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「ありのままの自分で発信」することが本当に大切なことなのだろうか?


発信で素の自分が出せない」と相談をもらうことがよくあります。素の自分。ありのままの自分。コーチングをしているとよく話題に上がるテーマでもあります。

「おはなし屋なおとさんはありのままの自分を貫いていますね」とご評価いただくこともあって、まあそう言われると悪い気はしないのですが、そのフィードバックに対してちょっと違和感を覚えるところもあるんですね。

なので今日は『ありのままの自分で発信できない問題』について読者の皆さんと一緒に考えてみたいと思います。少々お付き合いを。


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そもそもの問題なのですが、「ありのままの自分」って一体どういう状況のことを言うのでしょうか。

いただく相談の内容から背景を読み解くに、「発信から受ける自分の印象が思ったとおりになっていない」ことが「ありのままの自分ではない…」という問題意識を生んでいるように思えます。


で、これはさらにそもそものそもそも論になってくるのですが、「ありのままの自分が出せない」というのは「発信活動が思い通りにできていない」とイコールで考えて良いのか?と僕は考えるわけですね。



僕のケースを例に出します。僕は自分のビジネスをする上で『おはなし屋なおと』と名乗っていますが、これは僕の本名ではありません。(苗字が「おはなし屋」の人間はいない)

直人という人間が生まれたのは31年前ですが、おはなし屋なおとが生まれたのはほんの数年前。

そう考えるとおはなし屋なおと名義での活動は全て「ありのままの自分」ではない、ということになってしまいます。


だって僕はおはなし屋なおとではないもん。


妻と関わる時は「夫の直人」、子供と一緒にいる時は「お父さん」です。完全に別の人格かと言われるとそうではないですが、子供と話している時と同じようにクライアントさんとコミュニケーションをとるわけではありません。

だから「どちらが素なの?」と言われても、「うーん、どっちもかな…」という曖昧な回答しかできないわけです。


人は誰しもたくさんの顔を持っていて当然な生き物。友人関係ひとつをとっても濃淡があるのも当たり前です。

僕は多くの友人に「なおと」と呼ばれていますが、中でも親しい数人の友人は僕のことを「なお」と呼びます。

僕の中では「なおと」と「なお」ですら全く同じ人格ではありません。全く違うわけではありませんが濃淡はあります。「なお」でしか見せない顔、「なおと」でしかやらない立ち回りもあります。


どちらも素で、ありのままの自分です。違うところと言えば、「関係性に応じて立ち回り方を変えている」くらいでしょうか。

つまり、僕という人間ひとつとっても「夫の直人」「お父さん」「なお」「なおと」そして「おはなし屋なおと」と、たくさんの顔があるわけです。

もちろん両親の前では「息子」ですし、厳密に言うと父を前にした僕と母と話している僕も違う顔をしています。それが当たり前だと思うのです。



では発信活動に話を戻しましょう。僕の発信はありのままか?と言われると全然そんなことありません。

発信で見せない顔はたくさんあります。

「夫婦喧嘩したんですよ〜」とラジオで話す事はあっても、実際の夫婦喧嘩の音声なんて絶対に公開しません。血で血を洗うような夫婦の罵り合いをリスナーの皆さんに見せたところで何のメリットもないからです。


つまり僕は「発信という行動において何を出すかを取捨選択している」という時点で、『ありのままの自分を全て見せている』というわけではないのです。

ありのままの自分を発信でさらけだすことはしていない。だからと言って嘘をついているわけでもない。


なぜ発信する内容を取捨選択するかと言うと、僕には発信する目的があって、その目的を達成できるような内容や語り口を選んでいるからです。

そもそも発信者と受信者の一方的なコミュニケーションの場で、自分の全てを知ってもらうことなんてできません。

生活のログ全てを発信しているような人以外は、情報の取捨選択は発信者なら当たり前にやっていることなのです。


大事なのは「発信活動を通じて目的を達成すること」なので、極論を言うと「自分の発信が素である(ように感じている)かどうか」は最重要項目ではないと考えています。

「ありのまま発信ができない」と悩んでいる人はひょっとしたら「うまくいっている人はありのまま発信している、自分はありのまま発信できていないからうまくいってないんだ」と思い込んでいるのかもしれません。


少なくともあなたにとって僕が「ありのままで売れている人」に見えているなら、それは勘違いの可能性が大です。

必要以上に盛って発信したり情報を加工はしないように心がけてはいますが、情報の取捨選択はちゃんとやってます。

僕には発信する目的があるからです。




そう、この「発信の目的」というものが今日一番伝えたいことであります。目的があるから、立ち回りが変わってくるのです。

お父さんをする時は「子供に対して父親でありたい」とか「愛する子供と一緒にいたい」という目的で行動を決めた結果が、子供を前にした自分の行動です。

発信活動の何が難しいかって、目の前に相手がいないので、人が日常生活でごく自然にやっている「相手に合わせて適切な自分を出す」という行為が感覚ではできないところなのです。



僕は今あなたに向かって記事を書いていますが、現実の僕は書斎でひとりモニターに向かってカタカタとキーボードを叩いているだけです。

現時点ではこの文章を誰も読んでいない。

そして僕は数十分後に公開ボタンを押し、そこから寝ている間やお父さんをやっている間に、顔も名前も知らない誰かに文章が読まれるわけです。


僕の文章はあなたに読まれるけれど、僕はあなたのことを何も読みとることができない。

せめて手紙なら宛先があるし関係性があるけれど、不特定多数に読まれるブログはそれもない。

これ、人類史上新しすぎるコミュニケーションの形なんですよね。


だから普通にやってもうまくいくわけがない。

猿だって自分と相手との関係性(群れの中でのランク付とか)でコミュニケーションを変えるのが自然なのです。


情報発信というのはその相手が目の前にいないのですから、立ち回りがわからないのは当たり前。

だから「何を書いて良いのかわからない」も当たり前すぎる悩みだし、自分の発信がありのままでないだなんて「そりゃそうでしょ」以外の答えはないわけです。


ここまで話を聞いてもらえると僕が「ありのままで売れていてすごい!」と言われるとモヤつく理由がわかってもらえたでしょうか。

「売れている人はありのままで発信できている!自分はそうではない!だからありのままの自分で発信するためには…?」という思考は本質からズレている、というのが回答になります。


