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【虎に翼 感想】第33話 女性弁護士に求められるもの

私の父は、昭和16年5月15日に生まれている。
30年前に53才で亡くなったが、生きていれば今日、83才になっていた。
そう考えると、戦争は決して遠い話ではない。

昭和15年9月、日独伊三国同盟がベルリンにて調印された。各国とも、後戻りできない戦争に、足をどっぷりと漬かり始めていた。



久保田先輩、法廷デビュー

その頃、寅子は、修習を終えて正式に弁護士となったが、女性であるという理由で依頼を断られ続けており、それが、昭和16年の秋まで続いていた。
この日も、女性の依頼者にさえ名刺を受け取ってもらえず、男性の方に弁護をお願いしたいと言われてしまった。雲野弁護士も慣れた様子でイソ弁(勤務弁護士)岩居にバトンタッチするよう指示をする。
寅子はすっかり自信を失っている様子だ。これでは、依頼者はますます不安になり、ますます依頼してもらえなくなる。寅子は負のループに陥っていた。
(よね、依頼者が帰るときにちゃんとドア開けてたのよかった)

女性にも断られてしまったのは、寅子にとって結構痛手だ。
寅子:「私、そんなに頼りないですか?」
雲野:「結婚前のご婦人に頼みたいのは、弁護よりお酌だろうな~あっはっは~」
傍らで笑う岩居に、心配そうな事務員常盤。
悲壮感たっぷりの寅子に代わり、怒りをあらわにするよね。竹もとでかき氷をかき込みながらの「価値観は明治のままか」に笑った(笑) そうやって時代は移ろいでいく。
この時点で、よねは5度目の高等試験を受けている。

言いにくいがゆえに、あえてかき氷を早食いして頭をキーンとさせたのだろうか。その場にいた轟が、同じ事務所の久保田先輩が初めて法廷に立つことを知らせた。

寅子とよねが久保田先輩の初裁判を傍聴しに行くと、法廷では、久保田が記者やカメラマンに囲まれていた。

久保田先輩、ちょっと雰囲気変わった…柔和な表情になっている。
妊娠して母になったこともあると思うが、それだけではなさそうだ。

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錦田弁護士は、大きい事務所のボス弁(所長弁護士)なだけあってさすがだ。どのタイミングで久保田をデビューさせるか緻密に計算している。
担当した裁判は、代議士が妾に産ませた子どもを実子として戸籍に入れたことに関するものだ。それを、妊娠中の彼女に担当させるというチョイスが、よく考えられている。
“日本初の女性弁護士の法廷”で注目されることで、依頼者に有利になるようにとも考えているだろう。
戦争で男性がどんどんいなくなっている。その代わりに女性が男性の役割を引き受けろというお国の命にも一役買ってもらうため、満を持して久保田を登場させたのだ。
“弁護士として、良き妻、母としての久保田を全面的に支えていく”という錦田氏の高らかな宣言は、あくまでも錦田法律事務所のためだろう。

ここに至るまでに、渋る依頼者を錦田弁護士は説得したのかもしれない。「お前にもすぐ機会が巡ってくる」という轟へのフォローも忘れていない。
他方、雲野弁護士は、寅子が依頼者と向き合っていても、新聞で顔を隠して遠巻きに見ているだけだった。彼には、戦略的にイソ弁をサポートする考えなどないだろう。
とはいえ、両事務所にはそれぞれカラーがあり、棲み分けができているということだ。
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久保田先輩は、全て分かって引き受けている。錦田ボス弁からもマスコミからもお国からも求められている女性弁護士像をまとって、法廷、そしてカメラの前に立っている。
男子学生になめられないよう気を張っていた当時の姿はもうない。
彼女としても、合格したときに寅子と共に感じた怒りを忘れたわけではないだろう。自分の一番大事なもののために、今は少し荷物を後ろに置いているだけだ。
今後、久保田先輩の妻または母としての苦悩が描かれるかは分からないが、今後も見守っていきたい。

この裁判の行方も激しく気になる。おそらく相続に関わってくることでの問題なのだろうが、続きを教えてほしい。
裁判官もいろんな人がいる。この裁判官は、はずれだ。


寅子は追い込まれていた。

1年間、依頼を断られ続けていた中、久保田先輩の法廷デビューを目の当たりにし、同じ日に花岡の婚約を知ってしまった。
花江の実家の元女中、稲さんから投げかけられた「すべては手に入らない。今抱えているものが、女の幸せより大事なものなのか、一度振り返ってみては」の言葉も、1年間ずっと寅子の中でくすぶっていた。
花岡のそっけない態度には、よねと轟は一言もの申したい様子だったが、おかげで寅子がお見合いをしようと行動を起こすきっかけになった。

最後の一押しは、背中を押す程度のものではなくて、背中を蹴られた弾みに一歩前へ出てしまったようなものだろう。それでも今は、その流れに乗っかってみようじゃないか。寅子の周りで停滞していたものが、必ず動き出す潮流に。


轟の信頼度アップ

轟は、口が堅いのでしょうね。久保田先輩の妊娠のことも、もしかしたら花岡の婚約のことも…寅子たちには話していなかったようだから。

「虎に翼」5/15より

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