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【テンプレート公開】 4つの不から考える!案件を前に進める商談の型化

 
こんにちは!小原です。
セールスフリーランスとして、ベンチャー企業の営業支援を行っております。

この記事では、4つの不の概念を参考にした、商談の型化の方法について記します。

商談の正しい方法が分からず、成果を残せていなかった私に、
変化するキッカケを与えてくれたのが、4つの不に沿った商談の型化でした。

営業における商談の作り方や流れに関しては、会社によって三者三様だと思いますので、使えそうなところ一つでも抜粋して参考にしていただけると嬉しいです。

ちょっとした営業資料イメージも、下記よりダウンロードできるので、是非ご活用ください。


そもそも4つの不とは?

恥ずかしながら、私自身4つの不という言葉を最近知ったのですが、Salesforceさんが提唱している、営業が意識すべき概念になります。
簡単に要約すると、顧客が抱えている4つの不の壁「不信」「不要」「不適」「不急」を1つ1つ乗り越えていくことで、受注ができるという考え方になります。
私がこちらの内容について語るのは大変おこがましいので、
詳しくは、私がいつも勝手に参考にさせていただいている、石井さんの記事を確認いただければと思います。

こちらの記事を読むまで、商談をどのように進めていけば良いのか分からず、顧客に良い提案ができていなかったのですが、4つの不の概念を取り入れて商談の流れを型化したところ、非常に効果があったと実感しているので、記事を書こうと思った次第です。(私の勝手な解釈で咀嚼しているので、Salesforceさんが提唱したい内容と相違があるかもしれませんが、ご容赦ください)


4つの不に沿った商談の型化(フォーマット作成)

まず私が行ったことは、商談の流れの見える化です。自分が考えるベストなな商談の流れを4つの不に沿った形で設計いたしました。そして、このフォーマットの流れに沿って、型どおりに商談を進めるように練習しました(それに際して営業資料も修正しました)。

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イメージとしては、4つの不である「不信」「不要」「不適」「不信」の壁が自分の前に立ちふさがっており、その壁を1つ1つ乗り越えて前に進んでいく感覚です。

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そして、それぞれの壁を乗り越えるために必要なことを分解してフェーズを設定しました。「不信」を解消するためには、信頼獲得(個人)、信用獲得(会社)のフェーズがあり、「不要」を解消するためには、ニーズ顕在化、ニーズ発展、解決策のフェーズがあり、、、、
というようなイメージになります。
そして、そのフェーズ毎に対して、具体的にはどのような内容を伝えるべきかを具体例の欄に記載しています。


どういうメリットがあるか?

では、この「4つの不」に沿って、商談の流れを設計するとどういうメリットがあるのでしょうか。大きくは3つのメリットを感じることができました。

1、スライド1枚1枚の意味を考えて商談することができる
営業をしていると、よく上司から指摘をもらう言葉の一つに、「スライド1枚1枚の意味を考えて提案しろ」という言葉です。マネージャーや営業企画など、資料を作成する立場の人からするとスライド毎の意図を汲み取ってほしいが、現場からするとその意図を完全に理解することは容易ではありません。このコミュニケーションの食い違いを減らすためにも、認識を共通化するためのフォーマットがこちらです。4つの不の内、どの壁を乗り越えるためにこのスライドが存在するのかを明示することで、スライド1枚1枚の意味が腹落ちでき、共通言語を元にコミュニケーションを捗らせることもできます。
ただ何となく話していたスライドも、スライドの意味を理解できることで、顧客がどのような状態になっていないといけないのかをイメージでき、提案の質が高まることが期待できます。

2、ロープレの質が高まる
1と関連する話になりますが、ロープレの質を高めるためにも有効です。
ただ単にテンプレでトークスクリプトを覚えるよりも有意義なロープレを実践できます。
このスライドを話し終わった後に、顧客はあなたのことを信頼できるようになったか(不信)、このスライドを話し終わった後に、顧客はそのサービスを必要だと思ってくれたか(不要)など、顧客の気持ちに寄り添ってロープレを進めることができます。あるべき顧客の状態を想像できることで、スライド毎のトークやテンション、間合いなどのリアリティが増します。上司がロープレに付き合う際にも、共通のフォーマットがあることで、フィードバックが容易になります。

