見出し画像

「白銀の墟 玄の月」小野不由美

読み終わりました。
購入自体は発売直後に書店に走り、すぐさま買っていたのだが、読むのがもったいなくて。
で、読み始めると今度は読み終わるのがもったいなくて。。
だってだいぶ待たされたんだもん。

本作は十二国記シリーズの最新作。
全4巻の大作だ。

十二国記の世界観については、別の記事で詳細を紹介しているのでそれを読んで欲しい。

いやー面白かったよ。

このシリーズは、以前紹介した記事に出てくる”陽子”という少女が主人公の話が好きなのだが、本作はシリーズ中で彼女と同じくらい登場する、泰麒という少年を中心に据えた話。
陽子が出てこないのはすこし残念だったが、この世界観の最新作を10数年ぶりに読めたという感動が勝った。

物語は泰という国が舞台。
泰の王が行方不明になり、弑逆者が王を僭称し、国に君臨する。
王の証となる麒麟、泰の麒麟である泰麒は別世界への扉を開けて行方知れずになってしまう。
王の忠臣たちが、麒麟と王を探し出し、弑逆者を退けて国を救おうとする、という物語だ。

十二国記は基本的にはハッピーエンドで終わる話が多いシリーズだと思っているので、おそらく最後は何もかもがうまくいくんだろうと思っていたのだが、そこは小野不由美が上手くて、ひょっとするとひょっとするのか?とハラハラし通しだった。

しかも全4巻あるのに、光が見えるまでが非常に長い。
屈みこめば屈むほど、ジャンプした時は高く飛べるって言葉があるが、さすがに屈みすぎだろう、ひょっとしてこのままひれ伏すという展開もあるのか?ってぐらい、3巻に渡って登場人物たちの苦労が描かれる。
いや4巻の終わりまでだ。
ネタバレになるかもしれんが、言う。
だからこそ最後の展開には喝采だった。
水戸黄門の印籠のような、一気に状況が好転する快感、最高に素敵だった。

どのキャラも内面を深く掘り下げられていて、それぞれの思いや苦悩、真摯な思いなどがきちんと描かれていて、どの人物にも感情移入することが出来るのが良い。
小野不由美はすごくて、感情移入させておいてそのキャラクターをけっこう容赦なく捨てるのだ。
全員がハッピーにならないという感じが、ファンタジーという荒唐無稽になりがちな話をきゅっと引き締めて、深いものにしている。
それが読み応えにつながっていた。

なんだろう、禍福は糾える縄の如し、というか。
不幸・苦労の中に光を用意して、救いもちゃんと用意しているし。。
なんというか、”物語”を読んだなぁって感想でした。
シリーズが好きという贔屓目もあるかもだけど、このシリーズは読み始めて損はない!!

https://amzn.to/3LizJZG


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?