2020年7月、東京から台北へ移動したの記
2020年7月24日金曜、台湾時間16時30分、成田からのCI(中華航空)101便は、通常より1時間近く早く、台北桃園空港に着陸した。機長の案内によれば外の気温は36度、夏の台湾らしい猛暑日だ。
今年世界を襲った新型コロナウィルスの脅威は移動が著しく制限される状態を作ったが、必要で許可があれば、なんとか来られる状態ではある。これが長く続いて欲しくは無いし、参考になるかどうかもわからないけれど、備忘録がわりに今回台湾に来るまでに準備したこと、現地に着いてからのことを記録しておく。
出発まで
当然ビザ無しでは行けないのと、コロナウィルス感染リスクを最大限減らすために航空券とパスポート以外、出発前に以下の準備が必要。
1. 台湾のビザ(労働許可など)
2. 飛行機の出発前3営業日以内のPCR検査の陰性証明(英語)
3. 台湾政府の「入境検疫系統」オンライン登録(出発便、SMSを送るための電話番号、居場所などを登録) *当日で良い
1は資格さえあれば出るが、2がけっこう厄介。日本の場合通常結果は検査の翌日出るが、場合によってはもう1日、ということもあるらしい。金曜の出発を考えたら火曜に受けて、最短で水曜の夜結果を受け取って(しかもその度に病院へ行く)…と結構バタバタした。コストもそれなりにかかる(今はネットで検索すれば、検査が受けられる病院はいくつも出てくる)。ちなみに検査は、唾液を2ml出す方式。意外と出ない。7分ぐらいかかった。3は中国語と英語の表記しか無いから、旅慣れている人でないと厳しいかも。
しかも、着いてからは「居家(在宅)検疫」と言って、居住するところがない人、家があっても独立した空間が作れない人、高齢者や子供は専用のホテルに14日(15泊)いないといけない。食事はついているようだが部屋からは出られないし、空港から専用の動線で案内されそうで寄り道でき無さそうだし、おやつとかある程度の嗜好品は準備したほうが良いと思って、出発日を決めてからフリーズドライの味噌汁などをAmazonで注文とか、細々やることがあった。
さらに、PCR検査の結果が出ないと、当日空港に向かってよいのか判断できない。フローチャートに沿って、各ポイントの結果に従って行動するかのよう。最悪、陽性が出てチケット変更、出発日延期…フローチャートの途中からやり直し!という事態も想定していた。
出発当日~成田へ
2020年7月現在で日本と台湾を結ぶ便は、成田-台北(桃園)便しかない。日本と台湾の各社で手分けして、1日1-2便飛ばしているようだ。
成田へのアクセスは、普段なら新宿から成田エクスプレス…が、現在朝と夕方しか走っていない。鉄ちゃんとしては終日あるスカイライナーか…でも荷物多い為、利便性でリムジンを選ぶ。京王線ユーザーとしては、バスタ以外に新宿西口から出発するのが良い。エレベーターでアクセス可能。
朝10時すぎに新宿を出発。西口からバスタを経由し、僕を入れて総勢5人の乗客が成田へ向かった。途中若干混雑したものの、通常より早く12時前には第2ターミナルへ到着。昨年、台風で飛行機は発着するのに空港からの交通が全く無くなった日に降り立ち、成田市内へ向かって歩き始めた道なども見え、少し懐かしくなる。
自分が着いた時間帯は、マニラ、上海、台北へ向かう飛行機が出発する。電光掲示を見ると、国際便はトータル1日20便ぐらいの模様。出発便が近いカウンターにはそれなりに人がいるが、それ以外はガラガラ。人気のないショッピングモールのようだ。
出発は出発で、いつもと違う難関が待っている。14日以内に他の国に行っていないか?など普段無い質問をされつつ、以下の条件をクリアしなければならない。
1. 自分の持っているVISAで台湾に入国可能であることの確認(台湾人以外)
2. 搭乗口で発熱していない(検温がある)
1は、カウンターの人が台湾のイミグレに電話して確認していたので時間がかかる。これが終わってようやく搭乗券を受け取れる。結局カウンターに行ってから40分ぐらい過ぎていた。
当然、ラウンジはやってなくて、マクドナルドや吉野家で使えるミールクーポンを2,000円分もらう。マクドや吉野家で2,000円とは、相当豪遊できるぞ!と喜び勇んで出国したのが大間違い!使えるお店は出国エリアの前だった…紙くずと化す(涙)
