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SixTONES「声」初回盤B全曲レビュー

SixTONESのアルバム三枚目「声」は、一言で言うと「人」を表したアルバムだった。6人の声もぬくもり、人としての喜び・悲しみ。そんなものが詰まった、厚みと迫力と、彼らの人間的な魅力がビシバシ伝わってくるアルバムだった。

ここからは一曲ずつ聞いた感想を書いていきます。


Overture -VOICE-
アカペラで際立つ、ハーモニー。やわらかさとかたさ、包み込んで刺して、六人はかなり声質が違うのに、重なると不思議とすごく心地よい。昨年の年始を騒がせたforst takeも思い出される声の芸術。

Boom-Pow-Wow!
ブラスの楽器やクラップの音、軽やかなビートが、洋酒がふるまわれる立食パーティみたいな上品な艶かしさを醸し出す。蔭のある主人公がフロアの隅に立ってそう。でも、前に前に進みたくなるベースラインや、シャウトが、アゲアゲ感をほとぼらせる。ダーク感とアゲ感が同居する、癖になる一曲。

Good Luck!
言わずもがなポップハピネスソング。サビの転調を聞いた瞬間、アイドルソングお得意の「これぞ王道なポップアイドルソング!」と胸が高鳴った。でも、ジェシーのやさしくてやわらかい声が際立つから、ただ元気なだけの曲とは違う雰囲気。やさしくて泣いちゃう。声質のぜんぜん違う六人がひとりずつ歌うからこそのカラフル感。
「Let ot go, movin' on 笑ったもん勝ち」の多幸感よ。着メロにしたいくらい。Mステや紅白では笑顔をくれてありがとう。一生忘れません。

Outrageous
やばい、えぐい、はんぱない、そんな曲名。「Special Order」「Whip that」枠の爆踊りオラオライケイケEDM曲。サビ前のお決まりのビルドアップもよい。一回静まってシンセベースだけが鳴って、またビートが畳み掛けるところの、まだかまだか!!と焦らされる感じ。パフォーマンスはどんな感じなんだろう。はやく円盤で見たい(ライブ行けない勢です)。ちょっとオールドなダークなヒップホップっぽいノリもサイコー。「Get ready for sction . . .」の決め台詞的なところを、いろんなメンバーが言ってくれるのも愛おしいし、ファン冥利に尽きる。こういう曲のきょもの歌姫感が密かに好き。

ふたり
繊細でこわれそうな愛を、手のひらでいつまでもあたためたい。ユニゾンになっても隠しきれない歌唱力。短い尺にぎゅっと魅力が。ありがとうございます。ありがとうございます。

共鳴
「轟かす共鳴」!ありがとうございます。
バックバンドのキメが冴え渡る、キレキレサウンドを嫌いな人などいない。ベースがゴリゴリすぎて、ピアノがきらめきすぎて、インストだけで飽きない。きれいだけじゃない。ロックなだけじゃない。
こういう難しい歌詞のダークではやい曲の、松村北斗の輝きったらとんでもない。「NAVIGATOR」「Rosy」的な雰囲気を感じるものの、前に曲と比べると一人一人の個性が歌詞やメロディーとはまりまくって、その総合体としてぶつかってくる感じがたまらない。一人一人に見せ場があるのもたまらない。最高。

人人人
今作一の驚き。数回は聴くも呆気にとられて、聞き惚れていた。ラフでお遊び満点!でもおしゃれなバンドミュージックに、人間味溢れるライム。「ホラ オレラ ステージノ ウラジャ……」いろいろもろもろを乗り越えてきて、個人としてもグループとしても頑張って、いまを作った6人の、ひょっとしたらウイークポイントや謙虚さ、そういう「あまりに人間」な姿が吐露される。サビの、ラフなユニゾンもひとのぬくもりにあふれて、でもたまらなくかっこいい。泥くさくなりすぎないのは、ベースラインやカッティングがおしゃれすぎるから。シンセもシティ感ある。this is the SixTONES。

Risky
だるい感じのミニマムなサビが大人の魅力な一曲。まだユニゾンなだけさわやかだが、ひとりずつ歌うと色気が大変なことになることが容易に予想されるため、ユニゾンで歌割りしてくれて正解。

Chillin' with you
また、生活のなかに溶け込んでほしい一曲が増えた。休日の朝か、平日の帰宅時に聴きたい。ダウナーなラップ、樹、さまになりすぎていてびびる。この穏やかな曲に繊細に声をはめていくように、自然に調和していてとても聴き心地が良い

