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2022年3月16日から3月31日までの読書と映画と散歩の記録

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3月16日


 Netflixの「今、私たちの学校では」をやっと見終わる。
※公式サイトはこちら!

 観るのに時間がかなりかかったのは、毎回感じるストレスが半端ではないからだ。それは悪い意味のストレスというよりは、緊張感や「うわあ、もう最悪だあ」という意味でのストレスである。出てくる人間の業が絡み合って、とんでもない最悪の事態になっていくのだ。ちなみに僕は煙草吸ってた高3女子派だ(僕自身は煙草を吸わないし、肺が強い方ではないので、実際には会いたくないが)。
 
 この1年間でNetflixでは、「イカゲーム」、「地獄が呼んでいる」、「マイネーム」、「今、私たちの学校は…」と韓国ドラマのヒット作が続いている。
 ただ、上記のドラマは日本のアニメや漫画でもよく使われる題材だ。
 ジャンルでいえば「デスゲーム」もの、「理不尽なルール」もの、「復讐」もの、「ゾンビ」もの。
 よくインターネット広告とかで表示されるものを一つぐらいはあなたも思い浮かべたのではないか?なんなら、ネットフリックスにも同じような日本のアニメやドラマもある。
 何故、日本ランキングの1位や世界ランキングの1位にならないのか?
 どちらも観た僕の感想を書くと、「脚本の強度」、「人間観察」にあるのではないか、と僕は思う。
 人を不快にさせる表現は簡単だが、傷つける覚悟を持った表現をするのは難しい。
 自分を簡単には肯定してはくれない他者という存在。理解しあえないかも知れない存在との描き方が僕は決定的に違う気がする。昔の日本のアニメにはそれがあった気がする。たとえば、富野由悠季の作品に出てくる女性たちであったり、「新世紀エヴァンゲリオン」の旧劇場版までのアスカには、それがあったと僕は思う。今はどうだろうか?
 その掘り下げから比較してみても面白いかも知れない。

 色々と心配なことを書いたが、「ドライブ・マイ・カー」のような作品もあるので、諦めずにこれからも映画を観ていきたい。しかし、海外の映画作品と日本の映画作品をどちらも観ている人間としては、非常に危険な予感がしている。
 今の映画館(とくにシネコン)に並んでいるポスターを観ていただくと、目には見えない「観客の分断」が始まっている気がする。
 それは、「日本映画か海外作品か」というようなかわいい分断ではない。
 ううむ、映画という自分の好きなジャンルのことなので、少し内容が過激になったかもしれないが、いよいよ「映画なんてなくても大丈夫ですよ」という人が自分の身の周りにも現れ始めたので( 僕の住む宇和島市には映画館がない )、改めて映画に出来ること、上質なフィクションだからできることがあると、まだ僕は信じている。

3月17日

 京極夏彦の「地獄の楽しみ方」( 講談社文庫 )を読む。
 言葉というものがいかに自由で危うくて、そして、楽しく使うことで生活や人生が豊かになる内容だ。わかる、めちゃくちゃ分かる、流石は京極夏彦。おお、わかるぞ、言葉は知れば知るほど世界の解像度も上がってくる。おお、わかる。わかるぞ、次に来る内容もわかる。
 んっ?
 多分、この後、講義を受けてる生徒とフェイス&フェイスじゃない?
 その通りになる。
 最後まで読んで、2019年にこの本のハードカバー版を買っていたことに気づく。
 まあ、忘れていたということは、読んでいないのと同じかも知れないので、よしとしよう。
 皆さんもこういう作品が一つぐらいないだろうか?

3月18日


 ディズニープラスでジェシカ・チャスティン主演「タミー・フェイの瞳」を鑑賞。アカデミー主演女優賞にもノミネートされている。
※公式動画はこちら!

 まず、不幸エンターテイメントとして十分楽しめる作品である。
 そして、特殊メイクの凄さを教えてくれる作品だった。
 Amazonプライムビデオの「愛すべき夫妻の秘密」ととても似ている。おもえば、ニコール・キッドマンも今年のアカデミー賞で主演女優賞にノミネートされている。
 ただし、僕は「タミー・フェイの瞳」を推したい。
 キリスト教の教えを伝導していくはずが、気づけばキリスト教専門チャンネルを持ち、全米第4位の加入者数になっていくというジェットコースターの上がりっぷりが凄く、不幸エンターテイメントの究極系「八甲田山」には届かないものの、さあここから一気に下り始めるぞ、という瞬間がたまらなかった。
 去年公開された映画「リスペクト」もキリスト教と歌が関係していて、こちらは本当に苦しみを乗り越えて歌うシーンが本当に素晴らしいのだが、今回の「タミー・フェイの瞳」はどこで主人公が解放されていくのか、自己を獲得していくのか、それは歌ではなく…という感じだ。
 無職だった昨年と違って、アカデミー賞ノミネート作品のチェックが全然できていない。1作でも多く観て当日を迎えたい。
 

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