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なぜかめちゃ共感した『恥知らずのパープルヘイズ』

今野です。

こんな夜更けに読書感想文かよ。バナナは食べませんw

なぜ、こんな時間に書いているか?といえば、つい先ほどまで『恥知らずのパープルヘイズ』を読んでいたからです。

そして、読んだら語らずにはいられなくなってしまった。

明日も仕事なのに、苦笑(連休中ですが、個人事業主にそんなの関係ねえ)

『恥知らずのパープルヘイズ』の背景

まず、『恥知らずのパープルヘイズ』は『ジョジョの奇妙な冒険』第5部「黄金の風」編の後日譚として描かれています。

読み終わった直後に書いております。深夜2時過ぎですw

本作の主人公は、第5部の途中で主人公のジョルジュ・ジョバーナやチームのリーダーであるブローノ・ブチャラティたちから袂を分つ形でフェイドアウトしたパンナコッタ・フーゴと言う人物です。

第5部はギャング組織を舞台にしていたこともあり、組織と個人という構図がちょいちょい出てきます。フーゴがジョバーナやブチャラティと袂を分つきっかけになったのは、組織を裏切って「正義」のために戦うか?戦わないか?という選択を迫られたことでした。

戦う相手は、無敵のボスが支配し今まで裏切り者は誰1人として生き残らなかったギャング組織です。

チームのメンバーはブチャラティへの信頼から、ジョバーナは自身の夢のために組織と敵対する道を選びます。それに対して、フーゴは「理想だけでは生き残れない。現実的に考えるべき」という考えから、チームから離脱する選択をするわけです。

そもそも、主人公の下で一致団結してラスボス倒すぜ!という展開になりがちな少年漫画っぽくない展開ですよね。

最終的には、ジョバーナやブチャラティたちは多大な犠牲を払いながら組織のボス・ディアボロを倒し、ジョバーナが組織を乗っ取る形で第5部は終幕になります。

生き残った仲間は、組織の大幹部。ジョバーナはボスに。

袂を分かったフーゴは・・・?という感じで、本編は終わっていて、その続きが『恥知らずのパープルヘイズ』というわけです。

ちなみにパープルヘイズというのは、ジョジョ・ファンの方には説明不要ですがフーゴのスタンド能力の名前です。

「心の赴くままに生きる」って難しい

フーゴは、チームのリーダーであったブチャラティと行動を共にしなかった。いや、できなかったことに後悔と葛藤を抱えて生きています。

しかも、ブチャラティ自身はディアボロとの戦いの中で死んでいるので、尚のこと葛藤は深いわけです。

客観的に見れば、フーゴは割と合理的な選択をしているように見えます。物語としては中盤くらいで袂を分かちますが、ブチャラティとは数年の付き合いがあるとはいえ、ジョバーナとは2、3日の付き合いしかない状況です。組織のヤバさ、怖さは、自分が構成員であるからよく知っています。

そんな状況で、突然、組織を裏切るという選択を突きつけられれば戸惑うのが普通です。

しかも、裏切る理由が、ほぼ見ず知らずの感じの悪い少女1人を救うために組織のボスを打倒することだとすれば尚更です。

もちろん、組織のボスを打倒するもっと深い理由はあるのですが、事態が急展開しているので詳細の説明なんてほぼない状態で決断だけが迫られています。

そんな状態で、明らかにリスキーな「裏切る」という選択をしたフーゴ以外の人たちがむしろクレイジーです。しかし、結果的にクレイジーな人たちが勝利を収めた状況では、「間違った」あるいはそのメンバーを「裏切った」のはフーゴということになってしまいます。

個人的には同じ状況に置かれたら、フーゴと同じように考え判断したのではないか?と思えてしまいます。

心情的には、自分にとっては恩人であるブチャラティについて行きたくてもほとんど自殺行為にしか見えない選択を支持できないし、行動を共にするのは難しいと感じたのではないか?と思うのです。

とはいえ、どんなに理性的に判断したとしても人間そんなに割り切れません。「あの時、あの選択をしたのは正しかったのか?」という葛藤はずっと付き纏うはずです。

本作では、『ジョジョの奇妙の冒険』らしいスタンド戦が随所に展開されつつもフーゴの葛藤や自問自答が展開されていて、そこが個人的には心に響きました。

あーーーー、すげーわかるな。と。

何が正解か?何が利口な選択か?を基準に生きていると、おそらくフーゴのような選択をするはずです。ただし、理屈や理性で捻り出した選択は「自分がしたいこと」「自分が望むこと」とは必ずしも一致しない。

個人的には、フーゴ的な選択をして頭では正しい選択をしたはずなのに、気持ちがついてこずに燃え尽きかけた経験があるので良くわかります。

えっ?そこと繋がるんですか?世間は狭いっすね・・・

あと、本作を読んでいて感じたことのもう1つは「世間は狭いなあ」ということ。もっともそもそも創作物のスピンオフなわけで、創作に創作を重ねたといえばそれまでなんですが、笑

この作品自体は第5部の後日譚ですが、ジョジョの世界線の中でいろんなストーリーと絡み合っていてそこに妙なリアリティを感じてしまいました。まあ、創作なんですが、あの話とも繋がるの?みたいな驚きと楽しみがあります。

この辺は作者の上遠野浩平さんがめっちゃ『ジョジョの奇妙な冒険』が好きなんでしょうね。原作を読んだり、アニメで観たりしてきた方であればニヤニヤしてしまうようなつながりや広がりが随所にあります。

特に第5部を読んだり、観たりした人は楽しめる作品だと思います。超オススメです。

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