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迷う保護者ーこどものワクチン接種意向調査からみえてくるもの

接種開始、しかし迷う保護者も多く

3/23更新:医療機関の結果を追加 こどもへのワクチン接種が開始され、国、自治体、マスコミ、SNSなどでいろいろな情報が飛び交っており、悩んでいる保護者の方も少なくないと思います。

先日、こんな報道を見かけました。

新型コロナワクチン 小児接種 副反応への不安など迷う保護者も【岡山】
(2022年3月16日 RSKイブニングニュース)

RSKアプリでアンケートを行った結果、5歳~11歳の接種対象の子どもをもつ保護者のうち「ワクチンを打たせたい」と回答した割合は55%でした。

「55%」この割合は、果たして多いのか?どうなのか?この結果だけからでは何も断言できない。他の調査結果はどうなのだろうか…?ということで、保護者を対象にした接種意向調査を集めてみました。
なお、こうしたアンケートは、いろいろ注意が必要です。
調査バイアス(回答者が偏っていないか?誘導設問や誘導選択肢になっていないか?)を念頭において数字を見ないと危険です。
また、ニュースの見出しも中立とは言い難いものが多いので、さらに要注意です。それを踏まえてご覧ください。

国の機関・自治体による調査

(1)国立研究開発法人 国立成育医療研究センター コロナ×こども本部
調査期間:2021年9月13日から30日
調査対象者:0 歳から高校 3 年生(相当)のこどもの保護者
調査方法:インターネット調査
回答者数:5807人
設問: あなたは、あなたのお子さまに、予約がとれればすぐにコロナのワクチンを受けさせたいと思いますか?お子さま本人の考えではなく、あなた自身の考えを教えてください。(お子さまが既にワクチンを受けられている場合は、受ける前の気持ちを思い出して答えてください。)
回答内容:

育成センター

公表結果:https://www.ncchd.go.jp/center/activity/covid19_kodomo/report/CxC6_repo_final.pdf

関連報道:
「ワクチンを打たせたい」保護者は78%なのに、「打ちたい」子どもは60%と大きく下回る【国立成育医療研究センター調べ】


(2)東京都江東区
調査期間:2月10日から13日
調査対象者:5-11歳のこどもがいる保護者
調査方法:LINEによるアンケート
回答者数:2041人
設問:接種を希望しますか?
回答内容:

江東区

公表結果:https://www.city.koto.lg.jp/291101/lineqa.html?s=06
関連報道:


報道機関による調査

(1)河北新報社
調査期間:2月28日から3月3日
調査対象者:「読者とともに 特別報道室」LINE友達登録者ら
調査方法:LINEによるアンケート
回答者数:725人(うち、宮城県内在住の対象のこどもがいる人151人、いない人226人を集計)
設問(不明)
回答内容:対象の子どもがいる回答者=「受けさせたい」1割強、「受けさせたくない」6-7割、「わからない」2-3割
対象のこどもがいない回答者=「受けさせた方がいい」4割弱、「受けさせない方がいい」3割強、「分からない」3割弱

河北

公表結果(関連報道):


医療機関による調査

(1)かわむらこどもクリニック(宮城県仙台市)
調査期間:2021年8月と12月の2回
調査対象者:クリニック通院患者の保護者(人数不明)
調査方法:不明(紙による調査?)
回答者数:144人
設問:不明
回答内容:12月の結果

川村クリニック

公表結果(関連報道):https://www.khb-tv.co.jp/news/14555393


企業による調査

(1)オリコン・モニターリサーチ
調査期間:2021年6月30日から7月8日
調査対象者:自社アンケートパネル(オリコン・モニターリサーチ)会員で30から50代の男女4793人
調査方法:インターネット調査
回答者数:対象の子どもがいる回答者(710名)
設問(不明)
回答内容:

オリコン

公表結果:https://www.oricon.co.jp/special/56923/


(2)株式会社野村総合研究所
調査期間:2021年9月28日から30日
調査対象者:東京圏・名古屋圏・大阪圏※1に住み、高校生以下の子どもを持つ保護者 3,090 人
調査方法:インターネットアンケート
回答者数:未就学児の保護者:1,030 人、小学生の保護者:1,030 人、中学生の保護者:515 人、高校生の保護者:515 人
設問(不明)
回答内容:(筆者コメント:「接種済」が回答者に入っている点に要注意)

野村

公表結果:https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/lst/2021/cc/1029_1
※1:東京圏:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、名古屋圏:愛知県、岐阜県、三重県、大阪圏:大阪府、兵庫県、京都府、奈良県
関連報道:


(3)株式会社こどもりびんぐ
調査期間:1月22日から24日
調査対象者:「あんふぁん」「ぎゅって」Web会員で0から11歳の子どもを持つ全国の保護者1007人
調査方法:Webアンケート
回答者数:967人
設問:5〜11歳の子どもにワクチンを接種しますか
回答内容:(グラフは公表結果から筆者作成)

こどもりびんぐ

公表結果:https://kodomoliving.co.jp/2022/01/3167/
関連報道:


(4)株式会社カラダノート
調査期間:2022年2月11日から15日
調査対象者:カラダノートサービス利用者
調査方法:インターネット調査
回答者数:941人
設問:子どものコロナワクチン接種への意向を教えてください
回答内容:

カラダノート

公表結果:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000141.000031718.html


(5)株式会社mitoriz
調査期間:2022年3月8日
調査対象者:アンケートモニター会員のうち、5歳から11歳子どもの保護者(人数不明)
調査方法:インターネットアンケート
回答者数:1002人
設問:子どものコロナワクチン接種への意向を教えてください
回答内容:「接種の意向がある」(34.0%)、「接種の意向がない」(31.9%)「決めてないわからない」(34.0%)

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公表結果:https://www.atpress.ne.jp/news/302009


調査結果はバラバラ

調査時期も、対象も、方法も、設問も違うので、一概には言えませんが、結果はさまざまでした。冒頭にご紹介した結果は「希望者が過半数を超えている」となり、河北新報社の結果では「受けさせたい」は1割程度。

個人的には、去年よりも今年の方が、打つと決めている人、迷う人、打ちたくない人などの回答が、かなりばらついているという印象でした。
あえて断定すると、「打つ」と断言する割合が減っているとも言えます。


迷うときは「(治験終了まで)待つ」も選択肢のひとつに

「打つ」「打たない」は、どちらも尊重されるべきだと個人的には思っています。しかし、今の国や自治体の広報、マスコミの報道は「有効性」を強調する方向に偏り、有害事象や死亡例に関する情報が極端に少ない。
とてもインフォームドコンセントとは言えない状態です。
こういう状況で「打つ」「打たない」の選択を判断するというのはどうなのか、と思います。

たとえば、高級なカメラを買うとき。
店員のおススメを聞いたり、ネットでのレビュー記事を読んだりしても、
用語がわからないな。まあ何でもいいか。と、とりあえず売れ筋商品を買ってしまう。

使いだしてみたら、こういう機能が欲しかった、
これは要らなかった、あまり使わずに高い買い物をしてしまった、
などという後悔もあるでしょう。

買い物なら取り返しがつくかもしれませんが、
体内に取り込むものでも同じように考えるのはどうなのでしょうか。

「国が言っているから」「みんなが打っているから」
という考えは一旦保留にすることをお勧めします。
「国」も「皆」も、何かあっても保証はしてくれないからです。

迷うときはこういう考え方もあります。

治験期間が終了するまで待つ(日本有志看護師の会)

この記事が少しでもお役に立てば幸いです。


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