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正社員という生き方を諦めたときの葛藤と、その後のはなし


今日は僕が新卒で入った会社を辞める時に抱えていた葛藤について話そうと思う。


会社を退職するか悩むタイミングは決まって一大事だ。最初から退職するつもりで入社する人間はめったにいない。なにか大きな「こんなはずじゃなかった」がそこにはあったはずだ。


今日は、現在進行形で退職について頭を抱えている人や、どうしても独立したい理由がある人に何か一つでもヒントを渡せればいいなと思って書いている。


少しでも「これは自分に関係のある文章かも」と思ったあなた、3分だけ時間を使って僕の話を聞いてほしい。


どんよりとした八方塞がりな気持ちを軽くすることくらいはできるかもしれない。それでははじめていく。




最初で最後の正社員生活は1年半で終わった



新卒で入った会社を1年半で辞めたことがある。あの時は崖から飛び降りるような覚悟をした。本当に死ぬくらいのつもりで「やめます」と言い張った。


「正社員になって、それなりに長い時間働いて、結婚して子供を作ってー」真面目だった僕にはなんとなく考えていた人生プランがあった。退職を考え始めたときは、それが全て壊れるような気がして怖かった。


あの時の僕はそれはそれはたくさんのことを考えた。


ここで頑張れないと次も頑張れないんじゃないか。自分は諦めてはいけないところで諦めようとしているのではないか。


「あの時やめなきゃよかった」って後悔するんじゃないか。ダラダラ正社員になれずに、アルバイト生活で人生詰むんじゃないか。


友達に相談しても「辞めたらいいじゃん」って簡単に言うし、身近な人は「もうちょっと続けた方がいいんじゃない?」なんて言う。


あなたも似たような経験をしているかもしれない。あなたの人生をあなた以上に心配してくれる人は、きっといない。


そもそも、他人に相談しようにもなんて相談していいかも分からない。心の奥底に「気づいてしまったこと」があって、毎日大きくなって止まらなくなる感覚。


本当にここでこのまま時間を過ごしていいのか。少しずつ取り返しのつかないことになるんじゃないか。


この気持ちがなくなってしまったとき、本当に手遅れになってしまうんじゃないのか。


この違和感を無視したことをやがて後悔することにならないか。誰に聞いても納得いく答えは返ってこない。返ってくるはずがないのだ。言葉にできていないのだから。


そういうタイミングは大体、今まで「疑うことなく信じていた常識」が土台から覆されそうになっている時に起こる。



無意識のうちに信じていた「正社員でいれば幸せ」


僕の場合は「正社員になって、なんとなく昇進し、それなりの理不尽に耐えながら、なんだかんだ歳をとることが幸せ」という人生観を信じていた。


退職が頭によぎった瞬間、この幻想はバリバリと音をたてて崩れた。


「正社員になれたら安泰」という気持ちがどこかにあった。だから「正社員になっても大変なことはいっぱいあるっぽいぞ…?」と思った時に、何かがはじける音がした。


「あ、このままじゃ幸せになれんかもしれん」と思った。口では「この会社はブラックだから…」なんて言っていたけど、実際には「自分の人生のことを全然真剣に考えていなかった」が正しかったのかもしれない。


「正社員になれたんだから、ここで頑張っておけばなんとかうまくやれるっしょ」くらいにしか考えていなかった。だからその土台が崩れた時に、一気に何を信じていいのかわからなくなった。


それからは会社での人間関係を信じることができなくなっていった。「まずは3年頑張ってみろ」という先輩のセリフも「3年経てば立派な奴隷の完成!」と言われているような気がした。



誰の声も素直に聞くことができなくなった


「社会人として常識がなっていない」とお叱りをくらった時は「先輩は社会を語れるほど社会を知っているんですか」と心の中で思うようになった。


こうなってしまったらもう元の状態に戻るのは難しいかもしれない。誰の言葉も素直に聞けなくなっていた。その言葉が正しいか間違っているかは別として、前提が壊れるとその上に成り立っていたものは全て壊れてしまうのだ。


