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WE Run | Write, Eat, Run

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私たちが(そして誰かが)走り続けるためのリレーマガジン
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#ランニング

はじめましての方へ、おすすめの記事。1-100記事篇

■はじめまして 『WE Run』は、“私たちが(そして誰かが)走り続けるためのリレーマガジン”というコンセプトのもと、走るをテーマに綴っていく共同運営形式のマガジンです。 “Write, Eat, Run”という3つのキーワードから生まれたマガジン名が象徴するように、書くことを通じて走ることについて考え、食事を楽しむように走ることを楽しもうとするメンバーが、書き手として参加しています。 目指すは、“読み終わったら走り出したくなるwebマガジン”。距離やペースにと

紀伊半島で『ワーケーション』を走る " 旅先で『日常』を走る ~spin-off㉑~ "

2024年。今年は毎月どこかでマラソン大会に参加しようと意気込んで、すでに上半期の分はすべてエントリーを済ませた。マラソン大会とはいっても、私が主にエントリーするのはハーフマラソンの部ではあるが。 1月の八丈島に続き、2月は和歌山に遠征することにしていた。11月ごろから仕事が立て込んで忙しく日々を過ごしていたので、絶好のリフレッシュ休暇になる。はずだった…… 年明け早々、和歌山市での空き家再生プロジェクトに伴う「発酵酒場」のメニュー開発を引き受けることになった。これが思い

東京マラソン2024参加記

17回目にして、東京マラソンに当選。完走してきた。 フルマラソンは3回目。調べると、前回、前々回はどちらも2016年だったらしい。あの頃は、まだ30代中頃で若かった。今のように日常的にランニングなどしていなかったが、ふと「フルマラソン出たことねぇなぁ」などと思いつきで参加したのだろう。しかも初参加は「掛川・新茶マラソン」だった。何かしらの事情によって現在中止されているこのマラソンは、アップダウンが激しく、日本屈指の過酷なコースと言われる。覚えている。確か前半に急な下り坂があ

走るため フェリーで行って 飛行機で 帰る場所でも 東京なのだ “ 東京そぞろ走り #8 ”

2024年1月6日、土曜日。時刻は22時を回ろうとしている。 私は港区にある竹芝客船ターミナルに到着した。 これからフェリーに乗る予定なのだが、まだ切符も購入していない。お目当てのフェリーはすでに接岸しており、乗船手続きも始まっている。まずは切符売り場に急いだ。 「八丈島まで1枚」。受付で伝える。早く乗りたいので、早く売ってくれ。「あちらで乗船票にご記入の上、乗船口に進んでください」 切符の右側に付いている乗船票に個人情報を記入し、乗船口に急ぐ。なんとか出航5分前に乗

西の果てを走り、鯵を食べつくす九州旅 " 旅先で『日常』を走る ~spin-off⑳~ "

2023年11月8日。午後3時。 私は高速バスと新幹線・在来線特急を乗り継いで、長崎県の佐世保駅にたどり着いた。 今日と明日は、地方出張の合間にできた休日なのだ。 -- 今回の出張、最初の目的地は熊本県五木村。最近、ついに人口が1,000人を切ってしまったという、九州で最も人口が少ない自治体である。 この村で生まれ育ち、進学で五木を離れたが社会人として東京で3年勤務した後にUターンして、村の活性化に尽力しているTさんという方がいる。彼女の招きで、というか「一度現地を

ニッポンの最北端を走る " 旅先で『日常』を走る ~spin-off⑲~ (後編)"

前回のあらすじ ~ ニッポンの最北端を走る(前編) ~ " ここ北限の地で走るという数年来の悲願を満たしにはるばるやってきたのだ。さっそく走ろう! " * 稚内からJR特急に揺られて4時間、終点の旭川に私は到着した。 齢50にして旭川に初上陸した。 駅を出るとまっすぐに、道幅の広い目抜き通りが広がっている。 多くの地方都市では、このような通りの先にはお城が鎮座しているのだが、ここは北海道だ。お城など存在しないし、この道も明治時代の開拓によって作られたのだろう。

早朝ランのつづき

「見せたい場所がある。」なんと素敵な言葉だろうか。率直に言葉を発せられることは素敵だ。画面の向こう側には、澄んだ風景を背景に、朝日が輝いていた。もしぼくが素直で積極的だったら、ダイレクトメッセージで「今度その風景を一緒に観に行きませんか?」と送っていただろう。恋のエンジンがかかる予感がある。 手に収まる画面の向こうには、淡い光が差し込まれた住宅街やビルの谷間、大きな川の河川敷や海岸線が広がっていた。いま、自分の目の前から出ようとしている日の光と画面の向こうの風景がシンクロす

