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本と出合う

 深夜二時。寝かしつけで自分も寝て、この時間に時々起き出しては、子らに妙な体勢にサンドイッチされたまま、好きなことをする。

 今は、二週間毎に通っている図書館で借りてきた、全国津々浦々の博物館を紹介した三浦しをんさんの『ぐるぐる博物館』、強制収容所での体験と考察を描いたヴィクトール・E・フランクルの『夜と霧』を読んでいる。

 『夜と霧』は、存在こそ知っていたが、今まで読むタイミングになかった。最近になり、連れ合いの適応障害を知るために読んでいた岡田尊司さんの『ストレスと適応障害』に出てきて、ついに読み出した。著者が強制収容所での体験を経てどんな生きる意味を見出したか。極限状態からの生きる意味!これは気になる、というわけで読み出したのだが、心が病んでいる人が夜中に読むものではない。まだ収容所に到着した地点までしか読んでいないが、てきめんに人間不信になる。(でも読むけど)

 『ぐるぐる博物館』は、たまたま見つけた。普段、子連れで行くと一般書のコーナーなど回っていられないので、最近はゲド戦記などの子どもの本コーナーにあるものばかり読んでいたのだが、『夜と霧』を目指して一般書コーナーに足を踏み入れたために出合えた。

 こうして考えてみると、本との出合いは芋づる式で、本当にワクワクに溢れている。本好きの方には自明の事実だと思うが、本が本を呼び、新たな世界にどんどん繋がっていく。
 だいたい、本を嫌いな人が本を書くわけがない。本を書いた時点で、それは書いた人がそれまでに読んだ本に繋がっている。

 本屋や図書館という空間に足を運ぶ、というのも、やはり出合いには重要なポイントだ。
 行けば、なんとなく装幀が気になって手に取ったり、陳列の工夫(本好きの見事なアシスト)で手に取らされたりする。
 それから、そこに行った時点で自分の中に溜まっていたワードが、ふっと目に入ってきたりする。体調によって食べたいものが変わるように、読みたいものも自然に出合うように出来ている。

 楽しい。シンプルに楽しい。今読んでいる本が、次はどこに連れて行ってくれるのか。

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