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才能とは「自分の意志と関係なく勝手に作動するプログラム」のようなもの

人は「特に意識しなくてもできること」に取り組んでいるとき、最も才能を発揮します。スポーツ選手が大きなプレッシャーのかかる大会で「楽しもう」と口にすることがありますが、これは「本番当日にいつも無意識でやっていることを意識してしまうと動きが固くなってしまう」ことに対する対策なのです。無意識でできることを意識してしまうと、とたんに動きが固くなってしまう。緊張したときに「いつも通りやろう」と思ってもいつも通りの動きをすることは難しいのです。

自分で自分をコーチする時には、この「無意識」をうまく活かせる環境を自分に与えるかという視点が大切です。人と時間を忘れて話し込むことが得意な人が、「私語厳禁」の職場で働いていたとしたらどうでしょうか。「人と話したい」という衝動を抑えるだけで脳みその容量を使ってしまい、そこにいるだけで延々とエネルギーを垂れ流している状態に他なりません。

自分の「無意識にできること」がどんなことか知るだけで、「こういう場所には行くのはやめておこう」という対策をとることができます。無意識とは才能の源泉であり、才能とは「勝手に自分を突き動かす自動行動」のようなものなのです。自動行動なので、自分の意志で抑えることは難しいし、できたとしてもかなりのエネルギーを使います。

「じっとしている人が得意な人」が静かにじっと立っていることは苦痛でもなんでもなく、息を吸うように当たり前にできることです。一方「常にアンテナを張って動き続け流ことが得意な人」は同じじっとしているだけでも延々とストレスを感じ続けます。短い時間で感じるストレスは我慢できる程度のことかもしれませんが、これが1日、1ヶ月、1年と積み重なればその差は大きなものとなります。住宅ローンの利率が1%変われば生涯で返済する金額がいくら変わる?の計算をするようなものです。

ですから、自分が「どのような状況にいるとストレスを感じやすいか」ということについて知ることもまた、自分の才能を発見するきっかけになります。例えば僕なら「自由な発想で行動すると怒られる環境」にいるととてもストレスを感じてしまいます。常に思いつきで行動したいからです。自分のペースで生きることに向いているともいえます。たとえ「じっとして余計なことをしなければ毎月50万円あげるよ」と言われても、僕はストレスで死んでしまいそうになるでしょう。きっともらったお金は全てストレス発散に使い、「毎月50万円もらえるだけの会社員である」ということを逆手にとってローンを組みまくり、あっという間に借金地獄になってしまうでしょう。そのくらい「自分の才能と噛み合わない場所にいる」ということはコスパが悪いことなのです。

「無意識でもできること」は裏を返せば「意識しても抑えることが難しい衝動」と言い換えることができます。僕は自分の生活を最適化することをほぼ毎日無意識でやっています。自分の持っている資産を把握して、「もし売上が出なくなってもあと何年はこの生活を続けられるな…」と考えるし、セッションでも「自分がどんな状態なら一番リラックスして対話にのぞめるだろうか?」と考えて生活をチューニングします。

これらの習慣は別に「個人事業主だからお金をちゃんと管理しなければいけない」と考えているわけでもなければ、「コーチたるもの万全な状態でセッションにのぞまなければいけない」と強い自覚を持っているわけではありません。「ずっと自由にふらふら生きていきたいんだからお金の計算くらいするっしょ!」「お金を出してまで自分と話したいって言ってくれている人がいるんだから、自分の調子が整ってた方が楽しいに決まってるでしょ!」と当たり前のように考えているだけです。

甲子園を目指す野球少年が「甲子園を目指すんだから毎日1000回くらい素振りするのあたりまえでしょ?」と思うような感覚に近いです。僕は自分に『おはなし屋なおと』という名前をつけるくらいなので、人と話すことを仕事にできているこの生活が愛おしくてたまりません。この暮らしを1秒でも長く続けるためにできることなんて全部やって当然でしょ?と思いながら毎日暮らしています。

自分の「無意識でできること」を一つずつ組み合わせていけば、「何も意識しなくても勝手に成果が積み上がり続ける」という暮らしを作ることができます。人は落ち着くとこに落ち着くというやつです。僕も一時期は「フリーランスなんだから最低でも登録者が1万人くらいいないと話にならない」と思って動画を投稿しまくっていた時期がありました。結果としてたくさんの恩恵を受けることができたのですが、僕にとって動画投稿は「相当意識しないと続けられないこと」だったので、続きませんでした。