3、商談の振り返りによる営業力向上
顧客との商談が終わった後の振り返りにも有効です。なぜこの商談が上手くいかなかったのかを4つの不のフォーマットに照らし合わせて考えます。そもそも信頼されていなかったので話を真剣に聞いてもらえなかった(不信)、必要だとは思ってくれたが他社との差別化を明確に示せなかった(不適)など、何が問題だったのかの追求を手助けしてくれます。的確に問題を発見することは非常に難しいですが、仮設を立てて改善を図ることで営業力の向上が見込まれます。


1つ1つのフェーズについて解説

では、それぞれのフェーズについて具体的なイメージを記載します。
分かりやすいように、架空のサービス(営業ノウハウが一元化される系のサービス)をイメージしてスライドも作っているので、参考にしていただけますと幸いです!


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不信は営業において一番重要な部分になります。
私は、「不信の壁」を乗り越えるために必要なフェーズとして、
信頼(個人)+ 信用(会社)があると考えています。

■信頼(個人)
このフェーズにおいては特に資料は必要ないですが、いわゆる営業個人が与える第一印象のイメージになります。アイスブレイク、自己開示、ラポールの形成、などを意識する中で、相手の性格と自分のスタイルを鑑みて、この人なら信頼できそうだ!という状態を形成します。自分用の大きい名刺(趣味・出身・特技など記載)を用意して自己開示をスムーズに展開する方も時々見かけますね!

■信用(会社)
この会社とお付き合いしても大丈夫なのかという漠然とした心配をされている顧客に対して、会社として信用を感じていただくフェーズです。信頼ではなく、信用であることが肝です。会社概要を説明する中で、資本金・導入企業数・導入企業名・受賞歴など実績をプレゼンして、自社と付き合うメリットを訴求していきます。会社のミッションをプレゼンして、ファンを作れたら一番最高な展開です。

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信頼(個人)+ 信用(会社)のフェーズが終わったときに、顧客が真剣に話を聞いてくれる状態になっているかどうかが、「信用の壁」を越えられたかどうかが一つの見極めポイントになります。


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「不要の壁」は顧客に商品・サービスの必要性を感じてもらう段階になります。
「不要の壁」には、ニーズ顕在化、ニーズ発展、解決策の3つのフェーズがあると考えています。

■ニーズ顕在化
顧客が抱えているだろう課題を明確にしていくフェーズになります。事前に考えていた仮設をベースに、問題→理想像の間にあるギャップを明確にして課題を立体化させていきます。顧客の潜在的なニーズを見つけ出し、顕在化できるかどうかが肝になります。このフェーズでヒアリングを含めたディスカッションをすることが多いです。

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■ニーズ発展

顕在化した課題をより深く掘り下げて、その課題の重要性×緊急性を高めるフェーズになります。示唆質問や解決質問を用いて話を展開していきます。「あったら嬉しい」という温度感から「なくてはならない」という気持ちへの感情の変化を生み出せているかが鍵です。その課題が解決できると、どんな影響があるのかを、より具体的にシズル感満載のシーンを想像してもらい、課題に向き合ってもらえるようにサポートします。

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■解決策
こちらは単純に機能の説明になります。課題の解決策について説明します。このフェーズで、デモを行って実際のイメージを訴求できると良いと思います。

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ここまでの話の流れを通じて、顧客は商品・サービスの必要性に気付いている状態になっています。この中間地点のゴールを意識して提案していくと、顧客への提案の伝わり方がより一層深まると思います。


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次に来る段階は、果たしてこの商品・サービスは自社にとって最適なのか、使いこなせるのかという「不適の壁」の段階になります。「不適の壁」には、実現可能性、競合排除、価格メリットの3つのフェーズを設定しています。

■実現可能性
サービス・商品が良いのは分かったけど、本当に自社で使いこなせるのか、宝の持ち腐れになるのでは?といった、実現性に対する顧客の心配に寄り添うフェーズになります。導入後にどのような体制で進めていくのかを具体化して図式化すること、サポート内容を明示化することで、「弊社でも使いこなせそう!」という心理状態への変化を後押しします。
1年契約のサービスであれば、年間スケジュールを明確に提示することも実現可能性を感じてもらう1つの手段になります。サポート内容に関しては、「頑張って1年間サポートします!」みたいな抽象的な話ではなく、具体的なアクションを明示すると親切だと思います。

