子ども主体の保育が「すぐできる」か「100年後」かどうか明暗を分ける3つのこと

子ども主体の保育論考シリーズを続け、なぜかアクセス数が増えている。キャッチ―なタイトルが分かりやすいのか、何なのか分からないが、とはいえ、ある程度、そのことを狙ってはいるものの、しかしながら、まあ「子ども主体の保育」というフレーズの流行というのもあるだろう。

すぐできる!というのは、もうお分かりだとは思うが、アンチテーゼでもある。すぐできるわけないだろう、という。やってみな、という意味を込めてもある。

しかし、もう一つウラノ意味もある。

「すぐできる」ということを、どう解釈するか、である。

↓にも書いたように、要は「子ども主体」という問いを、どう自分でスケールダウンして、ステップbyステップで展開していくか、ということ。

できることと、できないことを峻別していく力

あるいは、できることを考え抜いていく洞察力、

そして、やろうとする意思があるかどうかです。

そのヒントになる(かどうかは、分からないけれども、あながち間違いではないとは思う)と投稿したのが以下ですね


先日、お伺いした園で、まあかくかくしかじか変遷を遂げて、幼稚園の隣に素敵な、こだわりがつまった保育園を建てたんですね。施設も素晴らしい。そして、園長先生も、事細かに、施設を紹介してくれる。話し出したら止まらない(笑)。とてもよかった。

僕が最も印象に残った・・・というか、これができるかどうかだよな、と思ったのは、この写真。

木製のヒヨコのような玩具が、坂道をコロコロと転がっている遊具です。

ヒヨコらしきものは、既製品です。そして、写真の坂道は90㎝ほどありますが、既製品として付属していたものは、15㎝ほどの長さだったと思います。

この園は、乳児園ですので、シンプルな遊具が適してる。しかし、園長先生は、このままではあまりに距離が短いと考え、自作で1×4の板を切り、坂道を作った、という経緯で生まれた遊具です。

DIYに多少の造詣がある人なら、この程度のDIYは30秒で作ってしまうくらいに簡単なものです。

しかーーーーし、僕は、ここに「今すぐできる」のか、「100年後にできる」のかの、極めて本質的な違いがあると思うのです。


①既存の枠から、抜けだして考えられるのか
・僕らは小さい頃から、与えられたスケールの中で、生活するように強いられてきました。特に学校生活はそうです。違うことをすると、怒られる。先日は拝見した小学校の授業もそう。

後ろを見ると注意

右を見ても注意

出る杭は打たれるの言葉の通り、枠からはみ出る事を良しとしない文化の中で育ってきました。

しかし、社会に出ると違います。いかに、自分の頭で考えていくことが求められます。

ということはよく聞きますが・・・・実際、既存の枠組みを脱して考えている人が、果たしてどれだけいるのでしょうか。

僕の肌感覚では、一つの組織に一人いればいい方で、ほとんど既存の枠組みから抜け出して考えていこう、なんて奇人はいないと思う。

だって、そんなにたくさん枠組みをはみ出して考える人がいれば、もうとっくに保育会は変わっているだろうし、やっぱり既存の枠組みをはみ出して考えられる人は、ちょっと変わった人というかね、奇怪な人ですよ。

そんな人がたくさんいたら、組織は逆に回らなくなりそう・・。だって、いちいち反対されて、全く前に進まなくなりそうでしょう。

横道にそれましたが、何が言いたいかというと、別に奇人になれ、ということではなくて、既存の枠組み(ここでは既成遊具)が、合わない場合は、新しく作ってしまえ!という発想が絶対的に不可欠、ということです。

DIYという方法と知識があれば、既成遊具の物足りなさを補うように、作り替え(もしくは作り足し)ることができます。

そう、必要なのは、既成の事柄(カリキュラム、記録、外遊び、ごっこ遊び、劇、弁当のルーティーン、身支度の仕方など)を、子どもの現状やそうあって欲しい願いに必要な、「知識」と「方法」を知ることで、作り替えていくことができます。

知識と方法を得るために、外に出ること(研修会に行くことや本を読むことでも含)が必要なのです。

まあ、知識と方法を知って、すぐに実践できるのか、理解されるのかどうかはまた別の問題になりますし、それをするには、直球一辺倒ではない戦略が必要になりますので、それはまたの機会に(と言っても、過去の記事で書いたかもしれないが)。

ああ、また字数が多くなってしまった、本当はあと二つあったのに・・・
今回は、これまで。

ここまでのまとめをすると、
・子ども主体の保育をすぐできるか、100年後にできるかは、DIY精神があるか
 どうかで大きく異なる
・DIY精神とは、既成遊具(既存の枠組み)にとらわれず、状況に応じて、自分で
 作り替え、作り足していくことである
・既成の概念から抜け出るには、知識や方法に出会うことである

あなたの描く実現可能な未来は、明日ですか?100年後ですか?

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