【読書感想】毒と毒殺の歴史

私は化学専攻なので、授業のなかでこれは毒物です、という物質にも出会ったし、現に研究室で毒物を使ったこともある。(もちろん、管理は厳重で、使用量、使用時間などをしっかり記録しないといけなかったなという思い出。)

あと、小学生の時から赤川次郎の作品が好きで、特に三毛猫ホームズが大好きだった。ミステリーで使われる毒物としておなじみなのは青酸カリだと思う。授業で青酸カリ=シアン化カリウムだと知ったときは嬉しかったけど、心のなかで「たった3文字かよっ」て思った。なんで人体にとって毒なのかも教えてもらえてとても面白かった。

この本はいろいろな毒物と、それを使った殺人の歴史について書かれた本。タイトルまんまだけれど。毒をもった植物や生き物は、その毒の成分が何で、人体の何に作用して毒として働くかを解説してくれているので、化学的にもとても楽しい本なのである。一番気になる毒はボルジア家のカンタレラ。”あの雪のように白く、快いほど甘美な粉薬”というキャッチフレーズがもうそそられますね。組成が分かっていないというのも素敵。ヒ素化合物という説が有力みたい。そりゃ小説や曲の題材になるよねという感じ。

毒物の中には、重要な工業用物質として使われているものもたくさんある。青酸カリだってそう。物質が悪いんじゃなくて間違った方向に使う人が悪いのです。化学専攻としては、”化学物質”という言葉にあまりよくないイメージがついているのが悲しい。これは毒に限った話ではないけど。

同期(同じく理系)にこの本の話をしたら興味を持ってくれたので、休み明けに持っていこうと思う。

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