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フリーターが得た、夢と自由と、その代償。

2013年の春から、現在2020年の秋まで。

フリーター歴は7年半。

その間にしたアルバイトは主に2つ、

映画館、カメラ機材のレンタル屋さん。

映画を仕事にしたくて、制作活動もしながらできるアルバイトを選んだ。


まず映画館で6年。

シネコンの大きな映画館で、大きな駅の近くにあるから、

土日なんか朝から晩まで満席で、

当日チケットがとれないなんてこともしょっちゅうある。

運営するのは、日本の映画会社のなかでも大きなところ。

誰もが知ってる企業。

その中でフロアと言われるチケットをもぎったり、

スクリーンまでお客さんを案内する係を担当した。


なぜだか8階で案内をしているときだけ、

トイレはどこですかと声をかけてくるお客さんが多い。

なんでだろうと、トイレをよく見ると

男子トイレを示す、黒いひとがたのマークが

壁の灰色に溶け込んでいて、お客さんから見えていないらしい。

スタッフは場所を知っているからわかるに決まってるが、

初めて来たお客さんからしたら案内板が何も無いのと同じに見える。


上司に、黒いひとがたマークのうしろに、白い板を貼ることで、

黒を際立たせ、お客さんに見えやすくすることを提案した。

板を貼ったところ、それ以来、

お客さんにトイレの場所を聞かれることはほとんどなくなった。


ところがある日出勤すると、白い板はなくなっていた。

なぜだか社員にたずねると、

本部の方が来て、あの板は手作り感があるから、

劇場のイメージに合わない。という理由で外すことになったらしい。


イメージに合わない?

板がなければ見えないのに?

そこには、イメージなんて何もない。あるのは、不自由だけだ。


毎日お客さんを見てるスタッフが提案しても、

一日だけ来た本部の人が却下するのか?

一日に2万3万とお客さんが来るのに、案内板が見えない。

毎回スタッフに案内させるのか?


業務の端々で色々と思うところがあったが、結局のところ、

アルバイトには発言権がない。そういうことだ。

自分には、何も権限がない。

何かアイデアを思いついても、決めるのは社員。

本部の人間。

その決定に従い、与えられた仕事をただ実行する。

それがアルバイトをするということなんだ。


冷静に考えたらこれは、社会では普通のこと。

なんら不思議ではない、当たり前のこと。

でも、悔しかった。

目の前に改善すべき点はいくつも見えているのに、自分には何もできない。


お客様の前では、ただ笑顔で、何も考えずに、働きましょう!


時給は安いが、シフトも一週間ごとで融通利くし、

年の近い大学生やら夢を追いかけるフリーター達と

バイト終わりに飲み行く。そんな生活が楽しかった。

何も不自由には思っていなかった。幸せだと思っていた。

ただ、悔しさだけが消えない。


すぐにもっと時給の高いアルバイトを始めた。

でもそこでも、同じだった。


自分で思った通りに行動したい。

自分のアイデアを実現したい。

力を発揮したい。

認めさせたい。


今の自分のモチベーションは唯一つ。

「自分の能力を世の中に発揮する。」

この一点。


自分の能力に見合った、与えられるべきものを受け取りたい。

言われたことだけやってればいい。

そんなの耐えられない。


無謀だと言うやつもいると思うが、

僕は、会社をつくる。

自分の会社の人間はひとり残らず幸せにする。

世の中も幸せにする。

それが僕の初めての野望。

あの人達には負けない。


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