見出し画像

ORANGE RANGE「world world world」

2009年発売6枚目のアルバム。これまでのレンジのアルバムと比べると本作ではシンセによる打ち込み主体のエレクトロなサウンドが多いほか、どこか薄暗いイメージの曲が多いのが特徴。このアルバム以降打ち込み主体の曲も今日のレンジの音楽スタイルに組み込まれていく事となる。また「musiQ」あたりから多くのミュージシャンが楽曲制作に参加していたが、サポートドラマーと「瞳の先に」のストリングスグループとそのアレンジャーのみの参加となっている。
gr8!から発売した最後のオリジナルアルバム(アルバム自体は「ALL the SINGLES」が最後)となり、メジャーデビューから音楽プロデューサーとして携わってきたシライシ紗トリが最後にプロデュースするアルバムとなる。
初回限定版は「おしゃれ番長(メンバー編)」「鬼ゴロシ」「瞳の先に」のPVと「瞳の先に」のメイキング映像が収録したDVDが付属している。
ちなみにNAOTOのお気に入りのアルバムとのこと。

メンバー
YAMATO・・・ボーカル
HIROKI・・・ボーカル
RYO・・・ボーカル
NAOTO・・・プログラミング、インストゥルメンタル、コーラス、パーカッション、ベース、ドラム、ギター
YOH・・・ベース

収録
the map

作詞・作曲 ORANGE RANGE
打ち込み主体のアンビエント寄りで宇宙空間を意識したようなエレクトロな曲。サウンド・歌詞共にいままでのレンジのスタイルにはなかったタイプの曲で全体的に音数も抑えられている。歌詞は第三者が愚かな人間の醜さを蔑むような内容。イメージとしては陽が昇らない架空の場所という設定の元作られた曲らしい。BメロRYOパートの古文書とかに書かれていそうな語りのような部分とDメロのHIROKIの詩的な表現の歌詞が特に好き。
個人的にこのアルバムの中で一番好きな曲。

FACTORY
作詞・作曲 ORANGE RANGE
バンドサウンド主体の曲で曲の雰囲気が結構変わりやすい曲で、さりげなくサビは数少ないYAMATOがリードボーカル。歌詞に関しては前半は世の中や普段の生活からくる不満や愚痴のような事を並べており、後半のサビではそれらをまとめて批判めいた事を言うがそれが‘‘人‘‘だとフォロー?を入れている。結局最後の歌詞は愚痴というか屁理屈で締める内容。
イントロのYAMATOの「愛してるって言われても~」のぼやきと、ラストのサビの陰鬱な感じを吹き飛ばすような感じに盛り上がりが好き。

KIMAGURE 23
作詞・作曲 ORANGE RANGE
音に厚みかかった情熱的なタンゴ要素が入った曲。歌詞は彼への愛が深すぎるドM気質な女性の歌で「マイ・ライフル」(シングル「UN ROCK STAR」のカップリング曲)同様女性目線で歌われている。「2番目の女の勘違い」がテーマらしい。
タイトルは「きまぐれ にーさん」と読むものと思われる。

おしゃれ番長 faet.ソイソース
作詞・作曲 ORANGE RANGE
シングル曲。ソイソースとポッキーのCM繋がりで「DANCE2」同様小粋なダンステクノポップナンバー。レンジらしい印象に残りやすいメロディと歌詞が特徴。特に「おしゃれ番長 カナリつぼ ハニカミポリスメン あこがれパイナポ」なんてフレーズが実にレンジらしい。
「いつまでたってもコドモ」~YAMATOパートの目を回した時のような歪んだ感じの流れが好き。
ソイソースとは早い話、リーダーのNAOTOの事である。NAOTOは八宝菜が嫌いなご様子。

White Blood Ball Red Blood Ball ~Dub Mix~
作詞・作曲 ORANGE RANGE
「身体の神秘」がテーマで、身体の脈を意識したようなリズムと体の奥深くを探っていくような堀の深い感じの打ち込みサウンドをダブでミックスしたちょっとグロい曲。この曲のドラムはNAOTOが叩いている。
歌詞の「血管道24号線を通るルートです」と「人体模型を見つめて理科室 日が沈む」の語感が異様に大好き。
余談だが、「はたらく細胞」という漫画を思い出してしまう。

Son of the Sun
作詞・作曲 ORANGE RANGE
「the map」同様アンビエント的な曲で深海または夜の海をイメージしたような静かなサウンドで終始メンバーの手拍子を打っているのが特徴。元々は沖縄ソングとして作られたのが編曲していくうちのこのようなアレンジになったらしい。
歌詞はまるで海で暮らしていた生物が陸で暮らすようになって海に別れを告げるかのような内容。最後の「てぃーだぬふぁんぐゎ」は沖縄の言葉で‘‘太陽の子供‘‘という意味で入れたらしいが、本当は‘‘太陽の葉っぱ‘‘という意味らしく、単純に間違えたらしいw

