こぶた達に追い越されるおおかみ、うれしい！くやしい！大好き♬

長女のブーと次女のフーは、おおかみの術中にハマって、バドラーになった

ジュニアから始めたブーは、中学生になると中年バドラーおおかみを打ち負かすようになる

中学から始めたフーも、高校生になるとおおかみに勝つようになった
最後はおおかみのアキレス腱をブチ切り、涙の引退に追い込む

そんな中、長男末っ子のウーだけは、おおかみの術から逃れ、バドラーにならなかった

---

授業が無い日のルーチン通り、昼過ぎ起床のウーから聞かれた

「輪行袋かしてもらえる？」

ウーは大学3年生になり、キャンパスが変わった
それで、通学に使っていたチャリを引き上げるらしい

チャリは八王子駅からキャンパスまでの通学に使ってたもの
八王子駅から我が家の最寄り駅まで、快速電車で34分、鈍行で41分

「八王子からなら、チャリ乗ってきちゃえばいいじゃん」

深い考えもなしに言い放つおおかみ

「3時間もかかんないよ」

…嘘。真っ赤ほどでは無いにしろ、限りなく赤に近いオレンジ

道に迷わず最短ルートを追い風に乗って休まず走れば、おおかみでも3時間で帰ってこられると思ふ

でもそれは、おおかみの溺愛するティナ号の場合
ウーが乗っているのは、一文字ハンドルでタイヤも小さい8段変速の折り畳みチャリだ

ま、無理だよね。でも3時間って言っておけば乗ってくるかな。話にもチャリにも…と思ってた

---

おおかみ、そのまま買い物へ

いやぁ、今日は暑い。蒸し蒸しする
こんな日にチャリは地獄だね～
やっぱり輪行袋かしてやるかぁ～

そういえばウー、この間キャンパスで貧血こいたとか言ってたしなぁ～

そして途中で思い出す
ウー、今日は夕方からバイト
だったよね…と

いつもバイトの日は17:00には家でご飯を食べてる

時計を見ると、すでに13:00を余裕でまわってる
八王子駅に着くのは14:00を過ぎちゃうかも…それから乗って帰ると…

やばっ！止めねば！

---

家に帰るとすでにウーは家を出てた
輪行袋を持っていった形跡は無い…

おおかみ、実はさらにテキトーなことを言ってた

「八王子からなんて、多摩川をダーっとくだって、テキトーなところで鶴見川に乗り移って、鶴見川をゴーっとくだってくればスグだよ」

ダーでゴーって、長嶋茂雄か？
安全のために言ったんだけど、それだと距離はノビノビ太で40kmを超えてくる。フルマラソンレベル

さらに道を迷いでもしたら大変だ…

ロードバイクならな～。きっと余裕なんだろうけどな～
20インチのボロボロ折り畳みチャリだからな～

---

心を静めてから、恐る恐るLINEしてみた

待つこと16分…

あるのかぁ～！
しかも、言われた通り多摩川をダーっと下っとる。フルマラソンコースやん

ダメじゃん…

…いい返事だ

でも、そのコースだとチャリをデポする駅はほとんど無いのだよ…
相変わらずいいかげんなおおかみ…

あと2時間半
かな～り、やばやばだと思うんだけど、本人は良くわかっていないようだ

---

罪の意識にさいなまれたおおかみ、いつも以上にセカセカと夕食の準備にはいる

今日の献立は麻婆豆腐と肉野菜炒め。ご飯の炊きあがりは…
いつもなら17:00なんだけど、無理だな。ウーは絶対に間に合わないな

そういえば今日はフーが夜バドるから17時過ぎにご飯食べたいって言ってたっけ…

という訳で、ごはんを17:15にセット
この時点でウーの帰宅は完全にあきらめてる

どうしようかな～
夕ご飯はあきらめて、着替えをもってバイト先直行で何とか間に合わないかな～
そういえば、あれっきりLINEもないな～

…しだいに追い詰められるおおかみ

---

16:45

おおかみ家の玄関が開く

あら、フー、早かったのね…と思ったら、玄関にいたのはウーだった

なんと、ホントに3時間で帰ってきた
しかもダーでゴーのフルマラソン距離を！

見るとこの暑いのに半そでトレーナーにジーンズ…
しかもおっきなザックを背負ってる…

よくその格好で、そのチャリで戻って来たもんだ
ザック潮吹いてるし…

負けた…orz

なんか良くわかんないけど圧倒的な敗北感

おおかみ、今日の暑さでトレーナーにジーンズでボロチャリ乗ってフルマラソンの距離を3時間切らないと大事な予定に遅刻するチャレンジってのは

無理ゲー

挑戦する気にすらなれない

若さっていいなぁ…

---

もっとも、ウーは鳥人間のパイロットを目指して、この2年間トレーニングを積んできたから、当然の結果とも言える

速さだけではなくて、帰巣本能が磨かれてたのも驚き
何年も前に一度だけ八王子から一緒にチャリったとはいえ、ほぼ道に迷わず帰ってくるとは思わなかった

---

こうして、おおかみパパは3匹のこぶた達の背中を仰ぎ見ることとなった

まあ、もうアラ還だから、こどもにいろいろ追い抜かれるのは仕方なし
でも、最初の頃は

くやしさ ＞ うれしさ

だったのが、年々

くやしさ ＜ うれしさ

になっていくのは、いいんだろうか？

大人の階段のぉぼるぅ～♬ こぶた達とすれ違いに、パパはニヤケながらジジへの階段を一歩一歩くだるのです

人生下り坂サイコー！