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「夏草の記憶」トマス・H・クック

コンビニの前で中学生男子がたむろしていた。
塾の帰り、小腹が空いたのか肉まんなんか食べながらだべっている。
このご時世、あまり褒められたものではないかもしれないが、大事なコミュニケーションだと思うので、あまり責めるつもりはない。
夏のある日、熱いのに中学生男子たちが歩道橋の日陰に座り込んで、ジュース飲みながらスマホゲームの話なんかして、これもまぁやるよね!!って感じだ。
そう、男は中学2年生ぐらいになってようやく友達との”ただのだべり”が楽しくてしょうがなくなるのだ。
女子はというと。。。もう幼稚園・保育園のころからやってるよね?
何が言いたいかというと、コミュニケーションの経験値が男女では各段の差があるのだ。
男子から見たら女子のコミュ力は謎の領域、レベチや。
だからね。。女子が普通にするコミュニケーションのレベルが、男子には俺のこと好きなのか!?っってレベルに感じちゃうの!!
事故だよ!!これもう事故事故!!

トマス・H・クックの記憶三部作、「緋色の記憶」「死の記憶」「夏草の記憶」、これらはどれも過去の苦しい思い出を回想する形の物語。
その中でも「夏草の記憶」を紹介しようと思ったのは、上述の男子と女子のコミュニケーション経験値の違いから来る悲劇が描かれており、男子だったら絶対に経験している淡い、切ない、苦しい、あの頃の初恋の思い出・嫉妬心が甦り、自分も主人公と同様の愚かな行動をしてしまいそうだ、という共感が心をえぐったからだ。
記憶シリーズは全部、心をえぐってくる、読後1時間はのたうちまわる系小説なのだが、特に本作のつらさが心に刻まれているので紹介させて頂く。

もうとにかく読んでのたうちまわって欲しいのだが、あらすじはこうだ。
名医として尊敬を集める主人公、結婚もしている。
彼が少年時代に出会った転校生との思い出をたどることで物語は進む。
町にある丘「ハートブレイク・ヒル」、転校生はこの丘の由来が気になるらしく主人公に一緒に調べて欲しいという。
思春期の少年だよ、ちょっと可愛い女子と二人でずっと行動してたら好きになるよ。。二人っきりだよ。なんで自分に頼んだんだろう?好きだから?ってそりゃなるよ。。
でも女子にとっては好き要素が無くてもそんなコミュニケーションは可能で、特別な意味は無くて、だからそのすれ違いがあんなことに。。

読んでください。

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え!!古本しかないの?
日本どうなってんねん!!

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