「正社員を3年間やっている先輩はえらくてすごい」という前提があるから成り立っていた関係は、正社員を3年間やることは善という前提の上に成り立つ。


その前提が崩れてしまったことで、掴むところのない無重力空間に投げ出されたような、そんな気持ちになったことを覚えている。


僕は何を信じたらいいんだ。わけがわからなくなった。



それでも、お前はお前の思った通りにやれ


もしあのときの自分に何か声をかけるとするなら、「お前の思った通りにやれ」と言うだろう。


当時の僕の思った通りとは、「自分を信じて退職し、退職した後のことは退職した後に考え、敷かれたレールはもう歩かないと決心すること」だ。実際に僕はそうした。


当時は「次はこんな仕事をしよう」とか「フリーランスになってみよう」とか、そういうものは一切なかった。


会社を辞めること=道を踏み外すこと くらいに思っていたので、踏み外した後のことは考えても仕方がないと無意識のうちに考えていたのかもしれない。


どうせ今まで一生懸命優秀であろうと頑張ってきた僕はここで死ぬのだから、その先のことなんて考えたって無駄でしょうと思っていた。実際にその考え方は正しかった。


先のことを考えた退職だったなら、僕は確実にフリーランスにはなっていない。


多分次も同じような待遇で、少し違う業界に、サラリーマンとして就職しただろう。だって正社員になる以外の幸せの方法を知らなかったから。


でも僕はそうしなかった。「今までの自分と違う自分になりたい」とだけ思っていて、「どうすれば違う自分になれるか」は考えていなかった。今かかっている呪いを解かないと次にはいけないと思った。


呪いにかかったままでは次も呪われたルートを選んでしまう。だから先に仕事をやめた。無職になって、友達が一気に減って、無駄に時間ができた。無敵の無職が爆誕した。



無敵の無職は強い。無敵だから。守ることがない無職はそこからとにかく行動した。借金をし、胡散臭い人にホイホイとついていき、上京をし、半年後にはコーチングビジネスで食えるようになっていた。


あんなに濃い時間を過ごしたことはない。あの半年間は本当に最高だった。キラキラしていて、デンジャーで、自分の持てる力の全てを使って生きている感覚だった。


正社員って数多くある選択肢のうちの一つでしかないんだ。その時初めて知った。



あなたはあなたの思った通りにやったほうがいいですよ


もしこの文章を読んでいるあなたが、残念ながらここまで僕が書いた文章に強く共感してしまったのだとしたら。


過去にあった出来事とリンクしたのならまだしも、今現在進行形で「今の仕事を辞めるか否か」で悩んでいるとしたら。


僕はあなたに言いたい。「あなたの思った通りにやった方がいいですよ」


あなたが今招いている事態は、ブラックな会社が悪いわけではなく、あなたのことを理解してくれない上司が悪いのでもなく、あなたの呪いなのです


あなたが会社に(もしくは会社員という肩書きに)期待したものと現実がずれていただけ。いいと思っていたものが悪かった。信じていたものが信じられなくなった。それだけ。


だってその環境を「天職だ」と思う人も、「辞めるほどでもない」と感じている人もいるわけですからね。「仕事ってそんなもんでしょ」と思える人は呪いにかかっていない。


その呪いは、あなたが生きてきた社会が、周りの大人が、学校の先生が、かけた呪い。「優秀でいなさい」「正社員になりなさい」「理不尽に耐えなさい」と大人が変わるがわるかけていったもの。


優秀でいれば、正社員になれば、理不尽に耐えれば、報われると思っていたあなたの思い違い。そう、それはただの思い違いなのです。


だから、「会社が悪い」とか「はたまた私が根性ないの?」なんて考えなくていいの。ただあなたはズレてしまった。今のあなたが変なのか、今までのあなたが変だったのか、それは誰にもわからない。


だけれども少なくとも「人間はいつかズレる」ものなのだから。ある日突然世界が変わって見える現象は人生で1度や2度あるもの。それが今になって来てしまっただけ。


今いるその場所だって、過去のあなたが納得して選んだ場所のはず。でもズレてしまったから違和感を感じる。それだけ。ズレる前には戻れない。気づかなかったことにはできない。


