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90秒で読む!コンサルタント「読書日記」(第37回)

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「START UP STUDIO 連続してイノベーションを生む「ハリウッド型」プロ集団」(アッティラ・シゲティ著 2017年10月)

本書は、起業やイノベーションを生む新しい組織形態である「スタートアップスタジオ」の実態をインタビューや独自の調査を基に明らかにしている。

「スタートアップスタジオ」は、スタジオ内に、開発、デザイン、マーケティング、営業、法務、総務など商品やスタートアップを生み出す重要な機能を有し、内製化している点が特徴である。

スタジオ内で働く起業をしたいと考えている人や大企業の新規事業担当者等は、こうしたリソースを駆使して、同時多発的に次から次へとイノベーティブな企業を立ち上げている。この新しい組織は、シリコンバレーを震源地することなく、世界中で増殖し続けている。

これまでのスタートアップの立ち上げ方は、アイデアから始まり、試作品の開発、市場開拓まで膨大な時間と手間がかかり、一握りの恵まれた起業家以外、事業をスケールさせていくことが難しかった。スタートアップスタジオでは、失敗談やノウハウを蓄積させながら、人的リソースや事業ノウハウ、インフラ、資金面での問題を組織的に解決しようとするものであり、多くの商品アイデアを連続的かつ同時多発的に市場で試し、事業化することができる。その意味では、スタートアップスタジオは、リーンスタートアップを補完する機能を有しているとも言える。

そして、手掛ける事業の成長する可能性が高くなれば、会社化して、シタジオからスピンオフさせる。この段階では、スタジオとスピンオフされたスタートアップは連結対象であることが多く、株式もスタジオが50%程度所有することが多いとされる。

スタートアップの出口戦略によって、早期に企業を売却することもあれば、連携しているVCやエンジェル投資家から資金調達をして事業拡大を狙うケースもある。スタートアップが失敗した場合には、事業から撤退し、チームは解散するが、失敗したノウハウやデータがスタジオ内に蓄積され、次の起業に向けて活かされることになる。




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