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「新宿鮫」大沢在昌

なるべく世間に知られていない作品を紹介しようと思っている。
人気作を書いた人だったらそれ以外のデビュー作とか、そのジャンルのファンしか知らないような作品とか。
だが、そもそも自分は本屋での表紙買いが少なく、いい表紙だなと思っても、その後インターネットや書評等の評判を見て購入するかどうかを決めるので、なかなか難しい。
ただ、過去のヒット作・長い期間読み続けられているシリーズなどは、若い人たちがあまり読もうとするきっかけが無いと思うので、ここで紹介したいと思う。

本作、自分としては日本のハードボイルド小説というジャンルでは、かなり上位ランキングの作品です。
ファンも多いと思う。
これ読んだあと新宿を歩くと、なんか気持ち入った状態で歩いちゃうね。

このシリーズの主人公は鮫島という、警察官僚(キャリア)だがいろいろあってルートからそれてしまい、所轄署で一匹狼(鮫?)をしている警部。
本庁の捜査員からちっちゃい嫌がらせを受けながら、自分のスタイルでの捜査を行う。
買収にも応じない、音もなく食らいつく、暴力団からは「新宿鮫」と恐れられる男。
ひ~~もうかっこいい。
しかも彼女はロックバンドのボーカルときたもんだ。

事件は警察官銃殺事件と銃の密造事件がからみあって進んでいく。
すげーかっこよい主人公だが、その魅力と雰囲気だけで引っ張るのではなく、きちんと事件追跡の過程や犯罪状況・警察組織の内情などが描かれており、リアルな舞台の中で魅力ある主人公が活躍するというところが読者を惹きつける。
聞いたことの無い警察内の隠語とかも面白いし、主人公以外にも警察という特殊な組織の中で、悲喜こもごもな人間模様が描かれている。

作者の他作品は図書館で読んだのだが、けっこうライトなアクション小説って感じの作品が初期には多い。
格好いい若者が、粋なセリフを吐き、女の子にもてまくり、複数の女の子とエンジョイしながら、ド派手なアクションで悪い奴と闘う、みたいな。
作家さんたちの中でもこの作品は今までの大沢在昌作品と毛色が違う、傑作だ、奥さんが書いたんじゃない?と言われるほど。。ひどい(笑)
でも本シリーズのその後の作品や、他シリーズを見ても重厚でリアルなハードボイルものがけっこうあって、才能溢れた人なんだなと思う。

ちなみにうちの親父は、大沢ありまさを大沢ざいしょうだと思ってた。
伊藤博文もいとうはくぶんって言うし、昔の人は音読みしちゃう癖があるのかな?
ちなみにおっさんになってようやく、音読みと訓読み、どっちがどっちかわかるようになりました。。

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