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女の弱さを思い知らされた恐怖

男女の差はどんどんなくなっているように思えるのに、時々ふと思い知らされること。それはやっぱりどうやっても太刀打ちできない力の差。そしてそれを見せつけられたときに湧いてくる恐怖。

先日東京出張に行ったときのこと。体力づくりのためにエスカレーターではなくなるべく階段を使うようにしている私は、地下鉄からの階段をせっせと上っていた。何度か折り返した後に見上げた先には、階段がなくなりエスカレーターだけが上下動いている。仕方なくエスカレーターの列に割り込む私。少し大きめの隙間があったので、若い男性の前にスルッと入った。

その時に後ろから聞こえた「チッ」という舌打ち。ものすごく小さくて聞こえるか聞こえないかの音。そのわずかな舌打ちに男性のイライラが伝わってきた。その瞬間久しぶりに私の中に恐怖がひろがった。この男性の遠慮がちな舌打ち、もう少し年齢が上がれば「オイッ」と怒鳴られたかもしれない。声だけでなく手が出てくれば、まったくもって太刀打ちできない。もちろん手が出なくても恐怖で体が凍り付いて何もできないはず。

この暴力を前にした時に感じる恐怖。「なんだよ!」と怒りを感じるより前に、絶対にかなわないという不安。立ち向かう気持ちは1ミリも浮かばず、おそらく自分の身をかばうことしかできないだろう。女という体力的な弱さからくる不安と恐怖の感覚を久ぶりに感じて、自分ながら驚いた。

やられたらやり返す、そんな男性の思考回路とは全く別物。ほんの小さな出来事だけど、DVやレイプの女性たちの心情につながるものだと思う。男女の差がどんどん縮まっているように見えても、この体力差からくる本能的なものは絶対に縮まることはない。男性の方々はぜひ心に留めておいてほしい。女性たちは常にこんな恐怖と戦っているということを。自分の立ち居振る舞いが、実は女性にとっては威嚇と映り恐怖に震えることがあるということを。本人には何の自覚がなくても。

もうひとつ感じたのは、東京の生き辛さ。本当にみんなイライラしているんだなと。福岡で生活しているときにはほとんど感じない(通勤ラッシュに合わないというのもあるけど)私が感じた恐怖は、若い女性はもっともっと頻繁に感じていると思うと胸が痛い。そしてママやシニアはさらに。色んな報道が大げさではないと改めて感じた出来事でした。



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