発信の世界で本当の意味でありのままでいられる人などいない。

それは「成功者はみんな嘘をついている」ということではなくて、一方的なコミュニケーションという構造がある時点で「どの自分を見せるか」という取捨選択が必ず発生する、という理由からです。


「おはなし屋なおと」はありのままの自分ではありますが、僕と言う人間の全てではありません。

目的に応じた取捨選択はしていますし、本当の意味で素をさらけだすなら、寝起き一発目の「あ〜ねむ。朝飯作るのだる。冷凍ご飯まだ残ってたかな」なんて言葉も発信しないと不自然です。こんなの誰が聞きたいんですか。


なぜ僕がそれを出さないかと言うと、目的にそぐわないからです。あなたもきっとそうですよね。感覚的に誰しも情報の取捨選択はやっているはず。

でも一方的なコミュニケーションである発信活動は、相手の顔が見えないので「今までのコミュニケーションの延長」というフレームでは捉えることができない。

だから自分の発信が「ありのままでない」と感じるのは自然で、ズレているのはそこから先の「ありのままだと感じる発信活動ができれば自分の目的は達成される」という思い込み。


本当に考えなくてはいけないのは「ありのまま」の方ではなく「目的」の方であり、目的を明確にしない限り「情報の取捨選択」の精度は上がっていかない。これが今日の結論です。



で、どうしたらいいの?って話で〆


結論が出たので、具体的にどうすれば良いのかと言う部分まで書いて終わりにしましょう。

「発信活動の目的」を定めることです。

何のために発信しているのか。僕は3つの目的があるのですが(ここを詳しく書いてしまうと記事があと10個書けてしまうので今日は割愛します)、その目的を達成するために最適な立ち回りを日々試行錯誤しています。


目的が変われば行動や語り口が変わるのは当たり前で、目的が達成されるならどんな内容を伝えていても『良い発信』であるし、逆に目的がいつまで経っても達成されない(される目処が立たない)のであれば、どれだけありのまま自然体でいようと『最適でない発信』になります。

いくらライフコーチがありのままの自分を見せる仕事とはいえ、毎日「ラーメン食べたぁ」「サウナ並んでるなう」と呟いているだけでお客さんが集まるでしょうか?

「自分の人生を生きるとは?」「人生は一回きりだ!」などの人生の核心に迫るような言葉を常に出し続けても、それは『格言bot』になるだけです。


もちろんそうなりたいならその立ち回りは正しいのですが、目的とアンマッチな行動を繰り返していても成果を得る事はできません。

自分にとって最適な発信活動を行うためには、まず自分の目的、つまり「発信から得たい未来」を明確にする必要があります。


この解像度をどれだけ上げられるか。「集客したい人」と「自分の理想のお客さんを集客したい人」の違いだけでも行動は全く違ってきます。

僕は「集客もしてお客さんとの関係性も深めてなおかつ半永久的に続けられるような力感で自分が暇な時に読み返したくなる発信」くらいの解像度で考えているので、必然的に手段も決まってきます。それが今のスタイルです。


盛ってないし、加工もしてないし、時間もそんなに書けてないけど、面白く学びになる。そんな分野のコンテンツを作ろうと思うと僕の場合は「起業に関連したこと」以外話せないんですね。

だから発信内容で悩む事はないです。毎日クライアントさんとやりとりしてるので、内容も自分で0から考える事はほとんどない。0から考えてたら半永久的に続けられないので、条件から外れちゃうんですよね。


もちろん最初からここまでの解像度を一人で作るのは無理なので、その際はだれか信頼できる人に相談するなり、できる範囲でデータを取りながら手を動かしてみるのが吉かと。

間違っても「解像度が上がってから発信活動に取り組もう」とは考えないように。それは悪手中の悪手なので。



目的意識を持ちすぎると今度は発信活動が楽しくなくなるので、今日の記事の内容を考えるときは、ご利用は計画的にの精神で。


以上です。


追記①

「僕の発信の目的」についてはラジオで詳しく解説しているので、興味がある人はこちらもどうぞ🫰



追記②


今日の記事を書きながら思い出したのですが、B'zの『イチブトゼンブ』という曲で「全て何かの一部ってことに僕らは気づかない」「愛し抜けるポイントがひとつありゃいいのに」と稲葉さんが歌っていました。

これ、今日の話そのまんまですよね。歌い出しなんて「あなたは私のほんの一部しか知らない〜」ですよ。これ貼るだけで今日の話終わってましたね。ラジオかB'zかお好きな方をどうぞ。


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記事を読んでいただき、ありがとうございました!

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【おはなし屋なおとのプロフィール】
おはなし(対話)で生計を立てる起業8年目のライフコーチ。資格や肩書きに捉われず個人で稼ぐことを伝え続けている30歳です。情報発信で全国各地にクライアントさんができ4年前に地方移住。地元で子育て(2歳0歳)しながらオンラインで活動。note20万PVラジオ3.3万再生YouTube登録1200人。日々コツコツ発信してます✌️

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