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ストレート・フラッシュ

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ロックバンドを脱退して、東北の田舎町にお婿さんとしてやってきた俺。
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#高校生活

二〇一五年四月 壱

Scene 33その後数日を、入籍の挨拶で東京以外の五分家をはじめとする親戚を回ったり、引越し荷…

市川電蔵
4年前
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二〇一五年四月 弐

scene 38土曜日、社会人としての生活の初の休日である。特に仕事をしているわけではないが、さ…

市川電蔵
4年前
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二〇一五年四月 参

scene 42次の日は、新入生を集めてのオリエンテーションだ。管理部と指導部が様々な連絡を行っ…

市川電蔵
4年前
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二〇一五年五月

scene 44ゴールデンウィークも終了し、寒河江もようやく暖かい気候になってきた。俺は新任教師…

市川電蔵
4年前
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二〇一五年七月

scene 47新人教師としての日々はすごい早さで過ぎてゆく。俺自身が高校生だった頃、時の流れが…

市川電蔵
4年前
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二〇一五年八月 壱

scene 50次の週、日付が土曜日に変わった頃、軍兵衛さんとマサシさんがやって来た。 「軍兵衛…

市川電蔵
4年前
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二〇一五年八月 弐

scene 53高校生たちと別れた俺達は石川宗家へ帰宅した。 「広いにもほどがあんだろこの家。自然公園かよ」 門をくぐって歩きながら、リョータローがあらためて皆の気持ちを代弁した。 「俺んち住所の何丁目、くらいのエリア全部って感じだなこりゃ」 ミギの自宅は数えきれないほど訪れたが、たしかにそうかも。 「建売住宅が何軒建つかなここ」 コトブキは建築関係のバイトをしていたと言う。 「俺の田舎にも旧家みたいなのあるけど、ここまでじゃないな」 長野県出身のキタが周囲を見回す。 「お母

二〇一五年八月 参

Scene 57ミギたちが東京へ帰った日の夜に、西川が祖父母とともに石川家を訪れた。例によって正…

市川電蔵
4年前
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二〇一五年九月 壱

scene 61西川の就職内定の方はスムーズにことが進んだわけだが、いっぽうの大泉の方はなかなか…

市川電蔵
4年前
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二〇一五年九月 弐

scene 63雪江も言っていたが、山形では自家用車がないと行動範囲が狭い。寒河江を通るJR線は…

市川電蔵
4年前
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二〇一五年九月 肆

scene 69陵山祭を三週間後に控えた九月の終わり、事件は起こった。 平日にしては珍しく石川宗…

市川電蔵
4年前
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二〇一五年一〇月 壱

scene 72寒河江中央学院高校の学校祭である陵山祭まではもう二週間を切っている。校内はそれぞ…

市川電蔵
4年前
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二〇一五年一〇月 弐

scene 74学院の講堂は、収容人数八百人程度で、地方都市の市民会館小ホール並みの規模だ。演劇…

市川電蔵
4年前
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二〇一五年一一月

scene 76俺は放課後になると、軽音楽部の部員よりも早く部室へ行く。ギターが弾きたくてたまらないからだ。やり残した仕事があるときは、ひととおり満足するまで弾いてから職員室に戻る。 十一月も下旬にさしかかり、部室はかなり寒い。石油ファンヒーターを作動させ、いつもの様にアンプの電源を入れる。部室のドアが開いた。 「センセ、ちょっといいかな」 部室へやって来たのは沖津だった。 「なんだ、特進の補習はいいのか」 沖津は成績上位者を集めた特進グループに属しており、小川や東海林さんが