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「定型発達」第5回-定型発達は目立つことが嫌い

発達障害(アスペルガー)当事者から見た普通の人達(定型発達)の不思議な特徴とその理由について書いていきます。連載。

・定型発達は目立つことが嫌い
・「理解」と「共感」と「同意」の違い
・「異なるもの」への不安感

・定型発達は目立つことが嫌い

 「グループの中にいたい」と感じる定型発達の人にとって、そこからはじき出されることは大変な不安であるようです。グループの中で目を引くことは「異なるもの」と見られ、はじき出される可能性がある,と彼らは考えています。
 彼らは自分の所属するグループの一員でいられるよう、仲間とコミュニケーションを図り、仲間の意見に同意し、また同意を求めます。あるいは仲間と同様な行動や服装をします。これらを通じて、定型発達はグループの中にいるという確認を常に行っているように見えます。

・「理解」と「共感」と「同意」の違い

 今「仲間の意見に同意し」と書きましたが、定型発達の人にとっては、「理解する」=「共感する」=「同意する」であることがよくあります。
 アスペルガーにとっては言うまでもないと思いますが、この3語は全く別の言葉です。

・理解する…相手の話の内容(何を言いたいか)がわかる。そのことについての賛否は含まれない。
・共感する…相手の感じていることと自分の感じていることが同じであると感じる。(特に理由はなくてもよい)
・同意する…相手の主張を聞き、それに賛成する。

 考えることと感じることの区分があいまいな定型発達にとってはしばしばこれらが「わかる」という一言で表されます。「理解しました」と言うとまるで共感・同意したかのように思われるためにしばしば混乱が起こります。

・「異なるもの」への不安感

 しかし、定型発達はなぜ自分だけでなく「他者が異なること」にまで不安感を持つのでしょうか。
 自分がグループの中にいたいのは理解できるとして、そう思わない(ように見える)ものにまで彼らは不安や苛立ちを覚えるように見えます。

 考えられる理由を2つ上げたいと思います。
 一つめは、彼らは共感能力が高いため、他者の行為を自分自身の行為のように感じて不安になってしまうというものです。
 もう一つは、グループの中に「異なるもの」が増えてきてグループそのものが崩壊してしまうかもしれないと心配するということです。

 相手が同じグループに所属している場合、彼らはそうした相手に目立つことのリスクを知らせ、「同じであるように」忠告します。いわゆる同調圧力です。
 場合によってはグループから排除しようとします。物理的に排除する場合もあれば、心理的に「あの『異なるもの』は自分のグループの一員ではない」と考えることによって、安心感を保とうとする場合もあります。

 これは,発達障害者だけでなく、様々な対象に対して行われ、差別やいじめ、ヘイトなどの現象の遠因となっているようにも私には思われます。

まとめ

 定型発達の持つ「グループの中にいたい」という気持ちが「目立ちたくない」「異なるもの」を不安に感じるという感情につながることについて書きました。

 差別やいじめをなくすには、定型発達の人達の持つこのような(無意識の)不安感を解消する必要があるのではないかと考えています。

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注意:この文章は著者の個人的な考えによって書かれています。
「すべての」定型発達の人に当てはまるわけではありません。
発達障害には「自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群を含む)」のほか「ADHD」および「LD」があります。ここではアスペルガーである私の視点からの記述のみを行っています。

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