免税店も、総合お土産屋と化粧品屋がひとつずつやっているだけ。ブランドのお店は休み。レストランも休み。ゲートとして使われているのも、第2だと70番台だけのようだ。
機内
航空会社の人に聞いたところ、僕が乗ったCI101便の乗客は32名。300人強乗る機材だからガラガラだ。ソーシャルディスタンスは確保できてよいが、飛ばしても赤字では無いだろうか。このような状況でも移動手段を提供してくれ、頭が下がる。
乗客が少ないから、機内への案内も時間通りに始まり、20分後には扉が閉まった。自分が座ったエリアは特に乗客が少なく、一番近い人でも3m離れている。事前に座席指定したのだが、窓側の隣や、通路真ん中の座席は指定できない(座らせない)ようになっている。
空港が混んでいないからすぐ離陸。乗務員の人たちは、制服の上に薄いレインコートのようなものを着ている。他の乗客の中には、防護服のような重装備の人もちらほら。台湾では、空港が危ないという認識があると聞いた。
飛んでしまえばほとんどいつもと同じ。機内の映画は普通に見られるし、トイレも行ける。ただ、機内食はランチボックスが配られ、コーヒーと紅茶から飲み物が選べるようになっていた。空も空いているので、成田-桃園は通常4時間かかるところ、3時間弱で着陸。
桃園空港にて
事前に登録していた台湾政府の「入境検疫系統」から日本の携帯番号にSMSが入っている。届くので見てほしい、という案内は機内であった。現地のSIMカードを事前に手配しておくのが良いのだが、空港の電話会社のカウンター閉まっていたし、事前入手は難しそう。多少通信費かかっても、ルールに従うためには仕方がない(僕はその後、会社の同僚からSIMカードを送ってもらったが)。
「居家(在宅)検疫」申請へのリンクがあり、クリックして、3つあるボタンの一番上を押すと空港での申請用バーコード表示画面へ飛ぶ。これを空港にいる職員がスキャンする。ここから台湾政府の検疫管理下におかれるようだ。その先で、自分の検疫期間(14日後、正確には15日目の日付が変わるときまで)や、外出は禁止(罰金刑)であることなどの説明を受ける。
その後は通常の入国と同じで、イミグレで印をもらい、荷物を受け取る。専用の動線なのかと思ったがそうではなく、両替にも行けた(日本でしちゃったよ!レート悪いのに…)。途中、トイレがすべて「乗客専用」となっており、空港職員は使えない。感染リスクを最大限減らすための工夫だ。税関の荷物チェックはなく、若干拍子抜けする。日本だと、空港でPCR検査を受けなければならないが、台湾の場合登場時の陰性証明で良しとしている様で、非常にスムーズに出られた。
台北市内〜防疫旅館へ
日本と同様、海外から入国した人は公共交通機関は利用できない。「居家(在宅)検疫」する場所まで送ってくれる専用の車の受付が見つかったので、申込み。すぐ車に案内される。荷物にアルコールスプレーで消毒される。
台北市内までの料金は1,300元(約5,000円)なので、普通のタクシーより若干高いぐらいか。いつもどおり約40分で市内に着く。街の様子を車の中から眺めると、外を歩く人は半分ぐらいがマスクをしている感じ。一時期より緊張がとけた印象。暑さのせいもあるか。
台北駅近くの「居家(在宅)検疫」専用ホテルに到着。会社の同僚に電話で予約してもらった。15泊で13万円ぐらい(食事付き)。今回の難関の一つが、この防疫旅館の予約で、ネットでリストはあるが、非公開の旅館もあり、政府に紹介してもらうなどオンラインで完結しない為面倒。対応感謝。
ホテルは全館が、「居家(在宅)検疫」仕様になっているようだ。名前を告げ、「入境検疫系統」が発行した書類をフロントの職員にLINEで送る。とにかく接触を避けている。食事は出る(弁当)が、好きなものをUberEatsなど出前で頼んでもよい。でも支払いに現金は使えない(海外から戻った人間、という感染の疑いのある人間が触った紙幣を渡せないように)、などの説明を受けて部屋へ。
鍵ももらえない。「部屋は開けてあるので自分で行って入って」
乗客専用のエレベーターで9階へ上がり部屋へ。
さあ、15泊の外出禁止生活スタートだ。
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