棚卸し


ありがとも涙も欲しいわけじゃない敢えて言うなら一瞬の凪

微笑んで瞼を静かに閉じるだけそれだけあれば自分を抱けた

あの膝の柔さ温さを知らぬままアタシがアタシを忌避するように

色だけじゃ誤魔化せなくてカメレオンアヒルのなかでお目々ぐるぐる

咀嚼して膨らみ日々を彩れば良いのだからと唾を飲み込む

感情はひとまず棚の上に置き平らにならした事実を歩く

虚空から掬い集めて撚ったなら目にも映らぬきぬが織れるや

ゆうるりと天使の輪っかに乗る手から伝わる熱があれば良かった

握り割るつもりで置かれた掌の判別つかぬ天使の輪っか

赤と青足せば紫世の中はそんな怠惰じゃ生きてゆけない

かくれんぼしているつもりもしかして愛しい人をまたオニにして

微笑みと涙のほかをまだ知らず君の思いは混沌のなか

秋風に緩む心のやすらぎを溜めおくことは無理だけれども

お気に入りはひとつと決めている私フード目深に意に沿わぬ風

蹴り出しの地点わからずジャンプする確約なんてあるはずもなく

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字足らず字余りで棚上げにしていたものを取りまとめ。

あっちからこっち、こっちからあっちとくっつけたりバラしたり、31音に収まったってだけの歌群です。
我ながら何が言いたい?ってのもあるけど、これからも五音と七音でメモしておくと面白いかも。

年明けてからの2022の棚卸し。

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