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私の人生を変えた一冊

こんなタイトルの記事を書いておいて言いにくいのだが、私は基本的に読書をする習慣がない。

きっと幼少期から読書の習慣があれば、もっと語彙力溢れる素敵な大人になれたのだろうと、結構本気で後悔している。

もしもこの記事を読んでくれている学生さんがいたら、読書はしておくべきだと全力で伝えたい。
学校の図書室に本いっぱいあるからね。


といっても、本を一切読まないかといったらそういうわけでもない。
半年に1回ほど自分の中に読書ブームが訪れ、その時には気になる本を何冊か購入して読む。

しかしブームが過ぎ去ると、それまでの情熱が嘘だったかのように、パタリと本を読むことをやめる。

そういう両極端な気持ちの行ったり来たりを繰り返し、結局1年間で両手で数えられるくらいの本を読むのだった。


でも、本屋さんをフラフラするのは大好き。
時間があると、特に用事もないのに本屋さんで色んな本を見て回る。
タイトルや表紙を見て、「こんな本があるんだ〜」とか、「このタイトルどういう意味なんだろう」と思いながら歩くのが楽しい。


本屋さんで本を買うと、少しだけ新しい自分になれた気がするから好きだ。
本を手に入れたことで、この本に詰まっている情報や感情を取り入れたこれからの自分を想像してしまう。
まだ読んでないのに。

読書ブームの最中も同じ。
本を読みたいという気持ちはもちろんあるが、それと同時に『本屋さんで本を買って生まれ変わる自分』が好きで本を買ってしまうのだ。


「人生を変えた一冊は?」

この問いに出会った時、私はなんとなく小説や啓発本など活字が沢山詰まったものをイメージした。
そして、私にはこの問いに対する答えになるような本はないと思った。

とは言え、冒頭にも書いた通り、少ないけれど今まで読んできた本はゼロではない。
今の自分に影響を与えている本のひとつやふたつあるのではないだろうか。

ふと、大好きな書店散策を思う。
いつも決まってチェックするコーナーは、小説、旅行雑誌、占い、写真集……

あ、思い出した。

あの本は確実に、今の私の原点になっているはずだ。



「東京タワーズ」(谷口巧)

2012年。
世間は、高さ日本一となった電波塔・東京スカイツリー開業に沸いていた。
書店にはスカイツリーに関する本が数多く並び、特設コーナーもよく見かけた。

しかしその頃の私は、スカイツリーにほとんど魅力を感じていなかった。
それどころか、「東京といえばやっぱり東京タワーっしょ」という、誰に対してか分からない意地を張っていた。

私は、東京タワーに取って代わって、スカイツリーが東京のシンボルになるのが嫌だった。
なぜだか分からないけど、とにかくとても嫌だった。

スカイツリーもかっこよくて素敵だが、やはり東京と言われて思い浮かべるのは東京タワーだ。
価値観をアップデートすることが苦手な私は、そんな捻くれた考え方でそれらの本を眺めていた。

そんな時、とある書店の写真集コーナーでこの写真集に出会ったのだった。


この本に出会うまで、「写真集」というのは綺麗な風景とか、美しい芸能人を写したものしかないと思っていた。

なのでこの存在を知った時、こんなにマニアックな本が世の中にあることに驚いた。(実際、これ以上にマニアックな写真集は結構沢山ある。)
それと同時に、とても嬉しかった。


春夏秋冬、朝昼晩。
色んな時、色んな場所から撮影した東京タワー。
ページを捲る度に現れる様々な姿の東京タワーに、私の胸のドキドキは止まらなかった。

「私、東京タワーが好きなんだ。」
それまで東京タワーに対して漠然と抱いていた感情が、はっきりした形となって私の中に現れた。

東京タワーが好きだから、いつまでも東京の象徴であってほしいと思うのだ。
そのことに気付かせてくれたのは、他でもないこの写真集である。

それ以外にも、都会の街並みの魅力とか人々が生活する風景を写した写真とか、今の私が「好きだ」と言える色々なものを教えてくれた。

もしこの写真集に出会っていなければ、そんなことをまだ知らない人生だったかもしれない。
展望台が好きだという自覚もなかったかもしれないし、noteを始めることもなかったかもしれない。

振り返ってみると、私の中ではかなり大きな出会いだったと思う。

それ以来、暇があれば書店の写真集コーナーへ行き、どんな写真集があるのかチェックするようになった。
あと、建築にも興味が湧いて、建築関連の本も見るようになった。


東京スカイツリーの開業から10年が経った今。

東京タワーは今もなお、東京の象徴として人々から愛され、今日も東京の街に堂々と聳え立っている。

東京タワーと東京スカイツリー。
2つのランドマークが共存する現状に、やはり東京の景色はめまぐるしく変わり、日々新しい建物が建っていくのだなと感じさせられる。
それと同時に、長い間変わらずそこに在り続けるものの素晴らしさも感じる。

これからどんな景色が見られるのだろうか。
この先の東京がどんな姿になっても、そこにはそれを見守るように建つ東京タワーとスカイツリーがあるのだろうし、私はそんな未来を願っている。



人生を変えた一冊と言いつつ、他にも影響を受けた写真集があるので、もう一冊紹介させて頂く。

「small planet」(本城直季)

様々な景色を、まるでミニチュアのように撮影した写真集。
初めて見た時は全く本物に見えず、かなりの衝撃を受けた。

ミニチュア風に撮影された街や人々は、可愛らしく、とても愛しい。

また、ミニチュア風の写真は、自分がいるのとは全く異なる世界を見ているかのような不思議な感覚を味わわせてくれる。
そしてそれらの写真は、見る者に物語を想像させる力がある。
私は、それがこの撮影方法の魅力だと思う。

それ以来、私は風景写真を撮る際、必ずと言っていいほどこの撮り方で撮影している。

中部電力 MIRAI TOWERからの景色
東京タワーからの景色
KITTEガーデンからの景色

こんなかんじ。

どの写真を見ても、この小さな街の中で起こっている様々な出来事につい思いを馳せてしまう。

後から写真を見返した時も、いつもよりちょっと楽しい気持ちになるので、この撮影方法は結構おすすめです。



人生を変えた一冊なんてないと思っていたのに、結局二冊もご紹介してしまった。

よくよく振り返ってみると、気付かないうちに様々なものに影響されて今の私が創られていることが分かる。


これらの本のように、いつか私も誰かの人生になんとなく影響を与えたり、誰かの心をほんの少し動かす何かを生み出してみたい。

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