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「メルキオールの惨劇」平山夢明

なんかで読んだ。
不倫だの道ならぬ恋をよく描く小説家が妻に詰め寄られる。
「あなたはこんなに色恋を書けるってことは、いまでもよそでお盛んなんでしょうね!!」と。
それを受けて作家はこう返すのだ。
「横溝正史はあんなに殺人事件を描いているけど、誰一人殺していないぞ」と。

そうなのよ、作品と人となりは違うのよ。
でもね。。絶対に平山夢明は変な人だ!!絶対そうだ!!そうじゃないとこんな変な本書けないよ!!

ホントこの作品に出てくる人たちはおかしな人だらけ、モノローグの”俺”も実はおかしい。
あるホラー小説の紹介本で、この作品が取り上げられていた。
その時に、ホラーとコメディは紙一重という説と初めて出会い、非常に納得したのを思い出す。
その書評の中では、本作にある大男が犬の散歩と称して犬をぶんぶん宙に振り回しているシーンがコメディと紙一重、一気に心をつかまれたシーンだと紹介されていた。
その書評を見て読もうと思った作品で、自分を平山夢明ワールドに引きずりこんだ作品。

あらすじを。
あるおかしな男に雇われている”俺”。
彼は、息子を殺し、その頭部を切り落とした女に調査の為に近づく、そこで彼女と二人の息子たちの不思議な家族と出会うという話。

この登場人物たちがとにかくいかれている。
まず依頼をする男、この男は前途ある若者の”死”のコレクター、その為遺品や”死”の証跡を集めるのだ。
まるで闇のやくみつる。
主人公の”俺”もおかしい。
名前は「12」でトゥエルブと呼ばせる。
彼が作中で、普段は陽気な感じなのだが、ある出来事がきっかけで真剣な顔で殺意をむき出しにし、「名前を13に変えなければならないな」と言うシーンがある。
つまり、12は彼が殺害した人の人数なのだ。。
モノローグの人物もやばいという、不安定さ。

そしてこの家族がとにかくやばい。
このやばさがこの物語の核心なので、あまり言えないがとにかくやばい。

以前同じ作者の「ダイナー」を紹介した。
これもおかしな人間の見本市だったが、本作も同様だ。
よくもまぁこれだけ色んなパターンの狂人をかけるもんだと感心するぜ。

平山夢明ワールド未経験の人はぜひ読んで欲しい。
あなたの目の前に平山夢明の狂った世界の入り口がありますよー
とミステリーゾーンのようなセリフでおしまい。

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