Air Sketch Construction Set

出血と共に平穏な新緑は不穏を帯びる
転倒したままの兎と亀
埋葬される広辞苑
轢断されしミルフィーユから滴るのは――
クラクションが告げる刑期
過ぎ去るポートレイトとフラッシュライト
二文字患いを×××してしまう花片と匕首
終焉に向かう春風に、誰がシアンを混入したの？
暁に変異してゆく桜花水色
彼方の蝋燭に火が放たれて
世界は牢獄と化した
（懲役を傍観し懲役の懲役を苦役が）
ヴァースコーラスヴァースの方程式にうんざりして
（懲役と懲役は兵役の懲役が懲役を）
それでも繰り返す、あの日の禁錮刑は――
――深淵の萌葱色を暴く白日の照明
捜査線上に水死体と半導体が浮かぶが
水槽に封入した水族館と富嶽百景の陰画は
トゥルカナ湖コテージの遺失物と化す
そう、貴女の残り香は奇数に潜み潜れるのに
触れる指先の水彩はいつも刹那なのに
渡せない水晶の秘密は「十二階」に忘れて
彼女らの揺り籠ワンサイドゲームを阻止する為に
「誰が為にサイレンは鳴る」
……無音、不意に静寂が覆う此処
雨に曝かれる翡翠色は仄かに死を漂わせ
寄り添う出血熱の花束を白線に零す
終末の輪舞は注射器の針が狂うまで
試験管の淫靡も色褪せて渋谷円転⤵⤴70913
廻廊を奔り囘る私は本当に走っていたのか
山手線内はいつの間にか猿夢が累積して
新宿錠剤の裸体も聖なるアルタは拘わらず
肢体乃シタイノ正体も無く私は唯
茜色をした(ような)無関心と吸い殻の嘆きに＿＿