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子供に魚の釣り方を教えよう~お年玉から始める投資教育 パート2~【イベントレポート】

皆さん、こんにちは。NVIC note編集チームです。
今回は、前回からお送りしているファイナンシャルプランナー田端さんによる「お年玉の有効活用術~子供と考えるお年玉の使い方~」の後半部分です。
「お金」の持つ意味、そして、子供に「お金」について伝える重要性についてお話しいただいています。
家庭で「お金」の話をすることに眉をひそめる方も少なくないとは思いますが、これを読んでいただければイメージが変わるのではないでしょうか。

「お金」は「感謝のしるし」、「投資」は「未来への希望」

お年玉についてまた話を戻しますと、お年玉をきっかけにして、投資という使い方を子供のうちに話すことはすごくいいと思います。ではどうやって話そうかなっていう時に、将来の夢や希望に結びつくようにお話ししてもらうといいと思います。

将来、例えば10年後、自分が大きくなった時にやりたいことを話してもらう。例えば外国に行ってみたい、留学したいって言うかもしれないし、バンドやりたいからギター買いたいとか言うかもしれないですよね。そういう時に、『今回お年玉結構もらったよね、それをいま全部使うんじゃなくて、あなたが将来やりたいことができた時に、今のうちからお金の一部を投資にまわして、その時に増えていたらそれってすごく有効だよね』ということを、話してもらえればいいですね。

具体的に説明する場合は、投資とは、今自分が使う必要がないお金を必要とする会社に活用してもらい、会社が価値を提供してより良い世の中をつくるために役立ててもらうこと。そして、その会社が世の中に価値を提供して、感謝されて成長すると利益の一部がもらえたりしてお金を増やすことができるんだよ、とざっくりで良いので伝えてみてください。 

また、子供向けの講座でよく話すのですが、お金の本質として一番伝えてもらいたいのが「お金は感謝のしるし」であるということです。何かというと、お金って別に汚いものでも、お金儲けが悪いことでもなくて、誰かの困りごとを解決して「ありがとう」の気持ちをお金でもらいます。

親もそうですよね。働いて誰かに感謝されたことで、その感謝の気持ちとしてお金をもらう。だからお金って感謝のしるしだし、みんなの課題をもっとたくさん解決したらお金ももっと感謝のしるしとしてもらえますよね。それってすごく良いことじゃないですか。

なので、子供に対しては特にお金に対してネガティブイメージを持たせるのではなく、ポジティブなものであるということで伝えて頂きたいです。

月3,000円の積立投資で何ができる?

お年玉で投資を始める場合、できれば長期の積立投資に取り組んでもらうのが有効です。金額は子供のお年玉だとそこまで多額ではありませんが、投資信託の積立ならネット証券だと100円からでも始められます。

これは参考までに、月3,000円を18年間投資信託で積立投資するとどうなるかというシミュレーション結果です。元本の金額としては毎月3,000円、年36,000円で、そんなに大きな金額ではありませんが、18年目までいくと元本が64万円に対して、運用収益が30万円になって、最終的に94万円になります。実は今の国立大学の初年度の入学金と学費を合わせた82万円相当が賄えちゃうほどになります。

積立シミュ

想定年利回りは4%くらいでシミュレーションしていますが、そんなに大きなリスクを取らなくても結構実現可能な利回りだと思います。

これはあくまで簡単なシミュレーションなので、綺麗に右肩上がりになっていますが、実際の投資は相場の上がり下がりがあって本来はもっとギザギザはします。しかし、正しい投資対象を選んで最低でも10年以上コツコツ積立投資をしたら、複利効果で資産が増えていく有効性があります。是非少額からでもいいので、お子さんと積立投資を始めてみて頂けたらと思います。

子供は親の背中を見て育つ

大事なのが親子で一緒に投資について学んだり、良かったら一緒に投資してもらいたいな、ということです。投資先として選ぶものはまったく別でもいいのですが、やっぱり子供って親の真似をしたいし、すごく親の行動を見ています。特にお金の使い方。

私も子供向けの講座を開催していて、講座内のお店屋さんごっこで商品を作ったり値段設定したり、お金の扱い方など、結構いろいろな子を見るのですが、みんなお金の価値観や扱い方が様々です。それって何が元になっているかっていうと、親を見てそれを真似しているんですね。家庭によって全然違うなって感じます。

