二〇一五年八月 弐
scene 53高校生たちと別れた俺達は石川宗家へ帰宅した。
「広いにもほどがあんだろこの家。自然公園かよ」
門をくぐって歩きながら、リョータローがあらためて皆の気持ちを代弁した。
「俺んち住所の何丁目、くらいのエリア全部って感じだなこりゃ」
ミギの自宅は数えきれないほど訪れたが、たしかにそうかも。
「建売住宅が何軒建つかなここ」
コトブキは建築関係のバイトをしていたと言う。
「俺の田舎にも旧家みたいなのあるけど、ここまでじゃないな」
長野県出身のキタが周囲を見回す。
「お母