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みんな違って、みんな良い

今年度から、園で希望者への課外活動(降園後の習い事)が始まるというので、春休みに体験に行ってみた。娘にとってはじめての、お勉強系の習い事だ。

かつて小学校受験をした私は、ほぼ毎日塾三昧で、友達と公園で遊べなかったのが嫌だった。(あくまで私の場合です)そんな思いがあるから、娘は幼児教室や塾には通わせず、できるだけ自由にやりたいことをしてもらっていた。でも、年長になり「来年から小学生やし、少しでも自信につながればいいなぁ」と思ったのと、本人も体験が楽しかったらしく、習い事として続けることにした。

上のクラスへのチャレンジが、自信を・・・

順調にワークなどをこなしていたある日、保護者数人と先生とで話す機会があった。「ワークが簡単」と話す子どもたち数人の様子を伝えると、「ひとつ次のクラスにチャレンジしてみますか?」と、提案頂いた。

子どもたちに「どうする?やってみる?」と尋ねると、「やりたーい!」との返事。仲良しのお友達と一緒に、次のクラスにチャレンジしてみることになった。

翌週、新たなクラスで授業を受けた娘とお友達が帰ってきた。お友達は「難しかったー!」、「でも楽しかったー!」と笑顔だ。でも娘はひとり、何も話さない。帰り道、話を聞くと、「難しかった・・・疲れた・・・」と完全に自信を失っていた。

自信につながれば、と始めた習いごとなのに、自信を失ってしまっては元も子もない。「難しくて辛いなら、元のクラスに戻ってもいいよ?」、「難しくて嫌になったら意味ないし、戻っても大丈夫やで」と話すと、娘は「お友達はそのまま残るだろうし、自分も頑張ってみる」と、ぽつりと話した。「じゃあ、1ヶ月頑張ってみて、しんどかったら元のクラスに戻ろう」私がそう言うと、うなずくだけでその日娘はすぐに寝てしまった。

私は、あんなに塾通いが嫌だったのに、「親として、小さいころから塾に行かせてあげた方がよかったのだろうか・・・行かせてあげていたら、自信を失うこともなかったのかも知れない」とさえ思い始めていた。

一週間後の子どもたちの成長に驚き

翌日、少し気持ちが落ち着いた娘に、「頑張ってみるなら、ママと一緒にやってみよう」と、数字のクイズを出したり、パズルを作ってみた。先生からも不得意だと指摘されたパズルだったが、ゆっくりやってみると案外好きになったらしい。その日からすき間時間があると、「パズルやってみるー」と言うようになった。

そしてまた、習い事の日がやってきた。本人は先週のことを忘れたかのように、楽しそうに園に向かった。私はお迎えに行くまで「落ち込んでいないかな」と、不安だったが、園の門まで迎えに行くと、教室から笑顔の子どもたちが飛び出してきた。娘ももちろん笑顔だ。

「難しかったけど、今日は楽しかった!」と、話す娘。ワークを見ると、毎日少しずつ出していたクイズや、私のアドバイスが生かされていた痕跡(数えた数字をメモしておく等々)が見て取れて、驚いた。もちろん、全部が全部できるようにはなっていなかったけど、たった一週間で、自分で試行錯誤した形跡も、できるようになった問題も増えていた。

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その日の帰り道、偶然また先生と出会って、話を聞いた。先生は、先週意気消沈していた娘を心配して、2種類のワークを準備してくれていたらしい。授業の冒頭で、どちらをやりたいか選ばせてくれたそうだが、娘は「みんなと同じのをやってみたい」と答えたそうだ。

先生は、「○○(娘)ちゃん、心配していたんですが、今回すごく頑張って取り組んでいました!もう大丈夫そうですね!」と褒めてくださった。そして、もうひとり苦戦気味だったお友達も、「パズルがすごく上手になって、毎回一番に完成させていましたよ!」と褒められていた。

その子のママに聞くと、負けず嫌いな彼女は前回苦戦して、「頑張って一番になりたい!」という意欲が湧いたそうだ。あと、何よりも「パズルって楽しい!」と思えたらしく、パズルにはまって毎日遊ぶようになったのだという。それで、同じクラスの小学生をも抜いて、たった一週間で本当に一番早くパズルを完成させたのだからすごい。

習い事の本質って?

同じクラスの仲の良いママ同士で話をしていると、それぞれの子どもが今回始めた習いごとに対して違うモチベーションで挑んでいることが分かった。

パズルで一番になった子は、「一番になりたいから頑張る」し、もともと勉強が得意な子は、「同じクラスのライバルにだけは負けたくないから頑張る」そうだ。そして、密かにパズルにはまった娘に、「またパズルしてるん?他のことしていいんやで?」と聞くと、「もっとできるようになりたいし、できたら楽しいから頑張る」だそうだ。

それぞれ違うけど、それぞれ良い。「自信につながれば」と、深く考えずに始めた習いごとだったが、すごく意味があったと感じている。一瞬、「もっと早く塾に通わせればよかったのか」と悩んだが、我が子の場合、結果的にはこれでよかったのだと思う。(塾や幼児教室は、否定しません)

パズルも、娘は最初「ヒントちょうだーい」と、すぐにせがんできたが、最近は自分でパズルのピースをいろんな方向に回しながら、試行錯誤している。まず、「自分で考えて、間違っても良いからいろいろ試してみること」が、楽しんでできるようになってきた。パズルの本質ってきっとそこなんだろうな、と見ていて思う。

習い事の本質もきっと、思わぬ「好き」や、モチベーションを見つけたり、考え方を身に付けたり、答えまでのプロセスをいかに楽しむかを学ぶものなのだろう。たった1週間で成長した子どもたちの伸びしろに驚くとともに、親も子どもの習い事を通して、物事の本質を学ばせてもらえた出来事だった。


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