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ニッポンの最北端を走る " 旅先で『日常』を走る ~spin-off⑲~ (後編)"


前回のあらすじ

~ ニッポンの最北端を走る(前編) ~

" ここ北限の地で走るという数年来の悲願を満たしにはるばるやってきたのだ。さっそく走ろう! " 

稚内からJR特急に揺られて4時間、終点の旭川に私は到着した。

齢50にして旭川に初上陸した。

駅を出るとまっすぐに、道幅の広い目抜き通りが広がっている。

多くの地方都市では、このような通りの先にはお城が鎮座しているのだが、ここは北海道だ。お城など存在しないし、この道も明治時代の開拓によって作られたのだろう。

まずは通りをまっすぐ進んで行く。土曜日のお昼前というのに人通りはまばらだ。しばらく進むと、左手に百貨店の跡地のような建物を見つけた。スマホで検索したところ、どうやら運営者が詐欺罪で逮捕されたことにより電気代が払えなくなったため閉店を余儀なくされたとのことだ。

さらに進んで行く。

昭和の生き残りとおぼしき年季の入ったお店の姿も散見される。そろそろ体感で1㎞くらいは歩いたような印象だ。

さらにその先、正面には首から先をかたどった謎のオブジェが地面から生えている。

どうやらここで通りは行き止まりのようだ。

左に舵を切り、常磐公園に寄り道。

池があり、周辺に緑も多い。美術館もある。市街地の中に存在するオアシスのような、静寂をたたえた空間だ。

立て看板がある。どうやら明日のハーフマラソン大会では、この公園もコースにはいっているようだ。

そうだ。すっかり忘れかけていたが、私もこの大会に出場する予定なのだ。

公園を出て、石狩川に架かっている橋を渡る。

土手にはテントが張られており、ここも明日のコースになるようだ。

次の目的地に向かって進んで行く。道路沿いにも看板が立っている。

そういえば、スタート地点はこの先にある運動公園だった。

公園に至る道を進んで行くが、今日の目的地はその手前にあるのだ。左手に古めかしい洋風の建物が見える。ここ、北鎮記念館だ。

" 屯田兵や旧陸軍第七師団の歴史、陸自第2師団の活動などに関する約2,500点の資料を展示している陸上自衛隊の広報施設である。 陸上自衛隊旭川駐屯地に隣接 "

ウィキペディアより

漫画『ゴールデンカムイ』のヒットにより、聖地として人気が出ているらしい。入場無料で、お願いすれば自衛隊員の方のガイドもつけることができる。

私はひとりでのんびりと見たかったので、ガイドは頼まずに館内を巡っていくことにした。

旭川がなんで30万人規模の北海道第二の都市であるのかいまいちピンと来ていなかったのだが、軍都であり交通の要衝であったからだと知ることができた。

ショップのグッズも充実しており、観光スポットしておすすめ。
結局小一時間滞在してしまったが、時刻は午後1時を回っている。早く次の目的地に行かなければ!

このあたりの地理や交通網に疎いこともあり、旭川四条駅まで30分ほど歩いて、そこからバスに乗って向かった先は『旭山動物園』だ。

" 日本最北の動物園。園内の一貫したテーマは、『伝えるのは、命』。動物の自然な生態が見られる行動展示を実施して、一躍有名になった。1997年以降は入園者数が増加し、北海道を代表する観光地として定着している。日本国内だけではなく海外からも数多くの観光客が訪れている。"

ウィキペディアより

動物園というよりは水族館的なアングルで様々な動物の姿を見ることができる。

しかも、すっかりくつろいでるような動物たちの日常の姿がそこかしこにある。

ライオンや虎やキリンなど花形動物もいるにはいるのだが、それ以外の動物の方が楽しかったりする。なぜか高いところに佇んでいる山羊とか。

アップダウンの豊富な園内を右に左に様々な動物に向かって動いていくのは単純に楽しい。周囲が家族連れかカップルばかりなのも気にならないほどに。

そして圧巻は、来場者の多くを占める子どもたちに向けた「命」のメッセージだ。

園内で飼育していて亡くなった動物に関するメッセージなどもある。命の重みを伝えるというスタンスが一貫しており、胸を打たれる。来てよかった。

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旭川駅前に戻り、今日から二泊する宿にチェックインした。では、ひとまずディナーを摂ろう。なにしろ、今日はあちこち動き回りすぎてランチを摂りそびれてしまったのだ。さっそく、繁華街の中心地に繰り出そう。

朝歩いた駅前の目抜き通りに並行して通っている車道、男山の広告が目立つ交差点のあたりが盛り場らしい。旭川と言えばジンギスカンだ。ネットで調べた人気店に赴いてみよう。なんと、遠目にも行列が観測できる。店の向い側まで列は続き、おそらく合計50人ほどは並んでいるように見える。

