哀れみ深い少女の手招き
ちょいと疑問を持ちながら生きています。
自分のやりたいことをやって楽しく生きてみたいという欲求がある中、過去の私が私の肩を叩き「アナタ本当にそれでいいの?」と黒い眼差しで私を覗いてくる。
「今も殴られ蹴られてる子供達は過去のお前と同じなのに、いいの?放置しておいて。
お前もくだらない大人の中に入ってしまうのね。」
「散々自己投資して勉強して未来を守ってきてあげたのに。アナタも裏切るのね、アナタも助けてくれないのね。」
「散々苦しい思いをしてここまで生き延びてきてあげたのに、アナタは娯楽に逃げて現実から目を背けて、暗闇にいる私達の事なんて忘れてしまいたいと思っているのね。」
「まだ19才なんでしょう?50才とかじゃないんでしょう?アナタの時間を暗闇の中にいる子供達の為に割いてよ。何のために私が行動力をつけてあげたと思っているの、何のために学問に熱中してきたと思っているの。全ては私たちを助ける為でしょう。」
「アナタが逃げて裏切ってどうするの。」
「というか、逃げられない。私からは逃れられない。記憶や痛みという鎖で私は過去のアナタと今のアナタを繋ぐ。」
「アナタは強い大人、私は弱い子供。
弱者を見捨てて生きる選択をするのなら、私。アナタの未来ごと亡くしてあげたらよかった。
その方が楽になったのに。」
そのような声が、サケビの声が、黒い声が。
私の心の中を渦巻く。
私は昔の私に助けられたと同時に、今の自分の体を昔の私、本気を出していた頃の私の為に動く駒や操り人形を自分と重ねるときが時々ある。
その道を選んだのは紛れもない「私」だ。
後悔はしていない。
ただ、目的を達成して早く逃れたい気持ちはある。それと同時に一生そこに佇むような気もしてならない。
哀れみ深い貪欲な16才の少女によって。
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