陰茎ぶらぶらJK銀行
ズボンとパンツを履かずに、大の字になって寝そべっていた。
今朝の8時30分くらいのことだったのかもしれない。休日は時計を見ないので詳しい所は良く分からない。がしかし、今思い返すと8時30分前後だったのではないだろうかと思う。
くたびれた自分の陰茎越しに水色のペンキで塗りたくたれた玄関が見える。
廊下の方から子供の声が響いている。
新聞受けが空いたり閉まったりしている。「辞めなさい!」という母親らしき人物の声が響き渡って聞こえた。同じ階の子供が私の家の新聞入れに手を突っ込んでいるのだろう。
新聞受けがパタパタとするのを、私は陰茎を越しに眺めていた。
新聞受けの少し先に陰部を丸出しにしながら大の字に寝そべっている27歳がいるなどと、誰が思うだろうか。私は思わない。
名誉のために言うが、Tシャツは着ていた。上半身に「衣」を纏わり付けることによって、下半身への解放感が増されていく感覚があった。
かと言って解放感を目当てに衣類を身に纏っていたのではなく、これはもうなにか形容し難い、人間としての意地のような部分、私の根底に流れる根強いプライドのような、なにかが作用して私はショッキングピンクなTシャツを着ていたのである。
部屋が暑い。これからもっと熱くなるのだろう。扇風機を回す体力すら残っていない。カルピスの現役が台所にあった気がする。このPCは私に似ている。変換で気を回してくる。正しくは原液である。でもあれは友達の実家で飲むものであり、今や現役とは程遠い存在になっている。カルピスの原液が上手いのは懐かしさにある。
原液にはPET500にはない、純粋無垢な少年時代が成分に入っている。
我が家の水は綺麗なのだろうか。結構前に汗の匂いがしそうな、身体から発している雰囲気だけで、迂闊ではあるが、彼は不幸だと断定出来てしまいそうになる感じの水道業者がやって来て、「あぽ取ってますから」的な感じでズカズカと家に入ってきては、我が家の水道の蛇口を十分程捻ったり捻らかったりして、「はい!!!」みたいなことを言ってきたのを思い出した。
うちの水道は汚いんじゃないか?と言うと、彼は額から落ちる汗を腕で拭きながら、「綺麗です。そのまま飲めます。本当に。」みたいなことを言っていたのだが、彼の額から滲み出る汗が床に落ちるではないかということの方が心配になってしまい、早々と部屋から出て行ってもらって、詳しく聞くことが出来なかったのである。
彼が言っていたことは本当のことだったのろうか。陰茎が右に左にゆらゆら揺れているのを見て、私の額から汗が滲み出ているのに気が付いて、とうに子供はどこかに行ってしまったのを知って、今日は銀行に行かなくてはならないことを思い出した。
銀行に行くまでに、五時間程かかってしまった。特に何をしていたという訳ではないのだが、バイトでもない限り外出するためにはこれくらいの時間を要してしまう。
ショッキングピンクのTシャツとアディダスのジャージ、知らない高校の紋章が刻まれたサンダルを履き、右手に通帳を持って私は数駅先の銀行へと向かった。
駅に向かう途中、私のことが好きだったであろう女とすれ違った。私は今病院内の売店でバイトをしている。彼女は確か私のことを好きだった気がする。入店する度に、レジスター前に立つ私に目をやっては、ニコッっとしたのである。機会をやろうと思い、私が数年間やっていたラジオのグッズであった名刺(そこには私のTwitterアカウント情報等も記載されている)を渡すことにした。
彼女がレジに来た時のことは未だに覚えている。
「お笑いとか見ますか?」
「見ないですね。」
「ああ。そうですか。」
「はい。」
「じゃあ、僕ラジオやっているんでこれ良かったらどうぞ。」
「あ、」
である。それから程なくして彼女は病院から姿を消した。
一年振りの再開である。
目が合った瞬間、向こうは私に気が付いたことは分かった。そこに理屈はいらない。なんつ~かふぃーりんぐと言いますか、とにかく動物として、分かり合った感触があった。隣にチラと目をやると、屈強な男がいた。如何にもダンス命、みたいな、サングラスをしているような感じで、思わず外せや!と怒号を飛ばしてやりたくなったのだが、サングラスはしていなかったのでそれは辞めるとして、とにかくこの女は、この男とSEXなるものをしている感じがあって、そこに疎外感のようなも漂っていたので、私は華麗に彼女の真横をスルーしたのである。誠に糞である。
駅のホームのベンチに座っていると、反対側に女子高生が連なっていた。
自分のTシャツが臭いことに気が付いた。生乾きの臭いがするのである。
彼女達は終始、きゃぴきゃぴ、きゃぴきゃぴといった感じであった。
対岸の火事である。彼女達の火が私に燃え移ることがないと思うと、どこか悲しくもあった。もうすぐ私は27歳になってしまう。
電車が中々来ない。電車は時間通りに来ても来なくても腹が立つ。顔が嫌いなのである。全てが当たり前といったような表情をしながら仕事を卒なくこなしている感じがあるのだ。乗るけども。
銀行で用事を済ませ、帰り道にコンビニエンスに寄って、酒を買った。酒は得意でないし、かなり弱いのだが、最近は毎日飲んでいる。
思考することを出来るだけ避けるようにしている。
でなければ、私はそろそろ気が狂ってしまいそうなのだ。
内縁の父は意識不明状態が二週間は続いていて、母親は来年の四月には全てを失うことが確定している。私は芸人なのかなんなのか肩書なんてものは糞程どうだっていいのだが、とにかく現在不安定な所にいて、どいつもこいつも金がねえですわ、ねえですわっつって、俺も来週には全財産が四千五百円になる見通しが立ってるしで、バイト先のゴミ収集所で段ボールをズタボロに蹴りまくって、引き裂いて、最終的には噛み千切っている所を看護師に見れたりしながらも、日々に必死に生活している訳である。
まともではない。
せっかくなので、文字に起こそうと思い、アレした次第なのである。
ここから私は気が狂うし、多くの物や人を傷つけていくであろうこと、そしてそれが自分の人生に置いて必要不可欠なことであるような気がしてならないのだ。
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【別件バウアー】
悩みを募集してそれに答えるマガジンを作りました。
嘘八百を並び立てでも最終的に「大丈夫なんじゃね?」の方へと結論付けます。
相談内容とその回答は僕のnoteに乗ります。ペンネーム的なのもつけて送ってくださ〜〜い。
宛先
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以下は去年一度だけ書いたやつ。また始めます。
落合諒です。お笑いと文章を書きます。何卒よろしくお願いします。