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『ワーキングメモリ』

療育で働いていた時も、私のずーーーっとの課題だった、
「ワーキングメモリ」
それを少しでも克服すべく、今回はガッツリ本を読む覚悟で挑みました。
当時と、違う所は「臨床と結び付けやすくなったこと」
その時も、子どもたちと向き合っていたし、
学ぶことも多かったのですが、
この  カタカナ は全然理解できずに、
いつも新しい用語として頭にモヤモヤを残していました。
少しずつ、理解が出来てきたので、
分かりやすく、私の理解を記したいと思います。

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「ワーキングメモリは、メカニズム」(仕組み)

「ワーキングメモリ」は、短期記憶や長期記憶とも異なり、
一連の秩序だった仕組みのこと、でした。
正確に言うと「意識して情報を処理する能力」
意識して、というからには、「皮質機能」です。

「意識して」=常に頭の中に入れておく、注意を向けておく、スポットライトを当てておく、その情報に対して、決断を下す

「処理する」=情報操作、情報に取り組み、扱いやすく変える

そこで、大事なのは、
注意を向けている事以外は、「無視する」「興奮を抑える」
ということ。
例えば、

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例1)飛行機のパイロットは、乗客の命を預かっているというストレスに打ち勝って、色々な情報を処理して「操縦する」
例2)彼女とのデートで、本当は野球の試合の結果をスマホでチェックしたいけど、そこは、ぐっと”我慢”して、話を聞く
例3)料理をしながら、スマホをチェックして、子どもの話を聞いたり相手をする。

他の誘惑に惑わされず、目の前の事に注意を向けてその他はちょっと横に置いておく、という事です。

「ワーキングメモリ」に関わる脳の場所

◎前頭前皮質(前頭葉にある前頭前野)
何かを判断する前にビビッと反応する場所。新皮質です。
◎頭頂葉、前帯状皮質(皮質)
課題をやっている途中はここも関連します。
◎海馬
いわずもがな、記憶の倉庫。長期保存。
ワーキングメモリが機能し始めると、全ての長期保存されていたものが、
今必要かどうか、ふるいにかけられて選別されます。
そして、大事なものがピックアップされる、ってわけ。
そこで、古い脳と、新しく入荷した情報とを結びつけて
新情報として、また、保存されます。
つまり、
「過去のものを保存しておいて、必要に応じて
引っ張り出してきて、入ってきた情報と調合して新情報にする」です。

子どもとの遊びの中で、
これは、めちゃくちゃ意識します。
過去やった事がどれだけ蓄積されているか、
身体の動きとして、どのくらい覚えているか、
以前の情報を今の新しく入ってきた情報をどれだけのスピードで再現しようとしているのか

ブランコにしがみついて笑っている彼らをみて、
覚えていてよ~と念じてます 笑

こうして、「皮質下機能」へアプローチしているのです。
これについては、また後日。

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感情のセンター「扁桃体」!

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扁桃体は感情と結び付ける場所。
ステキ―!とか、怖い💦とか、
強い情報が来た時に、
「ワーキングメモリ」がその感情をコントロールします。
そして、気を散らせないようにします。

「短期記憶」ってどんなもの?

「短期記憶」は、短い時間での記憶。
初対面の人の名前や趣味、職業、お勧めの言われた本など、数時間から数日覚えていることが可能です。
「ワーキングメモリ」は、その情報を短期間覚えて
さらに、「何らかの 作業が出来るようにする事」
例えば、

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ある人があなたに、
「農業の本、オススメよ、すごくよかった!」と言ったとします。
➡短期記憶:「いい本を紹介された、その名前は○○」
➡ワーキングメモリ:「その本の名前は○○。そういえば、☆☆ちゃんが、農業に興味あった、って言ってたな。今度紹介してあげよう」と過去の記憶から紐づけていること。
そこが、両者の違いです。

「ワーキングメモリ」はまるで『指揮者』

「ワーキングメモリ」は情報の嵐を整理します。
交通整理みたいなもんですね。
1.優先順位をつけてから情報処理をする(いらんものは無視する)
2.情報を利用して作業が出来るように保管する

1は感覚統合では、「図地判別」といいます。
つまり、
今聞かないといけない音、
見なくちゃいけないものに注意を向けて、
それ以外は地(バックのもの)としてボヤっとさせておく能力です。
カメラの搾りやピントみたいなイメージです。

臨床場面において、知的さんや発達にトラブルのある子どもさんの多くは、
この「ワーキングメモリ」の弱さを持っておられるように感じます。
それは、おそらく、
「大脳新皮質」(表面)よりも、下の部分、さらに本能に近い部分
「旧皮質」と言われる場所の連絡システムの交通整理がトラブルを起こしていることが多々あります。
そこを、整理して整えていくと、
少しずつ、「皮質」の部分が変化してきます。

参考文献
トレーシー・アロウェイ、ロス・アロウェイ著
「脳のワーキングメモリを鍛える!情報を選ぶ・つなぐ・活用する」
NHK出版 2015年


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