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「暗い越流」若竹七海

また若竹七海の紹介だ。
本作は、コンプリートしたい病の為に購入した。
どういうことかというと、作者の人気シリーズである「葉村昌」シリーズをすべて読みたいと思ったところ、本短編集にも葉村昌が登場しているとのことで、購入した。
逃してなるものかと、葉村昌コンプリートを目指した。

と、そんな状況なので、実は本短編集の表題作「暗い越流」が日本推理作家協会賞の短編部門を受賞したというのは知らなかった。
やはり若竹七海はすごい。

正直言うと、葉村昌シリーズはいつも通りだった。
葉村昌というキャラクターを楽しめたが、ストーリーとしてはいつものという感じで、そんなに衝撃を受けたりって話ではなかった。
若竹七海らしいもっといやーな悪意を前面に出して欲しい。

そう思っていたら他の作品は、ちゃんと悪意が満載だった。

作中の「幸せの家」という短編の中で登場人物が”事件性”という言葉を取り上げるシーンがある。
日常の中で”事件性がある”なんて言葉を聞くことになるなんて、と。
そうなのだ、「古畑任三郎」のように事件が発生することが当然、そうじゃないとドラマにならないという話ではなく、どこか不穏な空気が終始漂い、”事件性”があるのかも?な状態でじらされる。
そして、事件があったのかなかったのか、真相が明らかになる。

そう、自分で書いてわかった、この本は不穏なのだ。
だから止まらない。
教室で花瓶割っちゃって、誰も気づいてないだろうと思ってしらばっくれてたら、放課後職員室に来るようにと昼休みぐらいに放送で言われて、直前に言ってくれればいいのにそんな前に言われると、放課後までずっとモヤモヤモヤモヤ。
花瓶がばれてないならばれてない、怒られるなら怒られてすっきりしたい、的な?
これは事件なの事件じゃないの、結局何が起こったの?
犯罪なら犯罪、そうじゃないならそうじゃないとはっきりさせてくれ!!気持ち悪い。。という気持ちで読んだ。
なので、葉村昌が出てくるとちょっと安心してしまう、事件が起こってて彼女が解決するんだろうなーと。

あとね。
若竹七海だからさ。。。最後まで、罪を犯していない人が誰だか確信が持てないのよ。
葉村昌は別だけど、身近な人にドロドロな悪意の川が流れているのが彼女の作品の特徴だと思っているので、ノンシリーズだと誰一人信じられないのだ。
あーもやもや、読み終わるまでそわそわそわ、そして読後感も。。。

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