自身の価値観の軸を定めることがまず大事です。
アイデアの種を育てたら収穫を忘れずに
最後に、アイデアの種を大切に育てたら、アウトプットとしての収穫をしましょう。
世の中に何か新しい製品やサービスが出てきた時に「あ、これ自分も考えてたんだよね!」っていう人がたまにいますよね。
残念ながら、現代社会は最初にやったもん勝ちです。
せっかくアイデアの種を大事に育てても、収穫=アウトプットをしない限りは日の目を見ることはありません。
かといって、アイデアを育てるのがとても上手だけど、収穫=発表やアウトプットやPRは下手くそっていう人もいます。特にクリエーター系には多い印象です。
一人でアイデアの育成から収穫まで全部できるのが理想ですが、今の時代はSNSも発達してきましたし、分業してもいいんじゃないの?と思います。
せっかくいい時代になってきたので、使わないと損です。
例えばこのnoteとかのサービスもそうですが、こうして日々の気づきをアウトプットするだけでも、それが誰かの役に立って巡り巡って自分たちの住む社会が良くなる可能性があります。
直近でnote公式から出版社への紹介プログラムとかも始まりましたし、アイデアの種を拾いつつ、アウトプットの練習もしておくことがオススメです。
いいアイデアの種を拾ったら、それをオープンに育てていって、みんなで水をあげたり肥料をあげたり剪定したりするっていうのがこれからのアイデアの育て方かもしれません。
僕も、そんなアイデアの育て方に今度ちょっとチャレンジしてみようと思います。
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