見出し画像

#29 『FACT FULNESS - ファクトフルネス』を読んでみて

こんにちは。なびです。

前回からだいぶ時間が空いてしまいました。。。久しぶりの更新です!今回紹介する本は2019年に販売された大ベストセラーのこの本です!

【読んだ本】『FACT FULNESS - ファクトフルネス』
【著者 / 訳者】ハンス・ロスリング オーラ・ロスリング アンナ・ロスリング・ロンランド / 上杉周作・関美和
【発行所】日経BP
【初版】2019年1月11日


ーーなぜ読もうと思ったか

200万部を超える大ベストセラー本として、知らない人はいないくらいの有名な本なのでいつかは読んでみよう、と思い気づいたら初版からもうこんなに経ってましたw

当方、データに関わることが多い業界、職種であることもあり、「データを元にした提言」には関心があります。データをどのように調理してどのように可視化させて、どういったインサイトを得ているのか、という一連の流れを見てみたいという気持ちもあって、本書を改めて手に取ってみました。

本書のレビューはもうすでに様々な人により書かれていると思いますし、今更感がありますけど、まだ読んでいない人がいることを祈って、今回もレビューを書かせていただきます。。


ーーどんなことが書いてある?

著者であるハンス・ロスリング氏は本業が医療従事者で、TEDのスピーカーとしても有名な方です。統計や数学などのバックグラウンドを持っていない人なのですが、「データを元に事実に基づく世界観の布教」を行っている「ギャップ・マインダー財団」を設立しています。この財団は息子のオーラ・ロスリング氏とその妻であるアンナ・ロスリング氏とともに立ち上げており、本書の共同著者として名を連ねています。

本書は「ギャップ・マインダー財団」が目的としている「事実に基づいた世界の見方を広め、人々の世界にまつわる圧倒的な知識不足をなくす」ことを主軸に起き、世間的にみられる「当たり前と思われている認識」を一新させていくことを目的としています。

ここでいう「当たり前と思われている認識」というものを「10つの本能」として分解し、それぞれの問題点に触れながら、我々の間違った認識をアップデートしてくれます。ここで10つの本能について簡単に触れていきます。自分なりの解釈をふんだんに織り混ぜているので、具体的には是非とも本書で。。。

・分断本能
 この世のあらゆるものは分断されている、二元論的に捉えてしまう誤解。発展途上国と先進国という隔たりは存在しない。貧困度合いは緩やかに変化している。

・ネガティブ本能
 人は良いことより「悪いこと」に注目しやすい。「悪い」と「良くなっている」は共存する。悪いニュースが多いからと言って世の中が悪くなっているとは限らない。

・直線本能
 人は現在の傾向が「継続して」続いていくと誤解する(グラフが直線ならひたすら続いていくように見える)。背後にある変化に対して鈍感になりがち。

・恐怖本能
 「恐ろしいもの」には注目しがち。恐怖と危険は異なることと認識をしよう。恐怖に囚われすぎて本質を見失ってはいけない。

・過大視本能
 ただ一つの数字がとても大きな意味を持っているとの誤解。数字だけでは意味はなく、比較や割合を見るべき。

・パターン本能
 一つのパターンを元に集団を判断してしまう。本当に集団はそのようにパターン化してしまっていいのか常に疑うべき。

・宿命本能
 「全てはあらかじめ決まっている」という思い込みは誤解を招く。イランは女性一人当たりの子供の数はアメリカやフランスより少ない!

・単純化本能
 世の中の様々な問題が一つの原因に集約する単純化は危険。一つの視野で世界を理解できないし、どんなに頭がいい人が発する提言も一つの意見でしかない。

・犯人探し本能
 悪いことが起きた時に誰かのせいにすることは本質ではない。誰かのせいにすることで思考は停止する。本当の原因をブレイクダウンしないと意味がない。

・焦り本能
 焦りは禁物。冷静な判断ができていないかもと立ち止まるのは重要。見た目のドラマチックさに騙されず常に疑いをかけるべき。

以上の10の本能、あなたはどのくらい心当たりがあるでしょうか??
ビビッときたのであれば本書は一見の価値ありです!