登録者は900人弱です。「延々と動画を投稿するためのコストを払い続ける自分」は想像できませんでした。「やめよう!」と英断したわけでもなく、なんとなく自然にやめちゃいました。そんなことの連続で気づいたら自分の手の中には「そんなに意識しなくてもできること」だけが残っていった感じです。

僕が今でも続けていることは、「毎日モーニングノートを書く」「思いつきでTwitterをつぶやく」「なんか思いついたらnoteやラジオを作って投稿する」「寝る前にはストレッチをする」くらいです。これだけやっていればあとは無意識の自分がどうにかしてくれることだけはわかっています。初めて話す人と打ち解けることも、その人にあった提案をすることも、セッションを提供することも、基本的に僕の場合は全部無意識でOKみたいです。

むしろ変に意識すると動きが固くなって本来のパフォーマンスが出せなくなる。だから僕のやることはあくまでシンプルに「無意識の自分が安心して無意識でいられるような状況を作り続けること」なのです。これが僕の『自分で自分をコーチする感覚』です。

自分の「意識しなくてもできること」を探すために大事なことは、逆説的ではありますが「意識して何かをやってみる回数を増やすこと」だと思います。砕けた言い方をすると「とにかくやってみる」。ある程度やってみて続ける工夫をしてみて、続いたものだけを習慣として生活に残していく。

それと同時に「意識して何かをやめてみる回数を増やすこと」も大事です。無意識の自分が無意識の状態でいるためには、脳のリソースを空ける必要があります。いい意味で「何も考えてない状態」を作ることが大切なのです。だから「意識しないとできないことを嫌々やっている状態」では才能は発揮されません。

毎日スーツを着て会社に行っている時点で、「毎日好きなものを着れないのはいやだなあ」と思うタイプの人は貴重な才能を一つ潰していることになります。「本当はリスクを負ってでも自分の意志で生きたいなあ」と思っている人が「家族のためにはお金を稼がないといけないから」と嫌々仕事を続けていると、「自由にしたいなあ」と無意識的に思う自分を抑え込むパワーを常日頃から使い続けることになります。

こうして人は自分の才能を抑えこむことばかりにエネルギーを使って、自分の無意識をうまく使う時間をどんどん減らしていき、「自分には才能がない」とため息をつくのです。なんとも勿体無い話ですよね。自分で自分を殺しているだけなのだから、自分を殺すことをやめたらいいのに。

残念ながら社会はあなたのお母さんではないので、「才能を発揮しろ」とは言ってくれません。むしろ「社会に都合のいい歯車として、余計なことは思わず言わず、高い税金を払い続けながら、頑張って働いてほしい」と思っています。だから義務教育では『集団行動』を教えるのです。

もったいないですよね。自分の才能を生かす努力は自分にしかできないんですよ。だから誰になんと言われようと、少しずつでも「自分が無意識にできることってなんだろう」と考えて行動していかないと、勿体無いわけです。

僕のブログをいつも読んでくれているあなたへ。僕とあなたはなんの因果かこの文章を通して出会いました。僕は今あなたがどんな顔をしてスマホ越しに僕の言葉を聞いてくれているのか想像することもできませんが、あなたには自分の才能を発揮して自分らしく生きてほしいと思っています。もちろん「もうすでに自分の才能を使い倒して豊かに暮らしてるよ」って人もいますよね。そんな人は周りの人に教えてあげてください。自分の才能の見つけ方と生かしかたを。

この国では個人が個人として胸を張って生きることを推奨していません。口では「自分らしく生きよう」と言うけれど、そんなの嘘です。この国のスタンダードは「文句を言わずに集団のために働く優秀な人になりなさい」です。それで幸せになれるならいいんです。でも今はそんな時代じゃありません。自分の生き方は自分で決める。自分を生かすための努力をする。そうでもしないと幸せになれないじゃないですか。

誰かが敷いたレールはすべて枕木が腐って鉄が歪んでしまっています。「幸せ」が何も考えずに大人の言うことだけを聞いていれば手に入れられるものではなくなってしまったのです。こんな世の中を変えてくれ、なんて言いません。ただせめてあなたは、この文章に出会ったあなただけでも、あなたがあなたらしくあなたの才能を生かして生きていってほしいなと思っています。

自分の道は自分で作る。自分の生き方は自分で決める。この大変異な時代で、「自分らしく生きよう」を綺麗事にしてはいけないと思います。「自分らしく生きなければ未来はない」くらい必死のパッチで、自分の才能を探していこうではありませんか。まあ何はともあれ最近は冷えますから、今日のところは暖かくして寝てください。それではおやすみ。最後にお願い。最後まで読んだらスキ押してね。誰かが読んでくれたら嬉しいから。またね。

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