「鋼鉄の騎士」藤田宣永
浦沢直樹は面白いよ。
長いけど、登場人物が複数出てきて、途中で”〇〇年後”ってなったりして、あの子供が今は大人になって!!とか、恋はいつまでも成就しないけどお互いを思い合っていたりとか、まどろっこしかったりするけど。
とにかく面白い。
西原理恵子がかつて「交わらない交響曲みたいな話ばっか書きやがって」と言ったのはうけた。
最近のは読んでいないけど、YAWARAに20世紀少年、MONSTERにMASTERキートンなど全部読んだなぁ。
MONSTERはドイツを舞台にしたサイコミステリーなんだけど、そこである登場人物が出てくる。
その人は統一前は東ドイツに住んでいて、職業はジャーナリスト。
東ドイツでジャーナリストという職業で世界をまたにかけるとなると、ただのジャーナリストではなくイコール諜報員、つまりスパイだと。
スパイって、ド派手なアクションがなくても面白いよね。
本作はリアルなスパイもの。
舞台は第二次世界大戦開戦前、こうかくと「ジョーカー・ゲーム」に似た感じもあるが違う。
この作品では並行してモーターレースがテーマとして描かれる。
レーサーを目指す青年の青春が描かれるのだ。
本作は図書館で借りて読んだ作品。
上下巻あったかな、結構長い作品だった。
当時ずっと新本格推理ばかり読んでいた。
名探偵のキャラ、「みなを集めてさてと言い」のカタルシス、それらにやみつきになっていた。
でもちょっと背伸びして、大河な小説を読んでみようと思って読んだのが「蝦夷地別件」とこれだった。
渡仏した軍人の息子、おぼっちゃんがレースの魅力にとりつかれレーサーを目指す。
上流階級のたしなみのようなレース業だが、どこか一癖ある各国のレーサーたち、それはそうスパイ兼業だから。
前述した東ドイツのジャーナリストと同様で、世界中の人が集まるイベントに参加する、各地を飛び回る職業の人はスパイに仕立てあげられるのだ。
そんなきな臭い時代。
世界大戦に向かう情勢の中で繰り広げられるスパイの暗躍と、夢中になれるレースの熱。
それらがまじりあって興奮の大河小説になっているのだ。
なかなか面白い趣向だった。
いつの時代も青春野郎は熱いね!!
調べたらわかったけど、日本推理作家協会賞受賞してたんだね。
そりゃ面白いは!!
権力に弱くてすんません。
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