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「プロパガンダゲーム」根本聡一郎
最近は歌手だとか芸人だとか、いろいろなデビューの仕方があるそうだ。
作家に関しても多種多様なデビューの方法があると。
ライトノベルでは聞いたことがあったが、一般の書籍でもあるとは思っていなかった。
Kindleで出版される、作家デビューするということがあると。
チャンスはいろいろ広がっているんだな。
デビューの仕方問わず、面白いものは面白い。
本作も非常に興味深い作品だった。
まずあらすじを。
広告代理店最大手の就職試験、最終選考が本作の舞台となる。
これが一風変わった試験。
学生達は4人ずつ二手に分かれる、1チームは政府側でもう1つのチームはレジスタントという反体制側。
舞台は架空の国という設定で、政府側は隣国と戦争をしようと目論んでおり、レジスタントは戦争反対派。
この架空の国では戦争開始の判断を国民投票で決定するという設定。
学生たちはプロバガンダ(政治的広告)を駆使し、選ばれた100人の視聴者を自分たちの主張の方に投票させようとする、という試験。
さらに、各チームには他チームのスパイ1名紛れ込んでいる。
試験の時間は2時間で、様々な情報材料を使って各チームはどんな戦略で、国民の意見を変えていくか。
2つの会議室のみで行われるこのゲームが、とてもスリリングで目が離せないのだ。
大学生ってこんなに能力高いっけ?と思うところはあるが、非常に知的な頭脳バトルにいつのまにかのめりこんでしまった。
そして終盤。。。これは読んでみて欲しい。
読んだ時期も良かった。
読むちょっと前に、Youtubeで岡田斗司夫の切り抜きを見た。
これも戦争の是非を考えるものだった。
中学生に向けての講演で、「最悪な平和とすこしましな戦争」というテーマだった。
貧困や世情の悪化で年間多数の自殺者を出す平和と、それよりも少ない戦死者しかでないし、戦えば80%の確率で勝利する想定の戦争。
どちらが選ぶのが正しいか?という内容だ。
くしくも興味を惹かれたコンテンツが同じテーマを取り扱っており、戦争というものを深く考えるきっかけとなった。
まだ自分の中で答えは出ていない。
でね。
これらのコンテンツに接して一番思うところは、戦争が歴史としてのみ語られるものじゃなくなってきているということ。
ロシアによるウクライナ進行の影響なのか、どこか閉塞感のある不穏な国際情勢のせいなのか、戦争が漠然とした”危機”として人々に認識され始めているのではないかと。
現実のものにならないことを祈る。
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