#小説
かっこうの餌食(未完)
一
いつのまにか枯れてしまった指先は新聞紙を捉えられず、するすると滑った。常田は妻が淹れたアイスコーヒーのグラスに浮かびあがった結露で指を湿らせ、ページをめくり、デスクへ前のめりになって当選発表欄とくじ券の組番とを一文字ずつ見比べた。それが終わると今度は口に出して言った。
「一等、二千万円、七十四組、一、〇、二、〇、三、四番……こちらもまた七十四組、一、〇、二、〇、三、四番か。」
常田は椅子
一
いつのまにか枯れてしまった指先は新聞紙を捉えられず、するすると滑った。常田は妻が淹れたアイスコーヒーのグラスに浮かびあがった結露で指を湿らせ、ページをめくり、デスクへ前のめりになって当選発表欄とくじ券の組番とを一文字ずつ見比べた。それが終わると今度は口に出して言った。
「一等、二千万円、七十四組、一、〇、二、〇、三、四番……こちらもまた七十四組、一、〇、二、〇、三、四番か。」
常田は椅子