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「給与」に関する業務改善の全てを残そう ~「守」からはじまる業務改善~

前回より、私が今の会社でやってきた給与に関する業務改善を残そうと、書き始めました。

さて今回から実際やってきた実務について書いていきます。
しばらくのお付き合いのほどよろしくお願いします。

▼ 世は大アナログ時代

私が「総務部」に異動になったのが2012年。
もうすぐ丸12年がたとうとしています。
色々なところでお話ししたことがありますが、当時の総務部はパソコンを使っておらず、その全てが紙と電卓の作業でした。

▍勤怠管理

当時はタイムカードはありましたが、言わば出退勤の儀式ぐらいの位置づけにすぎず、給与計算にタイムカードは使いませんでした。
当社の製造部員は、「作業内容」によって次のように勤務時間が決まっています。

定時作業 8:30〜16:30
残業1時間の作業
早出2時間の作業
早出2時間、残業1時間の作業

これを「作業集計」という表に全員分まとめて管理していました。

毎日従業員は作業報告として「日報」を提出します。日報には作業内容、早出残業時間が書き込んであります。
勤怠管理担当者は日々作業集計に手で転記します。

▲ 作業集計(再現)

給与計算期間はB4用紙に枠線を引き、全員の勤怠管理表を作るところから始まっていました。

▍弁当代控除

当社では昼食は仕出し弁当を発注し、半額を会社負担にしています。
給与計算期間に発注した弁当代の半額を給与から天引きします。

弁当の発注は、食べるかどうかを毎朝打刻したタイムカードを「弁当いる・いらない」に分けられた箱に入れ、「弁当いる」に入ったタイムカードの枚数分弁当屋さんに発注するという流れでした。
そして誰が発注したかをノートに日付と名前を書き込み、勤怠締時に数えるという管理方法でした。

▲ 弁当発注管理ノート(再現)

「弁当いるのにいらないの箱に入れてしまった」
「いらないの箱に入れてるのに食べてしまった」
といったトラブルは日常茶飯事でした。(これは今でもあります。)

▍2時間早出手当(パン代)

製造現場が2時間の早出作業をしたときは、通常の時間外手当の外に、200円の手当がつきます。
私が異動した当初はこれを毎週金曜日に小口現金で手渡ししていました。
これはさらに昔、早出の際の朝の軽食にパンとコーヒーを出していて、その名残で現金手渡しになったということだそうです。

▲ パン代管理ノート(再現)

ノートで管理していたことよりも大変だったのが週一回小銭を調達する必要があったこと。
「普段の生活から小銭を貯めておきなさい」というのが前任者からの言葉でした。

▍宿直・日直

当社にはボイラーのオンオフを管理することをメインとした宿直・日直の業務がありました。
担当者は「宿日直日誌」に管理項目を書き込み、提出します。

▍勤怠締と給与計算

勤怠の締めをむかえると、一連の管理項目の集計が始まります。
各項目の集計表を作成し、給与計算担当者に資料を渡します。

弁当代控除と宿日直の回数は締日当日に、残業時間の集計は締日の翌日に渡すというルールがありました。
計算担当者の業務フローだったでしょう…

大アナログ時代ということなので、当然給与明細も手書きのものです。
支給も現金手渡しでした。

支給日の前日までに金種表を作成し、銀行にFAXします。支給日の朝銀行に現金を受け取りに行き、仕分け作業が始まります。
仕分けを終えて支給するのは早くても午後一、トラブルなどあった日は帰るギリギリになってようやく支給するという時もありました。


このように、勤怠管理から給与計算、全てを手作業で行なっていた大アナログ時代。
当然計算間違いや転記ミスも多く、集計や計算にもかなりの時間を要していました。
誰がどうみてもこれはすぐにでも改善しないといけない、それは明らかでした。

▼ 業務改善は「守」から始まるべきだと思う

「守破離」という言葉があります。

剣道や茶道などで、修業における段階を示したもの。
「守」は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。
「破」は、他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。
「離」は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階。

goo辞書

これは業務改善においてもとても大切な考え方だと思います。

「よくするために新しいことを取り入れないと」と意気込んでいきなり「離」から入ろうとしてもおそらくうまくいかないでしょう。
どんなやり方であれ今までのやり方をいきなり否定されては反発が起きるのは当たり前です。

私たちがやるのは改革ではなく改善です。
これまでのやり方を守ってまずやってみるのも大切なことなのかもしれません。
むしろ「守」から入って業務を全て実践したことで、業務の流れの中でどんな根本原因があるかといったことに気付いたり、業務の付加価値を再確認できたりしたのかもしれません。

私は守から始めようと意識してやってきたわけではありませんが、
未経験でバックオフィス業務に取り組むことになるということもあって、とりあえず今のやり方で言われた通りにやってみようと、数か月間大アナログ作業をやりました。

実際に従来のやり方で進めてきたからこそ、業務の流れや目的をまず理解することができましたし、その中でどこに不効率な作業があるか問題課題が潜んでいるか、そしてそれをどう改善していけばいいかを考えられたのだと思います。
「ここはExcelでこうした方がいいな」「これはそもそもを考えないと」といったことを合間合間に考えながら作業していたのを覚えています。

▼ 今回のまとめ:大アナログ時代にもいいことはある

もちろん勤怠管理だけでなく経理業務などもすべてが大アナログの時代、毎日毎日電卓をたたき数字とにらめっこしていました。

集計には時間がかかるし、転記作業はミスも発生します。
こんなことやってられないと何度も思っていました。

でも電卓をたたき、検算し、見直すことで一つ一つ細部まで確認できていたことは事実です。
業務が自動化、効率化してくると計算結果、集計結果だけを見てしまいがちになります。

特に経理業務においては、結果の数字だけを見ていても何もわかりません。
「今見えている数字は今までやってきたことの結果でしかない」
と私は思っています。

数字のストーリーを知るには一つ一つ見ていくしかない、大アナログ時代を生きてきたからこそ学んだことでもあります。

アナログで非効率、だからダメだとは言い切れません。非効率だからこそできることもたくさんあると思います。
多くの業務が自動化効率化した今も、このことは大切にしたいですね。


今回はこの辺りで。つづく。。。

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