ジンギスカンはあきらめて、ラムしゃぶが売りの第二候補の店に向かった。なんと、こちらは行列どころか店の前に客引きのお兄さんが出てるくらい閑散としている。これはラッキー! さっそく入店する。

ひとまずラムしゃぶ1人前と野菜を頼もうとしたら「野菜はラムしゃぶに付いてきます」とのこと。なんとリーズナブルな。

一人前にしてはかなりボリューミーな肉と野菜が届いた。

さっそくしゃぶしゃぶしていただこう。

うん、美味い。しかも満腹になり、かつヘルシー。タレは甘味が強めなジンギスカン風なのも良き。これで明日のレースの準備は万端だ。

翌日となる9月24日、日曜日。
すっきりと目覚め、駅前からシャトルバスでスタート地点の運動公園に向かう。

体育館で着替え、荷物を預ける。

9月も終わりだというのに、気温は20℃を越えており半袖短パンでも汗ばむほどだ。

スタート地点に移動し、スタートを待つ。

このレースは北海道内の方の参加が9割ほどを占めるという、地域密着の大会だ。なので牧歌的な雰囲気に満たされている。

しかしこのレースはアップダウンが少なく好タイムが狙えるとのことなので、もしかしたら自己ベストを出せるのではないかとひそかに期待している。

胸の高鳴りを抑えつつ、スタートの号砲を聞いた。

旭川の市街地を快調に進む。常盤公園を抜け、石狩川の土手を進み橋を渡って対岸の土手を進んで行く。たしかにアップダウンは少なく、ペースを落とさずに進んで行ける。

ゴールまで3㎞を切り、ひたすら前を進んでいるランナーの背中を視界にとらえながら最後の力を振り絞っていく。

ゴール!

記録は1:54:24! はじめてハーフマラソン2時間切りを果たしました。やったね。

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レースを終えたらそそくさと宿に戻り、シャワーをパッと浴びたら駅前に急ぐ。迎えが来ているのだ。

午後に会う人は、この方。

京都出身で東京在住だったのだが、3年前に旭川市の隣に位置する東川町に出向し、このたび正式に移住することになったH田さんだ。

H田さんの案内で町内のフードフェスを見たり、町内の施設を巡ったりした。

椅子の生産が盛んな街で、近年は町内で生まれた新生児一人ひとりに専用のネーム入りの椅子を作ってプレゼントするそうだ。

移住者が営むカフェでランチを摂り、道の駅にも立ち寄って買い物をしたり、

町内が一望できる展望台に上ったり。

いまでは「写真の町」として有名だが、当初の段階から町内の農家の方々が高い誇りをもって農地の景観維持に努めたとのこと。実際にこの地で暮らす方々の高い意識によって、東川町は人口減少フェイズの日本国内においても発展を続けている。なにしろ旭川市のベッドタウンではなく、町内では昼間人口の方が多いくらいなのだ。移住希望者は引きも切らないが、供給する住宅が尽きているらしい。

ちょうど町内のフレンチレストランがリーズナブルな限定メニューでの営業をしていたので、H田さんに連れられて入ってみる。

前菜とピッツアを注文し、早めのディナーを摂る。

すっかり東川町を気に入ったが、町内の酒蔵が作っている酒を品切れのために買えなかったことだけが心残りだ。去年ふるさと納税で入手して1時間で4号を飲み干してしまったくらいにお気に入りの日本酒なのだ。

一夜明け、月曜日。

宿をチェックアウトして、バスで札幌に移動した。そのまま北広島まで足を伸ばす。

そう、ここには北海道日本ハムファイターズが今シーズンから本拠地を移動したのだ。

シャトルバスは大混雑で、一本やり過ごしてようやく乗車できた。10分ほどバスに揺られ、エスコンフィールドに到着した。

当日はペナントレースの公式戦が開催されるのだが、私は試合を観に来たわけではない。

『KUBOTA AGRI FRONT』を見にきたのだ。

" 「食と農業 の未来を志向する仲間づくりの場」をコンセプトとするこの施設は、2021年10月に締結された北海道大学と株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメントとの3者連携協定に基づき、株式会社クボタが設置しました。”

北海道大学より

併設のレストランでここで獲れた野菜で作ったサラダランチを摂り、見学に向かった。

見学は100円でできたのだが、ガイドが以上に早口で原稿を読むだけで慌ただしく、あまり楽しめなかった。それでもハイテク化された農業の様子を垣間見ることができて、興味深かった。

帰りがけに球場内を見学することができた。

実は私子どもの頃からの日ハムファンで、当時のホームだった後楽園球場まで江夏を見に行っていたのだった。

その後札幌に戻り、

近くに住んでいるN村さんに聞いた喫茶店で休憩し、

十年来の知人である札幌在住のケロさんとディナーを摂って帰路に就いた。

おしまい。

















































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