【単巻5冊読書感想⑰】『相対化する知性』『刑法の時間』『傲慢と善良』『破果』『言語はこうして生まれる』
今回の5冊。
結構、ハードなタイトルが多いです。
【1冊目】『相対化する知性 人工知能が世界の見方をどう変えるのか』
……。
読むのは。
一部だけでイイんじゃないかなー。
【2冊目】読みやすい! 分かりやすい!『刑法の時間』
※このタイトルはKindle Unlimited対象タイトルではありません
「大学で法律学入門の授業受けたなー」と思いながら図書館で借りてきました。
法律は面白いんですよ。
なんせ、裁く対象の「人」が、いろいろ複雑なので。
それに対応する「法」も深く込み入るものになって、これが面白いんです。
この本でも、いろいろと事例に基づいて紹介されてます。
「たぬき・むじな事件」とか有名ですよねー。
大正の事件で、「たぬきの狩猟禁止」となった時に「これ、”たぬき”じゃなくて”むじな”だから」って獲ったら、それが「たぬき」だったという事件ですね。
江戸時代の名残で、方言が強くまだまだ残っていて、こういう動物の固有名詞がバラバラだったために起きた事件です。
そういう、人の複雑さが垣間見えるので、法律は好きなんですよー。
この本は、1セクションが短いし、分かりやすくてよかったですね。
法律の前提知識がなくても、読めます。
大学一年生の授業みたいな感じで。これ、教科書とまで行かなくても副読本として購入を勧めてもイイんじゃないのくらいの分かりやすさ。
刑法に興味のある方には、一冊目としてオススメです。
【3冊目】有名タイトルついに『傲慢と善良』
※このタイトルはKindle Unlimited対象タイトルではありません
有名タイトルですね。
ついに読みました。
面白かったです!!
ハピエンでよかった〜。
日本人作家の小説を最近、意識して読んでるけど。
お国柄というか、社会情勢がやっぱり自分が生きている国だから、そこのチューニング合わせるのがなくて読みやすいですね。
あんまり好き嫌いしちゃダメだなと思いながら、気になったタイトルは積極的に手を出していきたいです。
【4冊目】65歳、女、殺し屋『破果』
韓国ノワール、キラー小説。
韓国ものは、お初かも?
いや、この前、『アーモンド』読みましたね。
この前、KUでギリシャSF読んだり。
KUでも結構、海外ものを読めるようになってきましたね。いや、これまで探しきれてなかったのかもしれませんが。
23年5月に増えた岩波書店のタイトル。
いや〜。
岩波さんのKU選書好きです。本当に!
65歳女性(独身・殺し屋)が主人公。
このインパクトがまず、すごい。
作品ではお婆ちゃん扱いされてるけど、矍鑠とした65歳は……。
超高齢化社会の日本じゃ、なかなか「お婆ちゃん」とは呼べないな〜と思いながら読み始めました。
運動神経、絶対、わたしよりいいし笑
身体が思うように動かなくてなっていく……仕事は続けられるのか、クビにされないか……普遍的な高齢者の悩み。
過去の因縁が迫ってくる、キラー小説しての面白さ。
女としての、生きざま。
この三つがどれも面白くて、しかも、絡み合ってストーリーを織りなす。
これは、イイです!!
絶対に読んでほしい一冊。
ホントに。
【5冊目】不オススメタイトル『言語はこうして生まれる 「即興する脳」とジェスチャーゲーム』
※このタイトルはKindle Unlimited対象タイトルではありません
「言語は遺伝子にコードされている」という、従来というか古い言語学に反論するタイトルです。
従来の言語学ではない、新しいアプローチっていうのが今の言語学の流行りらしいですね。
言語学の歴史を解説し、その沿線上で批判されていきます。
言語学の通史とか、遺伝子に関する生物学とかの議論になるので、かなり難しめのタイトルです。
一章20分ペースだと思ってたら、35〜40分かかったので。
かなりハードですね。
言語はジェスチャーゲームのようなもので、その場その場で変化していく。
昔の言語学は、以下のような考えが支配していました。
「言語はヒトの遺伝子上にコードされている、つまり、言語を話せるようになるのは生物学的な素養のおかげ」
本書ではこれに反論し、「ヒトが理解し話せるように、言語が進化してきた」という考えを提示します。
子どもが数年で言語を話せるようになるという謎にも、「ヒトが数年で学習できるように言語が出来上がってきたから」と回答します。
なんというかねー。
新しい理論を提案しているわけだから、まだ完璧、完全なわけないよね。
だから、論拠になったり、補強したりする事実だけじゃなくて、「こういう結果もあって、まだうまく説明できない」「こことここはまだ分かってません」ってのが絶対あるでしょ。
そういうのが、書いてないんだよね。
ニュートン力学だって、光速周辺は説明できないよね。
ちょっと優等生的だけど、科学的な議論をするなら、そう言う部分を必ず書くべきだと思う。
科学の反証可能性とはちょっとズレるかもだけど、そういうのがないとなぁ。似非科学とまでは言わないけど、「大丈夫か、この論展開」ってなっちゃう。
でね。
7章からがすごく辛かった。
風呂敷広げすぎてんだと思う。
6章まではヒトに焦点が当たってるから読めるけど、7章からはヒト以外の菌類・虫・植物・動物との比較に入ってしまう。
で、最終章はAIまで話が広がる。
論展開を追うのがすごく辛い文体なのに、そこまで話が広がったら、何を言ってるのかまずわからないレベルになってしまう。
そう、それくらい、すごく読みづらい文章だった。
このタイトルでは、ヒトの短期的な記憶は刹那のもので、会話の場面において、無理矢理チャンクとしてまとめてボトルネックに無理矢理に詰め込んでいくって捉えられてるんだけど。
耳で聞くんじゃなくて、目で読むのも同じようなもんだと思うわけ。
論点がわからないというか、論の展開が追いづらい。
例えば、同じ比喩が何度も何度も繰り返されたり。いやいや、友達と話してるんじゃないんだから……って辛くなってくる。
そして、とにかく羅列する。
長い。辛い。読む気失せる。
文章を理解するのに、段落の繋がりを納得するのに、論旨を追いかけるのに、論点を把握するのに。
すっごーく負荷がかかる文章だった。
負荷がかかる文章なんてある? とお思いのあなた。
例えば、一ページまるまる、一つの文章っていうのを想像してほしい。
接続部分だけを抜き出すと、「〜だけど、〜で、一例をあげれば〜、あるいは〜があって、〜だから、〜なんだけど、あるいは〜という話があるけど、さっきは〜と言ったけど、実は〜で、〜と〜は関係ないから考えなくていいとして、〜は絶対条件であって、しかし〜という反例があり、それでも〜だから、〜である」みたいな。
そんな文章があったとして、書き手の言いたいことをすぐ取り出せると思う?
無理でしょ。
ライティングスキルってまず「短い文章で」「接続詞で繋がりをわかりやすく」が大事なんだけどさ。
そういうスキルが全くない。
そもそも、読めない文章って感じ。
とにかく、読むの辛かった。
読書欲がめっちゃくちゃ減退した。
これは本当にお勧めできないです。マジで。
で、この前、ライティングスキルもある、最近の言語学タイトルを読んだんだよね。
『会話の科学 あなたはなぜ「え?」と言ってしまうのか』ってやつ。
こっちは手放しに絶賛できる。
言語学に興味があるなら、こっちを読んでほしい。
それでは最後に。
皆様の読書ライフの充実を祈って。
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