なので、子供にお金と正しく付き合ってもらいたかったり、良い行動を取ってもらいたかったら、自分を振り返って行動に気を付けてもらうのが一番です。

また、投資ってお金が増えたり減ったりします。なので、投資さえしておけばお金増えるんでしょうって子供が誤解をしないように、親子揃って勉強しながら始めていただきたいです。

一番大事なのが失敗の経験
お小遣いの使い方でもそうですが、成功体験より失敗体験の方が子供の心に残るんですね。小さい頃から失敗を重ねていくと、なんであの時失敗しちゃったんだろうって振り返ることができるし、じゃあ次はどうしていこうって考えられるようになります。ましてや自分のお金ですし。できれば損したくないですが、少額であればまたやり直せるので、小さい頃から試行錯誤して投資をしてもらえたらいいですね。

たぶん子供が選んで投資するものは、明らかに失敗しそうだと大人は先に気付くこともあると思いますが、そこは先回りしないで見守ってあげて下さい。たぶん失敗したら悲しくて泣いちゃうと思いますが、そういう時も優しく見守って、なぜ失敗したかという原因と、次にどう改善していくかということを一緒に考えていってもらいたいです。

投資の始め方、向き合い方

じゃあ何から始めればいいの?について、簡単に表にしました。

始め方

まず子供名義の銀行口座と証券口座を作って、そこにお金を入れておきます。子供名義のお年玉だけでもいいですし、今までお祝いでもらったお金が一緒でもどちらでもいいです。あとは投資信託を選んで積み立てる金額を決めたらその金額が引き落としされていくので、仕組みができます。一番難しいのが投資信託を選ぶ所で、すごくたくさんあるので何選んでいいかわからないですよね。

投資信託を選ぶための考え方については、次にお話される奥野さんのお話がとても参考になりますので、親子で何に投資しようか決める時に参考にして頂ければと思います。

あとは相場が上がった時も下がった時もコツコツ積立なので、3ヶ月に一度チェックすれば十分です。その時に親子で話し合って『今これくらいの状況だね、じゃあ今なんでこんな風になってるのかな、ちょっと背景を調べてみようか』など、確認する程度で良いのではないでしょうか。

小学生高学年くらいにならないと現状の話し合いは少し難しいかもしれないですが、中高生くらいだと親の話聞かない時期や思春期、他の大人から話を聞いた方が響いたりする時期もあると思うので、そういう時は東京証券取引所などで中高生向けのイベントが開催されていますし、金融庁や日銀などでも子供向けのイベントを開催しています。そういうイベントに行くと、投資を考える良い機会になります。

まとめになります。お年玉は親子で一緒にお金の使い方と投資を考える最適な機会です。なので、良かったら今日でもいいので、お子さんと帰って話し合って是非お年玉について話してみてください。また、投資というお金の使い方もあるけどどうかなって、投げかけてみて下さい。

親にとって子供に投資を教えることは、魚を与えるのではなく魚の釣り方を教えること。これから生きていく上で時間も味方に付けられるので、是非長期投資について子どもに教えてあげて下さい。

渡しっぱなし、もらいっぱなしは今年まで。新年を期にお金の活用方法を親子で話し合って、是非親子で一緒になって勉強しながら投資を始めてみてはいかがでしょうか。私のお話は以上になります。ご清聴ありがとうございました。

――ピギーちゃんは日本でも手に入るんですか?
田端:入ります。ネットで売っていて、価格は 2,000円前後です。
――まずそこが投資ですね。
田端:そうですね。この貯金箱はすごく良くできています。色も4色あります。お金を入れる段階で、使い方をすごく考えさせられる良い機会を与えてくれる貯金箱になります。

【スピーカー紹介】
田端 沙織氏
FP サテライト株式会社 ファイナンシャル・プランナー
鎌倉市出身、逗子市在住。2男1女を育児中。
大学を卒業後、FP2 級を取得した際、資産運用の楽しさに開眼し証券会社に勤務。10 年以上お客様にまごころ込めて対応していたが、会社とお客様の向いている方向が違う事にモヤモヤを感じる。
現在は、お客様と自分が同じ方向を向くことでお金や将来の不安が少しでも減るよう、中立的な立場のFP として活動中。また、「キッズ・マネー・ステーション認定講師」として子供、親子向け金銭教育講座を開催している。