あなたにできることは2つ。気づいた上で気づかないふりをするか、気づいてしまったことは仕方がないから今の自分に合わせた生き方をしていくか。


あなたが知らないだけで、違和感に気づかないふりをして生きている大人はたくさんいる。そうやって生きていく人のことを「大人しいひと」と呼ぶのかもしれない。


だけど「大人しくないひと」もなかには存在する。僕は大人しくないひとであることを選んだ人間。だからこんな変なブログを書いている。


そしてあなたは大人しくしたくない人間。だからこんな変なブログを読んでいる。


大人しくしないことで困ったこともたくさん経験した。大人しい人からたくさん攻撃をされたり、社会からはみ出ちゃった気分になったり。


だけど考えつく嫌な思い出はそのくらい。大人しくしなくて済むならそのくらい余裕で受け入れられた。受け入れられない人は大人しくしていればいいだけの話だから。


「なおとさんは強いからそんな風に考えられるかもしれないけど…」と思うかもしれない。正論ばかりに聞こえるかもしれない。


その気持ちもわかる。僕だってあなたとおんなじだ。輪からはみ出ることは怖い。


ただ僕には話を聞いてくれる人がいた。それがライフコーチという存在。コーチがそばにいてくれたから、僕は僕の思いを貫いて生きることができた。



僕にはライフコーチがいた


ライフコーチと僕は退職を決める1年くらい前から毎月1回ファミレスで話をしていた。コーチは毎回毎回同じことを僕に聞いた。「本当はどうしたいの?」


最初は戸惑った。何を聞かれているのかがわからなかった。でも毎月同じことを聞かれるうちに、だんだんわかってきた。


僕の中には言葉になってないだけで、すでに答えがあるんだ。コーチはその答えについて聞いているんだ。


僕は時間をかけて少しずつ言葉にできるようになった。


自由に生きたい。しがらみから解放されて、自分の思うままにやってみたい。もうこれ以上他人の期待に応えたくない。頑張ることに疲れたから、もっと報われる世界に行きたい。


毎日笑っていたい。結果を求められる世界じゃなくて、存在を認めてもらえる世界に行きたい。


僕らの話を隣の席で聞いていた人がいたとしたら、さぞ混乱したことだろう。僕にとってこの対話は自分の人生を変えるには十分なインパクトがあった。


退職することを誰に否定されても淡々と「やめます」と言い続けられたのは、その先に自分の欲しい未来があると信じていたから。対話の持つエネルギーはすごい。めちゃめちゃすごい。



ライフコーチに救われた経験が仕事になった


そしてこの時の経験が思わぬ形で自分に返ってくる。仕事をやめて半年後、僕は東京でライフコーチとして開業をすることになった。


「正社員を辞めることが怖い」と死ぬほど悩んでいた僕に、プロのライフコーチとしてのクライアントができたのだ。


初めてのお客さんはこの「正社員手放したエピソード」に強く共感してくれた人だった。


僕はこの経験を「正社員が1年半しか続かなかった物語」だと思っていたのだけど、その人は「そんな葛藤の中で自分の生きたい道を進めるのはカッコいい」と涙を流しながら言ってくれた。


「その経験を僕にも分けてほしい」とクライアントになることを申し出てくれた。


自分が勇気を出した経験が誰かの勇気になり、その過程がお金になることを知った瞬間だった。


「ライフコーチに応援されることで勇気を出して退職した経験」から新しいビジネスまで生まれてしまった。


それだけ「勇気を出した経験」というのは求められているし、人の背中を押すことを身をもって知った。


あなたの勇気が将来誰かを救うかもしれない


「だからあなたも仕事をやめましょう」なんて言うつもりはない。


ただ勇気を出した経験は人の心を掴むのに十分なエピソードになり、それが誰かの背中を押すこともあるということだ。


もしあなたが今の環境にいるまま、勇気を出さずに「大人しく」しているもいいだろう。きっとそれはそれで得られるものがあるに違いない。


ただ勇気を出した決断は、時として想像もし得ないような未来を連れてきてくれる。


勇気を出して「やめます」を言った僕の経験が、まさか正社員時代の月収以上の金額で売れるだなんて考えてもいなかった。


ただ間違いなく「退職したいけど勇気が出なくてそこにいつづけている人」はいて、その人たちは「勇気を出してうまくいった人の経験」を求めている。


勇気を出して自分の人生を変えたら、今度はその経験を売ってお金にすることだってできる。少なくとも僕と今僕の周りにいる人は、そうやって食っている。


過去の悲しみと振り絞った勇気を今日の飯のタネにしている。そんな生き方もある。それがライフコーチという仕事だ。


仕事を辞めるか悩んでいるあなたに僕は聞きたい。「本当はどうしたいの?」


最初はうまく答えられなくてもいい。何を聞かれているかわからなくてテンパってもいい。ただ考え続けることをやめないでほしい。


僕は勇気を出してよかったと思っている。自分が納得いく方向に進めたし、その経験を使って理想の仕事を作ることもできた。


だからあなたも考えてほしい。あなたはどうしたいのか。「次の就職が…」「履歴書に穴が…」なんてことはいっさいがっさい横に置いておいて。



あなたはどうしたいのだ。


考えてみるのは今日からでも、遅くはない。



追伸


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