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ここは空が減っていくのです


次に僕が目を覚ましたのは、真っ白な広い部屋でした。

僕はベッドに寝ていたみたいです。

『目を覚ましたみたいだね』

ふと見るとまたあの友人です。これまた少し違うように見えます。

「次は、ここは、どんな世界なの?」

その友人はこう答えました。

外を見るように促されて僕は外を見ました。

曇天の薄気味悪い空の世界です。

世界は大気汚染や土壌汚染によって、どんどん住める場所が少なくなっていった未来の世界です。

かろうじて残った人間の居場所は限られた上に絶対的に室内で、外にはなかなか出られないようです。

こうして室内にいるしかないと僕に話してきました。

『こうしてる間にも空はどんどん減っていく』

彼の言う空は、住める場所を指していて、もう青空はこの世のどこに行けどないそうです。

『もうこれより先に行くことはおすすめしないけど、俺がいるから大丈夫だよ。あまりむちゃくちゃやったりさえしなければ、なんとかなるようにしておいたから』

そこにはあの子もいました。

もう住める場所さえ限られた世界です。

その場にいる他の人たちは口をそろえて言います。

【青空というのを一度でいいから見てみたい】

お金持ちも貧乏人も、もう二度と青空を見れないのです。

人間が、その手で、この先どうなるのかもわからずに好き勝手に暮らした生活で今はもう外に出られないし、青空は二度と来なくなったと友人が教えてくれました。

『もしかすると、この先のくる時代に備えて、自分の一族の存続をかけて必死になってやってきた【立て直し】だったんだろうと今はそう思うよ。清晴。お前の家族はこの時代の先にいる。次に飛んだ先に会うが、話すことはできないと思う』

「お母さんとかお姉ちゃんには会えないってこと?これ今ここからどうしたらいいの?」

『多分、会えはする』


僕は外の曇天とその状況にすごく悲しくて残念だった。

もし次元の違うパラレルワールドであったとしても、そんなに同じ人間が悲しい思いをしているのはやっぱり辛い。

友人は僕に外に出るように指示した。

外に出たらこれを思いっきり吸えと電子タバコのようなものを渡してきた。

自分たちがいるその場所は、高い建物の6階くらいにあった。

その窓から見える下に降りた裏路地につながる道を指してあそこに入ってこれを思いっきり吸えと。

『この先にたどり着いたところでは、なるべく喋らないほうがいい』と言って忙しそうに僕から離れた。

すぐに僕は外へ向かっていった。不思議と道中で誰にも会わないのは、外に出ようとする人がいないからだろうか。

何の問題もなく外へ出た。

そして裏路地へ。

商店街の小さな店の裏口のようなものがあった。

自分の知るプロパンガスやケースに入ったビール瓶が積まれてあったり、自分の中にある裏路地そのものという光景だった。

渡された電子タバコのようなものにはキャップが付いていて、そのキャップを開けるとモクモクと蒸気のような煙が吹き出している。

口をつけ、一気に吸い込んだ瞬間、多分気絶するってあんな感じ。

手加減なしにガーンと倒れた。

やっぱり意識を失えど、聴覚だけが最後まで残っているというのは本当で、近くに置いてあったビール瓶のケースがひっくり返る派手な音が聞こえる。

あとふたつって言ってたっけ。次で最後か。元の世界って、戻ったところでどうしたらいいんだろう……

今までのようにここでは次の世界にはすぐにいかなかった。

自分が自分と会話をしていたような感覚がしばらく続いた。

なかなか目を覚ませない夢の中のような、そんな感じだった。

自分はたった一人の自分でそれこそ膨大な時間の流れと存在する時代においてめちゃくちゃちっぽけな存在でしかない。

それなのにどこまでいってもちっぽけな自分という存在をコントロールできなくて、錯乱し、それが親のせいだとか育った環境がとか色々なもののせいにしてまだ何も成してはいない。

実は僕は、うつ病が長引いている間、なんか忘れてる気がする。という感覚がずっとあって、それをこの時に考えていました。

『何か忘れてる気がする』そう思った時です。

ここからは実際にあった、現実世界での話です。それを走馬灯のように見ました。

うつ病と診断されてからしばらく経ったある日のこと。その時期は毎回病院に母親は付き添いで、姉は病院まで運転で連れて行ってもらってました。

その頃診察の帰りに決まってよくいっていた喫茶店での話です。

『実は言ってなかったけど、〇〇年に一度、うちの家系では〜』から始まる話を母が話しだしました。

僕はその話を当時は半分聞くくらいの感じで今まで忘れていた話でした。

その話はこういうものでした。

清晴は生まれた時からめっちゃ大変なことを経験する。それは最悪なことも起こりうる。

それでも周りに人がいてくれる。その人生のマラソンみたいなのはもう始まっていて、走っている横から「清晴がんばれ!」ってみんながついてゴールまでそれを続けて支える。もうヘトヘトで泣きながらでもそれを生き抜く力ももう既に備わって生まれてきていて

【ゴールしたら、とんでもないことになる】

「は?何そのとんでもないことって?」という僕に

母は満面の笑みで聞き返しました『どうなると思う??』

「ん〜、宝くじに当たるとか?」

その場にいた姉は母と顔を合わせて目を丸くしてこう言いました。

『そんなもんじゃないよー!もっととんでもないことだって!てかあんたこの世のとんでもないことが宝くじなわけ?!』と笑いながら言っていました。

「そんなんわからないじゃん。どこからその話なわけ?」と僕が言うと

うちの家系の過去に同じことが何回かあって、それを見てみると周期が決まっていることに気づいたらしい。

その番が僕に廻ってきたのが、この今というその話を聞いて僕は

マジふざけるなし、そんな大役。苦しむの決まってるし絶対嘘というのと、何その周期とかいうの何年周期だよデマカセだろどうせという勢いで言うと

【ちょうど百年】と言われて笑うしかなかったのを思い出した。

そんな時のビジョンをまた見たのと同時に

僕はこう思った。

「そうだよ……走り続けなきゃ……みんながいてくれる……」



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