津田沼↔銀座のディスタンス
銀座は千葉のおのぼりさんばかり?
↑こういう言い方は、今の時代にそぐわない気がしますけど、
昭和・平成の時代にはそんなことを聞いた気も…
直通電車も通ってないから、私の勝手な思い込みか?
銀座デビュー
高校卒業まで”東京”に行くなど数えるほどしかなかった
千葉・津田沼育ちのわたし。
そんなわたしがなんの因果か”文化学科”に入学。
”カルチャーキッズ”よろしくモノクロ映画を観るようになり、
「映画館のバイト!カッコいいかも!」と思うのは想像にたやすい。
当時イエローページ(電話帳)で”ミニシアター”といわれるところに
1件1件電話して、射止めた先が『シネスイッチ銀座』だった。
90年代だった!
さして映画好きでもないのに、格好つけて始めたアルバイトだった。
振り返ると90年代ムードむんむんの個性的なメンツだった。
『スタジオボイス』をガチで読んでそうな細眉の子とか
舞台役者の子、映画監督志望の学生もいたな…。
…と思えばダンスが得意な体育会系もいたり、バランスが抜群だった。
事件と日常
事件!と言えば、
都市伝説のように語られるお客さんの話は事欠かなかった。
”映画を見たまま客席で亡くなった人がいる”(らしい)
”生キャベツ半玉、素手で持ったまま並ぶお客さん”
”鈴木保奈美が来た!”(時代は『東京ラブストーリー』)
などなど。
珠玉の小事件の数々だってたくさんあった。
日々の小事件
『シネスイッチ銀座』と言えば、あの伝説の単館映画の金字塔、
興行成績No.1の『ニュー・シネマパラダイス』が初公開された場所。
…と言っても若者は知らないのかなァ…
この映画の主人公のトトみたいに、映写室から映画を見ることもあった。
小さな映画館だから、当時は上映前のアナウンスも毎回生放送していた。
高場メモ
ただこのような出来事は、派手なほうに分類される。
実際は、上映前のモギリが終わると終映まで
”高場”と言われる銭湯の番頭席にあたるところで
えんえんと数時間を過ごす羽目になるのだった…
ここに雑紙を目玉クリップで留めただけの「高場メモ」があった。
高場メモで覚えたこと
高場メモは、アルバイトスタッフみんなで作る
伝言板みたいな手書きメモだった。
業務連絡ではなく純粋に、
皆が今ハマッっていることなんかがツラツラとつづられ、
永遠のループだったと思う。
下北沢の『茄子おやじ』(カレー屋)や
漫画『寄生獣』について初めて知ったのも高場メモからだった。
スタッフによって集められたカルチャー情報は
ちょうどいい具合に調合されたスパイスカレーのごとく。
この文章を書いているだけでも90年代の空気感を思い出せるくらいで
楽しい青春時代のひとこまだったことが今分かった。
GINZAと私のディスタンス
銀座はいつだって、大人の社交場だ。
”品格”と言えば宜しいが、”権威主義”みたいな見方だってあるだろう。
何だって一長一短?
そういえば『GINZA』っていうマガジンハウスが出している雑誌があるけれど、そのマガジンハウスの本社があるのも銀座なり。
マガジンハウスにおもねらない生き方?!
さて…アタクシ、
個人で『津田沼雑貨狂時代』っていうフリーペーパーを作ったんですー。
どーどこどっこいしょ…
これが、ちっともオシャレじゃないのねー。
でね!90年代を謳歌したアタクシはいっつも「マガジンハウス的なるもの」に心を巣くわれているわけです。否、救われてもきたのも事実。
マガジンハウスはその名の通り雑誌界のレジェンドですわ。
だから目標は「マガジンハウスに取材されること!」みたいな
物欲しげな目で活動しているわけ?!ですねン。
しかっし、このあたりで一度
「『マガジンハウス』におもねらない生き方」(っていう自己啓発本がありそ~)にシフトしてこー!って決意するんだわ~。
ハタチの頃にあこがれた銀座でアルバイトして、
未だ隣町で或るバイトの身。
ただし世の中が変わったのだ!
そしてワタシも。
きっと『マガジンハウス』が取材するなら
品よくアバンギャルドを身にまとった方なんでしょうがー…
もう、そっちは土台自分の根っこにないねん。
だったら「そっちしか(マガジンハウス) ないわけ ないでしょう」で
モッサリとでも楽しく生きる先を創意工夫して見つけていきたいね、
わたし!
ゴーインに言って、
タイトルの「津田沼⇔銀座のディスタンス」とは
津田沼=『津田沼雑貨狂時代』の作者のわたし
銀座=マガジンハウス
のディスタンス(暗喩)であります!
ここまでダラダラと学生時代のアルバイト話から書いてきたわけは、
「古くなった小さい服はもう脱ごう!」ってことです。
偉大なるものには敬意を払いつつ…
「今さら何言ってんの?」だけど
「今こそ言ってんのー」だよね。
ヘラヘラしながらやるんですー。
扉の写真はシネスイッチ銀座の30年変わらないらせん階段です。
高場メモを読んでいたあの席(あの頃)から、らせん階段上がって…
まだまだすっころんで行きましょーや!
※自作ZINE(フリーペーパー):『津田沼雑貨狂時代』とは?
80〜90年代の千葉のまち津田沼を雑貨視点でまとめたガシガシ編集部のZINE(フリーペーパー)のこと。
(はみだし『津田沼雑貨狂時代』#10)
表:書いたもので「恥ずかしさの先頭に立つ!」 裏:読んだあとに「なんとはなしにおしゃべりしたりお散歩したくなるような…」そんな”かの地”まで帆走おねがいします。