自転車と船で、いざお伊勢参り! 新緑の渥美半島・伊勢湾横断サイクリング
「一生に一度はお伊勢さん」は、江戸時代から言われていた伊勢神宮ツアーのキャッチコピーです。
現代の伊勢・志摩旅行の宣伝でもたびたび目にして、確かに一度は行ってみたいなぁと思っていたんですがなかなか足をのばすことがありませんでした。理由はひとつ、遠いから。
電車を使うにしろ車を使うにしろ伊勢湾をぐるーっと大回りするおかげでどうしても遠く、結果として「3時間かかるなら京都にするかなー」となり、旅行先候補のリストには入っているのに選ばない状態が続いていました。
ところが先日サイクリングの行き先を考えているときにふと思ったんですよ。伊勢湾を突っ切っちゃえばいいんじゃないの?と。
そう、僕らには自転車があった。というわけで、新幹線豊橋駅から渥美半島を走って伊勢湾フェリーで一気に三重県鳥羽に上陸。そのまま伊勢神宮をお参りするルートで走ってきました。
サイクリングの距離としては休憩を挟んだ約50kmというイージーな感じに仕上がっています。
1.サイクルトレインで渥美半島中央部へワープ
新幹線で東京駅から約1時間半、愛知県豊橋駅に到着です。普段ならこのまま自転車で走り出すところですが今回はちょっと違います。
駅窓口で「自転車を持ち込みたいんですけど」と係の方に伝えます。そう、この渥美線は自転車をそのまま電車に乗せることができるサイクルトレインを運行しているんです!
平日は朝夕を除いた日中帯、土日祝日は全列車で自転車の持ち込みが可能なんだそうです。料金は1台100円と良心的。専用チケットを受け取って、人間分の運賃をsuicaでタッチ決済したら電車へ。
乗車。非日常感があってちょっと楽しい。
終点まで乗っても20kmいかないぐらいなので大した距離ではないですが、これで市街地を抜けて郊外まで一気にワープできると思うと大助かりです。
30分ちょっとで終点の三河田原駅に到着。真新しい駅舎でトイレもしっかり整備されているのが地味にサイクリストにとっては嬉しいポイントでした。
自販機で水を買ってボトルに詰めたらロードバイクで走り出します。サイクリングスタートです。
2.広々とした太平洋を横目にのんびりサイクリング
実は単に伊勢湾を渡る(フェリーに乗る)だけなら西進して国道259号線を走った方が早いんですが、サイクリングも楽しみたいので南岸沿いの42号線をチョイスします。
海だー!
この区間は太平洋岸自転車道に指定されているサイクリングロードなので、基本的に車も人もなし。海沿いの道を気持ちよく走ります。
途中にあった道の駅あかばねロコステーションで朝のおやつタイム。みたらし団子ソフト。謎な組み合わせに見えて、みたらしのタレとソフトクリームのマリアージュがいい感じ。
自転車専用道で電光掲示板があるの初めて見た。
自転車専用道で階段があるの初めて・・・ではないですね。残念ながら結構あります。
ただ、自転車を押すためのスロープ的なものがないのは結構辛かったです。手すり沿いのわずかな坂に自転車を転がそうとすると、ペダルと手すりがガンガン接触するのは改善して欲しいところ。
1箇所だけの階段以外は言うことなしの絶景が続きます。渥美半島の先端に近づくにつれて海の色もエメラルドグリーンに変わって、本当に美しいです。
日出の石門(ひいのせきもん)。「どうする家康」のロケ地にもなったそうです。12月末から1月上旬は石門の中から日が出るとか。
石門近くには唐突に急坂があり、ここを越えると渥美半島先端部・伊良湖港はすぐそこです。
3.揺れる伊勢湾フェリー
昼前に伊良湖港に到着。この伊勢湾フェリーは8時から17時にかけて概ね1時間に1本ほど運航されているんですが、ちょうど「間もなく船が港に到着」するタイミングでした。
少し慌てつつ、営業所で自転車持ち込みの旨を伝えてチケット購入します。片道で大人1名1800円、自転車は1台1300円。