SUBWAY DREAMS
元気が出るのに、ほどよく肩の力が抜けるおしゃれな一曲。日常使いにぴったり。こーちと森本慎太郎と、この曲の相性のいいこと。彼らの声は、聴くだけで笑顔になってしまう。
「一歩ずつ downstairs……」の裏で、ぱーーーーっと鳴ってるシンセの音。これは、ほんとうに、電車が出発するときの音に似てませんか(阪急 大阪梅田駅から電車が出るときの音)。そして、森本慎太郎のラップって良い。アドレナリン爆発!ではないけど、思わずスキップしちゃうようなご機嫌ナンバーが、またわたしのプレイリストにイン。

お正月恒例のSixTONES広告

PARTY PEOPLE
アルバムで聴くと印象が変わったで賞1位は、個人的にはこれ。YouTubeではじめてみたときの、クラップ、カラフルなMV、NANANA…のコーラス、ブラスの音という爆イケアゲな感じはもちろん大好き。サビのビートが思ったより跳ねてないリズムだったこととか、意外と音数少ないこととか、抜け感オシャレ感に気づいた!あらためてANTHEMになりました。じっくり聴いてみてください。こういう細かいことの積み重ねでSixTONESらしさは作られているのだなと実感。

わたし
切なすぎる「有り得ない」がリフレインして、心臓をきゅっと掴んで離さない。六人の声の、粒の粒のひとつ、息づかい、すべてに感情が乗っかっていて、ひとときも聞き逃したくない。そんなバラード。

Always
生きている喜びを噛み締めて、抱き締めてあげたいような一曲。今年も彼らも一緒に、朝日を眺めよう。

OPA!
田中樹と森本慎太郎のユニット曲。ふたりの声質や、ラップのマッチ度合いが気になっていた今、うれしすぎる一曲。甘辛ミックス(語彙が古い)で、ユニゾンしたら相性バッチリ。サビがミニマルなのでめちゃめちゃ踊るんだろうか。ANNでしゃべくるときの2人と同一人物とは思えない。

ラ・ラ・ラ・ラブストーリー
きょもとこーちのユニット曲。ミュージカルでハピネスな一曲に、ふたりのかわいさが詰まっている。意外とマッチしていて、こーちのカメレオンぶりに驚かされる。聞くたびにニコニコしてしまう。

愛という名のベール
松村北斗とジェシーのユニット曲。大人しっとり、でもどこか往年のジャニーズを彷彿とさせる曲調の、アップテンポのバラード。意外と、SixTONESはこういうザ・ジャニーズな曲は少なかったので新鮮。言わずもがな、渋さ・切なさが遺憾なく発揮されて最高。


ジャケットには、白い背景に、黒い衣装をまとった6人がまるでダークヒーローのようにたたずむ。助けに来たのか。どこかにつれていかれるのか。その手には、光を放つマイク。

「声」にはどんな意味が込められているのだろう。

声。お前だけの声。お前だからあげられる声。
自分がここに立っていることの証となる存在意義。

声。みんなで出す声。ひとつにまとまる声。
生まれる一体感。気持ちを伝え合ううねり。

声。あなたにかける声。あなたの名前を呼ぶ声。
愛を届ける、世界にひとつしかない合言葉。

声。人間だからあげられる声。呻き声。咆哮。
生きていないと発することのできない、あなたの声帯が出す唯一無二の、あなたの、ぬくもりのある、声。

このように多義的な意味を持つ「声」というキーワードのもとに、スポットライトをあてられたのは「人間性」「ひとであること」。
流行り病が物理的にわたしたちを個人と個人にした。
格差や分断によって、わたしたちはまた引き裂かれる。
人から個人へ、個人から数字へ。
ただの1になってしまったわたしが「ひと」に戻るためには、
おまえだけの「声」が必要だ。その「声」はうねりをつくり、
隣の1を「ひと」にし、それが連鎖していって、
社会に「ひとびと」がまた戻ってくる。

ダークヒーローは無条件にはわたしたちは助けてくれない。
声をあげないサイレントマジョリティーのままでは、彼らには見えないままなのだ。王子を夢見る姫ではなく、ひとりのひととして。
自分の足で立つ、パワーのある人間になってはじめて、
六人の速さについていくことができるのだろう。

今作は、前二作よりも広く親しみやすい曲が増えており、人気の広がりが感じられる。その一方で、楽曲はSixTONESらしさがたしかに秘められていて、変わらず個性的な世界を広げていた。六人のそれぞれの「声」=個性的な音色や歌唱力を武器として、どんどん魅力を発信していくのだろう。今年も彼らから目が離せない。


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