気持ちを隠しちゃダメなんだ。
先日,母と膝を突き合わせて話した。何年振りかわからない。
ずっと感謝の伝え方もわからずに全く無愛想でいた数年間を経て,ようやく対話した。
きっかけは彼女と別れたことだ。
「彼女とうまくいってるの?」「別れた」
「振られたの?」「うん」
「落ち込んでるの?」「うん」
いつからか全く家で話さなくなって,接し方がわからなくなっていたからその日はわずか3往復のやりとりで終わった。そのまま話そうと思ったけど,やはり言葉は続かなかった。
2日後,母親にLINEした。ここで話さないと一生取り返せないものがありそうな気がしたのだと思う。
「今日話したい」「いいよ」
帰宅して21時。リビングには母と僕。
ダイニングチェアに腰掛けて読書をする母とその正面にあるソファで母に背中を向けて座る僕。
10分間くらいは沈黙だっただろうか。そして,紅茶を一口飲んで3秒。
「あのさ 振られた」
そこからは堰を切ったように言葉が溢れ出てきた。
いつ振られたのか。振られてからどうしたのか。付き合っているときはどんなだったか。していたことは何か。していなかったことは何か。後悔しているのは何か。今何が辛いのか。
母は黙って話を聞き,詰まれば言葉を引き出してくれた。
僕は彼女に対しても家族に対しても素の自分を隠し,そうやって自分を閉ざしているうちに相手が欲しているものまで見えなくなっていたのだ。
伝える努力もせずに伝わってると思うなんて傲慢だ。思っていることがあるなら伝えて,そして相手に全力で応えないといけないといけない。
尽くした先に何があるかはわからない。
でも尽くさない限りは永遠がないことは確かだし,僕たちができるのは望んむ未来に向けて今を生き続けることだけだ。
気付くと隣に大切な人がいない。そんな経験は二度とごめんだ。
今,母の作ってくれたおにぎりが美味しさを噛み締めている。
一言「美味しい」とLINEで伝えてみた。
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