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官か、民か。

「あなたは進路どうする?官?それとも民?」

大学生の頃、学内の、とある進路セミナーにふらっと参加したときに冒頭言われた言葉にまず戸惑ったのをうっすら覚えている。当時、就職氷河期真っ只中。我ながら呑気な学生生活を送っていて、あまり将来どうするのかとか真面目に考えておらず、理系だから、なんとなく研究者にでもなるのだろうか、と、流されるがままに「まわりもそうだろうし」「なんとなくそうなっていくのだろう」とか、そんなふわふわっとした考えをしばらくしていた。

本当、最近の大学生や新入社員の方々の考えや思いを聞くにつけ、恥ずかしくて自分の体験談なんて何も言えない。(とはいえ、当時も真面目に考えている同級生もいただろうし、いまでもそんなに考えられていない人もいるのではないかとも思わなくもない。それはさておいて)

「なんとなく研究者」というのは「職種」で進路を捉えていたから。冒頭の質問「官か民か、に戸惑った」というのは、今から振り返ると、研究者といえば大学か企業か、または国の研究機関にいるもので、「官」?というイメージがまったく無かったものです。

(官…?公務員のこと?)

公務員という仕事に大学時代はまったく、ほとんど選択肢になかった。そもそも公務員の仕事というものがわからない。なんとなく、縦割りだとか、天下りだとか…ニュースで晒されるような悪い言葉、閉塞的なイメージが付きまとい、最初から調べもしなかったのは、今思うと勿体なかったのかも。

その後いろいろな世界に触れるうちに、案外自分は公務員向きなのかも、と思うことがあったり、その影響力の大きさ、重要さを後になって知ることになりました。

なぜ降りたのか

前回のnoteのとおり、霞が関を辞めて民間に戻るという選択をしたわけですが、正直いってだいぶ迷っていました。霞が関での仕事の影響度、重要性、国の方針に関われるというダイナミックさ。自分の考えた方針がそのまま、政府の資料として外に発信されていくという事態にはだいぶ震えます。時には脅されたり、詰められたり、日々の細々とした問い合わせへの対応などあり、「霞が関のリアル」で読むようなキツイような状況が、毎日ではないにしても、そう陥ってもおかしくないような状況もうっすら感じることがありました。そういったもどかしさと、影響力との天秤がだいぶ拮抗していました。

それでも、結局、降りました。それはなぜかというと、

①方針を示すことはできても、いわゆる政策の「タマ」にあたるようなキーとなる取組までは手が回らない。その「タマ」を作るのは誰なのか。

②自分が今の席から外れることで、後任があてがわれること。その後任が私のやっていたことに取組んでもらえるので、自分は別の有意義なことに力を集中できる。

③これだけ勤めれば、官の中の構造と、民間に求められていることはある程度理解できたはず。民間に求められているが、できていないことを埋めていけばよいのではないか。

④あまり長く官の位置に身を置き続けると、考え方が偏ってしまいそうな危機感があった。

といったような理由です。降りた後に実感したこともありますが、一応そういうことで自分を納得させています。また、官の中に行きたくなったら、そういう道を探すのでよいのではないかな、と。こういうのとか↓

何はともあれ、この複雑化した世界においては、すべてを官のみ、民のみ、で賄えるような単純なものはもはやなくなっているように思います。それぞれの役割や権限を駆使し、協働しながら、同じような方向性を見据えて連携していくことでしか、変えられないものばかり残っているように思います。

お互いの立場や役割を理解した上で、ちょうどいいタイミングで対話をし、それぞれの価値を発揮しながら取り組めるかどうか。官民連携という、聞こえはよいけれども、うまくワークするための勘所ってあるよねと思うのです。それは、引き続き考えていきたいもの。

今後のお勤め

6月から官→民に移りました。
移り先は日本電気株式会社(NEC)です。

これまで政府の中にいた経験から、いわゆる政策渉外のような部署あたりでお役に立てる…のかなあと思っていたら、まさかのスカウト。この4月に発足したスマートシティの専門部署(事業部)に拾っていただきました。

スマートシティの分野において、広く他の業界の方々とともに、新しい事業をともに創る「事業共創」がミッションとなりました。
スマートシティは政府の中でもかなり重点的に推進されていた(と思う)一方で、全国1700以上の基礎自治体でも取り組んでいるところはまだわずか、民間企業の側から見ても、事業領域として様子見、儲かるのかも半信半疑、でも気になるからとりあえず新規事業のネタとして張っている、みたいなところがほとんどだなという感触。
要は「市場化」「産業化」されていないと。その言葉のふわふわっとした印象が示すように。
これをもう一段違うステージに変えていくというのはなかなかにやりがいがありそうです。

官の方針も理解しながら、民の立場でスピード感をもって手掛ける、という感覚が大事。

初仕事

ということで、ちょうど一年前に、政府の立場で、同社ウェビナーに参加したご縁で、今年も一席持たせていただくことになりました。これが初仕事になるかも。
膨大なスマートシティガイドブックをどう読み解いて使っていくかについて「楽しく」解説です。

6月24日(木)14:00~15:10@オンライン
以下サイトからお申し込みください。

https://jpn.nec.com/fch/kansai/seminar/20210624.html

…いいですか、これはフリですからね。
写真は社内審議の結果真面目なものにしてますが。
セーフの立場ではアウトだったことも、ここでは大丈夫そうです。
なんて素敵な文化!

とりま、これまで過ごした霞が関の紙文化から、コロナ禍を経てデジタルツールを使いまくっている環境に移ったこの浦島太郎感がヤバイです…。

今後もご愛顧よろしくおねがいします。


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