こういうのちょっとワクワクしますね。鳥羽から運んできた車やお客さんを降ろしたあと案内が始まりました。バイクと同じカテゴリで自転車も案内されるので中へ。
車止めと捕縛を見届けたら船内デッキへ上がって優雅な船旅の開始です。
フロアの売店ではお菓子や飲料を売っていました。食事の類は提供していないようなので、ご飯を食べようとすると物足りないかも。
お茶を飲みつついざ出港・・・したんですが、直後からかなりの揺れが。天候の影響もあると思いますが、東京湾フェリー等と比べてもかなりの揺れで「ヤバい、これは酔う!」と判断。船内を歩き回って気分転換することにしました。
写真で見るぶんには美しくて良いですね。実際にはかなり揺れていて常に三半規管が攻撃を受けています。
ちなみにこの航路、運がいいとイルカの群れを見ることができるんだそうです。海上にカモメが集まっていたら餌になる小魚がいるので、それを目印に探すとイルカが見つけられるかも。
伊勢湾の真ん中にある神島。三島由紀夫の「潮騒」の舞台になった島です。
対岸が見えてきて間もなく、鳥羽港に到着。ついに伊勢エリアに上陸です!
4.「お伊勢参りは二見から」二見興玉神社で夫婦円満の祈願
鳥羽港から出たら、国道42号線を走って伊勢神宮方面へ。ちょうどGW直前だったので、至る所に交通規制の予告看板が出ていました。混雑するんだろうなー。
実はこのあたりも、渥美半島から続いて太平洋岸自転車道の一部だったりします。
まっすぐ伊勢神宮に向かっても良かったんですが、事前に妻からおすすめされていた二見興玉神社に寄り道しました。伊勢神宮をお参りするとき、その昔はここにある立石浜で禊をするのが慣わしだったんだそうです。
さすがに現代では浜で禊はしませんが、縁結び・夫婦円満にご利益があるらしいのでしっかり参拝していきます。
ところどころにある蛙は「二見蛙」。旅行安全のご利益があるとか。今回のサイクリングにもぴったりですね。
身体中を託してお納めしたい。
奥に見えるのが夫婦岩。
お土産に夫婦御守をいただきました。毎度、笑顔でサイクリングに送り出してくれる妻には本当に感謝しきりです。
5.歩いて、見て、食べて楽しい伊勢神宮
さて、きれいに終わった風ですが、まだ本命の伊勢神宮が残っています。
ついにやってきました伊勢神宮。知っている方には今さらですが、神宮は「内宮」と「外宮」の2つのお宮があり、外→内の順に参拝するのがルールです。
外宮。伊勢神宮は仏教・寺院建築の影響を受ける前の建築様式、神明造になっているそうです。大相撲の吊り屋根と同じ造りなんだとか。
そして内宮へ。
五月の新緑に包まれた、神秘的な雰囲気を感じる神社でした。
しっかり参拝も終えたので、最後に内宮すぐ近くにある手ごね茶屋さんで伊勢名物をいただきます。こういう名物を食べるためにサイクリングやってるみたいなところありますからね!
伊勢名物手こね寿司と伊勢うどんがセットになった「名物合わせ」。
伊勢うどんは提供の素早さ優先で生まれた名物だから不味い・・・とよく言われますが、濃い少量のタレともちもちツルツルの麺は普通に(失礼)美味しかったです。
食後のデザートは、おかげ横丁で夏の伊勢名物・赤福氷。抹茶氷をかき分けると赤福が顔を出します。
お参りから食事、甘味まで伊勢のフルコースをしっかり味わえて大満足。肉体的にも精神的にもしっかりパワー充填できるサイクリングでした。
今回のルートでサイクリング距離が短くて物足りない場合は、渥美半島でサイクルトレインを使わないか、鳥羽から伊勢神宮へ向かう時に山側を回るコースにするのが良いと思います。
この後は賢島近くで一泊して志摩エリアのサイクリングを楽しんだんですが、それはまた別の記事で。
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