ーー印象に残ったこと

本書はまさに高度情報化社会の教科書として採用されてもいいのではと感じました。というのも、上記の10の本能に対するアップデートはもちろんのこと、増えすぎた情報に対する向き合い方を論じていると感じました。

例えば、「疑う」という行為、本書ではよく出てきていますが、情報を扱う時には必ず疑うことが重要であると示唆されています。

テレビのニュースというものはその最たるもので、情報を元にジャーナリストや番組プロデューサー、テレビ局の思惑なども入り込んだ情報が配信されていることを気に留めておくこと必要があると述べています。

本書の中で「世界は悪い方向に進んでいるかどうか?」という問いかけをしたところ大部分が「悪い方向に進んでいる」と答えたそうです。実際には平均寿命が伸び、人類史上最も豊かな時代になっていっているのにもかかわらず、です。

これは、メディアが流す情報が「ネガティブ、恐怖」を煽るものを優先的に流すからで、上で述べた「ネガティブ」「恐怖」に反応しやすくなるネガティブ本能と恐怖本能を巧みに利用していることが指摘されています。過剰に反応しやすい「ネガティブ、恐怖」をメディアが多く報道することで、あたかも世界は悪いことだらけなのでは、と誤解してしまうことに起因していると言われます。

つまり、こういった情報に振り回されずに「疑う」気持ちを持つということは改めて重要なんだなと思わせてくれました。世の中は思ったほど悪くない、メディアの報道は世界の一部分を切り取っているに過ぎない、と。

そして、だからといってテレビは悪だ!と決めつける(犯人探し本能)ことも良くない、と述べています。大切なのは情報を疑いつつ、本質を探っていくこと、悪いことが起きたのであれば、原因の本質は何かを追求すること。最近では特にコロナの影響でフェイクニュースや間違った解釈を盲目に信じてしまうことが多く、マスクの品薄や自粛警察などの発生要因の一つになっているのかもしれませんね。


ーー本書を読んで

本書の著者であるハンス・ロスリング氏は、実は本書の出版を待たずして膵臓ガンでこの世を去ってしまったそうです。共同著者である息子のオーラ・ロスリング氏と妻のアンナ・ロスリング・ロンランド氏が跡を受け継ぎ、この本の完成に至った、という背景があります。「データを元に事実に基づく世界観の布教」を目指す旗手として世界にインパクトを与えたハンス・ロスリング氏の遺作となった本書は、人類に残した彼なりの遺書のような印象を持ちました。

我々がいかに世界に対して間違った認識をしていたのか、いかに誤解をしてしまっていたのか、ということを強く訴えられ、非常に刺激を受けた本でした。最後に、本書の和訳を担当している関美和氏と上杉周作氏のコメントがとても印象的だったので、引用させていただきます。

事実に基づかない「真実」を鵜呑みにしないためには、情報だけでなく、自分自身を批判的に見る力が欠かせません。「この情報源を信頼していいのか?」と問う前に、「自分は自分を信頼していいのか?」と問うべきなのです。そのセルフチェックに役立つのが、本書で紹介されていた 10 の本能です。もしどれかの本能が刺激されていたら、「この情報は真実ではない」と決めつける前に、「自分は事実を見る準備ができていない」と考えたいものです。

これからより肥大化していく情報の海に呑まれないようにも、是非ともファクトフルネスを身につけ、10つの本能を克服していきたいですね。


いつも読んでくださりありがとうございます!
それでは!

TOP画像:Carlos Muza on Unsplash



この記事が参加している募集

推薦図書

読書感想文

いつも記事を読んでいただきありがとうございます! 私がもっと頑張れるためにはあなたのサポートは非常に強力です。noteでもっと記事書いてほしい!と思ってくれるのであれば、ぜひともサポートお願いします