沖縄料理尽くしの金沢出張で、合間を見て走る

日本海沿岸を代表する都市であり、北陸新幹線の開通により観光客が激増している石川県金沢市。シルバーウィークと呼ばれる初秋の3連休初日、ちょうど正午に私は金沢駅に降り立った。コロナ禍による旅行の自粛が解消されたこともあってか、駅前の混雑具合は観光地の本場である京都と遜色ないほどに感じられた。 さて、今回私は仕事でこの地を訪れたのだが、じつは目的地は金沢ではない。金沢市のお隣に位置する野々市市で脱サラをして沖縄料理店の事業承継をしようという方の依頼で、リニューアルオープンに関する

観光地とベッドタウンと地域創生 " 旅先で『日常』を走る ~spin-off⑱~ "

◆ 9/3 豊岡 / 宮津 2023年9月3日 16:30。ここは兵庫県豊岡市。 京都丹後鉄道豊岡駅のホームで、私は列車を待っている。今日の宿である京都府の宮津に向かおうとしているのだ。 ところで、兵庫から京都への移動といっても、多くの人がパッと思いつく移動手段であろう東海道線を使うわけではない。ここ豊岡も目的地である宮津も日本海側に位置しており、それぞれの県庁所在地から高速道路を使っても車で3時間前後かかるくらい離れたところに存在している。これから乗車する区間は第三セク

ジムを探して三千里

夏は暑い。 身も蓋もないほど当たり前のことを書き出してしまったが、一介の市民ランナーである私にとって、夏の暑さは著しく活動に支障が生じるという意味でも非常にやっかいなのだ。 なにしろ夏場は特に日中の外気温が高すぎて、走ることが可能な時間帯が極端に限られてしまう。ランニングをはじめたばかりの頃は休日にがんばって早起きして、秋に走る予定のハーフマラソンに向けて20kmくらい走ったりしていた。それでも9時を過ぎる頃には気温が30℃を超え、暑さにやられてそれ以上走ることができなく

北アルプスの絶景を眺めながら、安曇野でハーフマラソンを走る " 旅先で『日常』を走る ~spin-of⑰~ "

2023年6月4日。時刻は午前7:30。 長野県安曇野市、豊科南部総合公園に私は立っていた。 これから『第9回信州安曇野ハーフマラソン』に参加するのだ。 8:30に迫ったスタートに備え、すでに1,000人は軽く超えるだろう参加者たちによって、メイン会場であるこの公園内は早朝とは思えないほどの賑わいを見せていた。 これから安曇野から望む雄大な景色を楽しみながら走れることに、すでに軽い興奮を覚えている。それほどに、私は安曇野に魅せられてしまったのだ。 -- 2021年8

見どころは「何もないところ」

去年の5月、私は「観光しない京都」という旅の楽しみ方を知った。 「観光しない」と決めただけで、これまでわざわざ足を運ぼうと思わなかった土地へ行くきっかけが突然訪れる。 米原の水田に魅せられて、滋賀をもっと知りたい、祖母が住んでいたあの土地を、大人になった私がじっくりと全身で感じてみたい。そんな風に思った。 そして1年後の5月、私は祖母の家の前に立っていた。 汲み取り式のトイレも洋式のトイレになり、ほとんどの畳はフローリングになった。 それでも外観は全く変わらずに古い町屋

大人の休日にスタンプラリーとランニング

スタンプラリーといえば小学校を思い出す。お楽しみ会などのちょっとしたイベントで開催される校内を巡ってクイズに答えながらスタンプを集めるものや、図書室で本を借りるとスタンプがもらえる読書スタンプラリー。どれも地味なのだけれど、参加してみると結果的に楽しかったという記憶の方が大きい。 そんなスタンプラリーに、もうすっかり大人になった私が再び挑戦することになった。 私はランニングが趣味で、週に10キロを2回程度走っている。理由をつけて遠くまで走りに行くことが多いのだけれど今回もそ

品川で 鉄道ラリー 6駅を 電車に乗らず 駆け巡るラン “ 東京そぞろ走り #7 ”

2023年2月10日金曜日。関東甲信地方全域に大雪の恐れが生じ、多くの地域に大雪警報が発令された。 ここ、松本市も例外ではなかった。朝から降りはじめた雪は止むことなく、昼過ぎには20cm近くの積雪となった。 私は信州大学の客員研究員としてゼミに参加するため、毎週金曜日に松本キャンパスまで通っている。周囲の話によると「あまり雪が降らない松本では、数年に一度の積雪量」とのことで、午後のゼミは休講となった。 当初の予定よりも早い時間に身体が空いてしまった。これからもしばらくは雪