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イランで絨毯の取引を見てたら、国家の殴り合いの構図を垣間見た

海外を旅行していると、時折、脳科学でいうアハ体験みたいなことがある。
それはそれは快感で、一度経験するとやみつきになる。

イランでは伝統的なペルシャ絨毯が有名だ。
2019年にイランに行った時、宿泊した宿のオーナーが古い絨毯の修繕をしてリセールをしている人だった。
地下にたくさんの絨毯のストックがあり、絨毯に使われるいろんな伝統的なモチーフを教えてくれた。
本物の絨毯はかなりいいお値段がするので、私にはとても買えないけど笑

そのオーナーがある日、オーストラリアの人がメールのやりとりで絨毯を買ってくれた!と喜んでいた。
これから海外の親戚に振り込んでもらって、マネーブローカーを通して支払いをしてもらうと言う。
どうして直接振り込まないの?と聞いたら『sanction」だとの答え。
聞いたことある気もするけどなんだっけ?
サンクションって何?とGoogle翻訳に聞いてみた。
答えは「制裁」。

制裁!!

知ってはいたけど、ここで出てくるんだ!?
ここで言う制裁とは、米国を中心とした諸国と多国籍企業などが、イランの核開発問題などに対して取っている処置のことだ。
具体的には、軍事関連の輸出の禁止、石油天然ガスなどへの投資の禁止、イランの金融機関の国際的な取引からの締め出しなどが含まれる。

この金融機関の国際的な取引からの締め出し、によってオーナーはオーストラリア人から直接振り込んでもらうことができないのだ。
ブローカーを通すのだから余計な手数料もそれなりに取られるだろう。
私の感覚では、海外の顧客もよくぞよくわからない第三国の金融口座(海外の親戚)に大金を振込できるな、という感じもする。
振込は商品を確認した後にするにしてもだ。
そういった取引の障壁を自分自身でも感じると、確かに国際的な取引からの締め出しは政策としては効果的なのだろうと思った。
何に効果的なのかというと、イラン国内にある外貨を減らすこと、国力を弱めることにだ。

私は大学で国際政治を勉強していた。
すごく面白くて夢中になっていた。
でもそれは政府とか国際的なパワーバランスの話であって、私の中でも大きな規模の抽象的な話でしかなかった。
イランでは、国家間の政治のやりとりが、個人の振込なんていうとても日常的なこと影響しているのを目の当たりにした。
国際政治って偉い学者が議論を交わすだけの学問じゃなくて、世界で今起こっていることに密接に関係しているんだと実感した。

こういう時に、スティーブ・ジョブスが言ってた点と点が繋がって線になるのを実感する。
いろんなことを勉強したり、経験したりするのってだから面白いのよね〜

今日は毎日投稿34日目でした。

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