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■競合排除
複数競合サービスが存在する中で、なぜ御社か?に対して納得いただくことを目指すフェーズになります。月並みではありますが、比較表を示すと顧客も頭を整理しやすいです。○△☓自体にはあまり意味はないので、なぜそう言えるのかの具体的な根拠を示せるかどうかが重要です。あまりに偏った比較表は信頼してもらえないでしょう。
優秀なセールスの方々は、自社に有利なアンカーを事前に設定しておいて、商談をコントロールするみたいです。

アンカリングのコントールの方法に関しては、中谷さんの記事が参考になるので、是非読んでみてください。とてもセクシーな内容になっています。


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■価格メリット

サービス・商品を導入する際の投資対効果(ROI)を示します。社内稟議を通す際に必要なスライドになりますし、本当に意味のある投資なのかを定量的に示すことで説得力が増します。投資対効果は主に、トップラインの向上、コスト削減の2択になります。特にトップラインの向上は複雑に要素が絡み合うので、正しい相関関係があるかを緻密に計算して、机上の空論にならないように気を付けます。
投資対効果に納得いただいて、はじめて価格を提示します。顧客はサービスの相場観が分からないことが往々にしてあるので、決して高い投資ではないことを価格提示前に訴求しておきます。

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価格表は、松竹梅のプランを設計することで、顧客が主体的にプランを選択できるようにします。

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「不適の壁」の段階の提案が終わったときには、導入しない理由が特に見当たらない状態になっていることが理想です。


ここまで、不信→不要→不適の壁を乗り越えていく流れについて記載しました。
私はこの「不適の壁」についての提案が終わったタイミングで、テストクロージングを試みることが多いです。顧客が考えている壁をすべて乗り越えることができたのかの確認とも言えます。一連の提案の中で気になる点はあったかなど、対話を繰り返す中で顧客の本音を伺い、顧客が払拭しきれていない「不」を明確にします。

■導入事例
そして払拭しきれていない「不」に対して、当て込んでいくのが導入事例です。私はこの導入事例を最後の砦のように考えており、顧客がどこの壁に障壁を抱えているかを察知して、伝え方を柔軟に変えるようにしています。
障壁を抱えている不の壁が、使いこなせるか(不適)であれば、リテラシーの低かったA社がサービスを活用できるまでになったストーリーを、そもそも必要性を感じていない(不要)であれば、競合B社が抱えていた当時の課題の深堀りを、というようなイメージです。パターンはいくつかに限られると思うので、事前に顧客からよくいただく質問毎に導入事例をパターン分けしておくことをオススメいたします。

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導入事例を最後の砦として活用したら、最後の壁である「不急の壁」の段階になります。信頼・信用があり、必要性もあって、自社にも適している、この三拍子が揃っていても、いま導入する理由がないと顧客はサービス・商品を購入しません。
そのために、クロージングが必要になります。

■クロージング
クロージングの方法も会社によって様々だと思いますが、一番親切な方法はスケジュールを引いて上げることなのでは?と思っております。重要なイベントを起点に、準備にかかる期間を計算して逆算します。期限を区切ったキャンペーンも有効だと思いますが、今導入することのメリットをスケジュールの観点から提示できると綺麗だと思います。
なお、その場で即決いただけない場合は、いつまでに回答をいただけるのかの期日を明確にします。良い営業は失注の数が多い(白黒の回答をはっきりもらえている)です。

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以上の流れのように、限られた時間の中でベストな商談の流れは何かを定義しておくことが本当に重要です。(実際の商談では、話が前後することが結構あります)

また、話の流れの中でヒアリングすることは勿論ですが、すぐに話が決まらなそうな場合には、クロージング後により詳しいヒアリングを実施します。案件を前に進めるためには、どのような情報を握っておくべきかを事前に決めておきます。直近の売上が見込めない場合でも、この情報自体に大きな中長期的な価値があります。

繰り返しになりますが、商材・単価・顧客・業界などによって、提案ストーリは異なってきますので、フェーズ設計は商品・サービスに合わせて設定することを推奨します。一部でも参考にしていただけると嬉しいです。


以上、4つの不から考える!案件を前に進める商談の型化でした!
ありがとうございました。




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