ジャポネーゼ
作詞・作曲 ORANGE RANGE
バンドサウンド主体の曲でNAOTOが久々にロックなものをやりたいという事で作られたプログレッシブ寄りのロック。初期メジャー前のレンジっぽさを感じる。
所謂毒づいたレンジの曲で歌詞は昨今ニュースで報道されているような国内と世界の情景、そして逆もまた然りでニュースでも語られないような裏を歌っている。個人的に特に「汗水垂らし 真面目に働き 体壊しながら辿り着いた雲の上の上 しかし 地上から見た青空は ただただ寒い マイナス地獄」が一番響く。最後のYAMATOが歌唱の裏でシャウトしまくるのが印象的。冒頭でピー音交じりの演説のような声が入っているがイマイチ聴きとりにくい。
ジャポネーゼはイタリア語で「日本」なのだが、なぜにイタリア語?

space girl feat.ペチュニアロックス
作詞・作曲 ORANGE RANGE
歌詞が掲載されていないのでインスト曲のような扱いだが、この曲ではレンジの楽曲で唯一全編NAOTOによるボーカル曲となっている。サウンドは宙に舞うイメージしたギターサウンドが全面に出たテクノポップな感じになっている。NAOTOのボーカルがそこそこ個性的な感じだが全体的にボーカルの音が小さい事もあってサビにあたる「君はspace girl」という部分は辛うじて聴きとれたが、それ以外は聴きとりにくい。
終盤のファーンって音のシンセ音が好き。
ペチュニアロックスとは早い話、リーダーのNAOTOの事である。

瞳の先に
作詞・作曲 ORANGE RANGE
シングル曲でNHKのドラマ「ふたつのスピカ」の主題歌。本作唯一ストリングスを用いたバラードソングというのもあってこのアルバムの中では一番毛色が違うものとなっている。
歌詞は人生への応援ソングといったもので、夢を諦めないで描き続けてというメッセージが込められている。結構いろんな人に当てはまりそうな状況や心境を歌詞にしているので共感が得られそうな曲ではなかろうか。個人的に特に「いつからか夢を追う事に 意味を求めだし 逃げ出した自分可愛がり いいわけ探して」という部分がグサッときてしまった…。

HIBISCUS
作詞・作曲 ORANGE RANGE
打ち込み主体の曲でテクノポップ色が強いテンポが速いサウンドが特徴。このアルバム唯一の夏ソングでタイトル通り「ハイビスカス」を歌った曲。まさに常夏の沖縄で聴きたい曲である。
歌詞の「チャラ男のハッチ・ミツバチ先輩 「どーよ今日コンパ?」(先輩今日バイトっス!)」が電気グルーヴを彷彿するようなおふざけ感満載で好き。
2020年にライブ会場限定アルバム並びに配信アルバム「NAKED×REFINISHED -3 mics and back sounds-」にてセルフカバーされた「HIBISCUS ‐REFINISHED‐」が収録されている。
余談だが、ハイビスカスというワードを聞くと「海物語IN沖縄」を思い出してしまう…w決してパチンコはやっていない筈なのにだw

鬼ゴロシ
作詞・作曲 ORANGE RANGE
韓国の映画「グッド・バッド・ウィアード」のエンディングテーマ。シングル「UN ROCK STAR」以来ハードロックな曲となっている。
かっこいいサウンドとは裏腹に歌詞は何となく雰囲気と語感を出す為に少しおふざけに近いシュールなワードを並べたようなものだが見事マッチしているから不思議だ。この曲でのYAMATOは基本シャウト担当といった感じで後半の英詞パートや最後の歌唱部分は異様にかっこいい。
特に好きなのは3分09秒からのRYOパートのまるで怒りが静かに立ち込めていくような感じが堪らない。
2016年のコラボベストアルバム「緑盤」にて元HIGH and MIGHTY COLOR
のドラマーSASSYとコラボしたセルフカバーヴァージョンが収録されている。

IKAROS
作詞・作曲 ORANGE RANGE
前作「PANIC FANKY」に収録の「ドレミファShip」を彷彿するような爽やかでトゥルーエンド感溢れるスピーディーなロックソング。
タイトルはギリシャ神話に登場するイカロスのことで、YOHが幼いころにイカロスの話を聞いて衝撃を受け、「夜ならイカロスも飛べるはず」という意味を込めたイカロス復活ソングらしい。その為、歌詞はイカロスの前向きな視点で捉えたものとなっている。
YAMATOパートの「夜行列車乗り 夜空の旅 飛び出せほら 蒸気ポッポ 見た事ない 他の世界へ」の部分が特に好き。

Fin
作詞・作曲 ORANGE RANGE
打ち込み主体の「the map」「Son of the Sun」同様アンビエントの曲でこちらも宇宙空間を意識したようなサウンドになっている。あちこちで鳴る電子音が星を意識したような感じになっている。本作で唯一RYOパートが存在せず、この曲ではコーラスにのみ留まっている。
個人的には宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」などの作品のような雰囲気を感じられる。
少々意味深なタイトルだが、メンバー曰く「曲順が最後だから」という理由で単純にこのようなタイトルを付けたらしい。

現在所有しているアーティストCD・音源(邦楽編)
https://note.com/odmssyw/n/n4d7ea2d38165

現在所有しているアーティストCD・音源(洋楽編)
https://note.com/odmssyw/n/n9e4b10ae1dce

現在所有しているアーティストCD・音源(その他)
https://note.com/odmssyw/n/n34964b507575

現在所有しているアーティスト DVD・Blu-ray
https://note.com/odmssyw/n/n47d6b0d7eb31

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?